タグ

ブックマーク / honz.jp (53)

  • ちばてつやの見た中国 『ひねもすのたり日記』 - HONZ

    ちばてつや。そう、あの『あしたのジョー』などの傑作を描いた、漫画家だ。最近はどうされているのかと思いきや、「18年ぶりの最新作」とうたっての自伝が刊行されていた。文字が多めの漫画、という風で、往時が生き生きと蘇る。描かれているのは、少年時代の中国での出来事だ。今では想像することができない、たった70年前の、中国での体験。 漫画としては18年ぶりの最新作ということだろう、前作からだいぶ間が空いている。念のためプロフィールを紹介しておこう(ご人のホームページより要約)。 1939年(昭和14年)1月11日、東京築地の聖路加病院で生まれる。同年11月に朝鮮半島を経て、1941年1月旧満州・奉天(現中国・遼寧省瀋陽)に渡る。1945年終戦。翌年中国より引揚げる。1950年、友人の作る漫画同人誌漫画クラブ」に参加。1956年、単行作品でプロデビュー。主な作品に「1・2・3と4・5・ロク」「ユキ

    ちばてつやの見た中国 『ひねもすのたり日記』 - HONZ
    DRUMSCO
    DRUMSCO 2019/02/13
  • 『スーパーカブは、なぜ売れる』世界で1億台! 超ロングセラーの秘密 - HONZ

    一昨年の夏、ベトナムを旅した評者は、空港から車に乗った途端、おびただしい数のオートバイに圧倒された。 まるで魚の大群のようにオートバイの集団が交差点を横切っていく。気がつけば、こちらの車も前後左右を密集するオートバイに囲まれていた。あの迫力は忘れられない。 ベトナムは2輪車大国だ。年間販売台数およそ330万台(2017年)、このうち75%ほどのシェアを占めるのがホンダである。なにしろベトナムではすべての2輪車を「ホンダ」と呼ぶくらい人気が高い。中でも不動の人気を誇るのが「スーパーカブ」だ。 スーパーカブは1958年に日で発売され、爆発的なヒット商品となった。いまもスーパーカブを見ない日はない。新聞や郵便の配達、飲店の出前など、もはや当たり前のように私たちの日常の風景に溶け込んでいる。 驚くことにスーパーカブは発売から今日まで、商品コンセプトと、基のメカニズム・レイアウト、造形のシルエ

    『スーパーカブは、なぜ売れる』世界で1億台! 超ロングセラーの秘密 - HONZ
    DRUMSCO
    DRUMSCO 2019/02/09
  • 生きて帰らなければなりません、絵を描くために『無言館――戦没画学生たちの青春』 - HONZ

    秋晴れの澄んだ青空に映えて、赤や黄色に色づいた木々の葉がまぶしい。小高い丘を登りきり、小さな盆地を見下ろす高台に建つ飾り気のないコンクリートの建物――それが、無言館だった。 先月、長野県上田市を訪れた私は、せっかく来たのだからと、ガイドブックに載っていたこの小さな美術館まで足をのばした。その受付で販売されていたのが、1992年に単行として刊行され、今年になって文庫化された書である。 表紙をかざる、浴衣姿の少女の絵。第2次大戦中に出征先の満州で戦病死した画学生・太田章氏が、妹をモデルに描いたものだ。この絵が展示されている無言館は、戦争で若くして亡くなった画学生たちの作品を全国の遺族から預かり、展示している。 そして書には、著者であり無言館の館主でもある窪島誠一郎氏が、この私設美術館を建てる経緯や、それぞれの作品がもつ物語、遺族たちの複雑な心情にも触れながら、自身の歩んできた人生を見つめ

    生きて帰らなければなりません、絵を描くために『無言館――戦没画学生たちの青春』 - HONZ
    DRUMSCO
    DRUMSCO 2018/12/18
  • 『青線』かつて存在した非合法売春地帯を歩く - HONZ

    最近、東京新宿のゴールデン街が外国人観光客に人気だ。狭小な建物が林立する飲み屋街は世界でも珍しいという。あのような安普請が立ち並んでいるのは、ゴールデン街がかつて非合法の売春地帯「青線」であったからだ。 色街の存在は街の活気の副産物であり、都市には濃淡はあっても、その痕跡が見え隠れする。スナックや小料理屋のような外観で売買春を行う「青線」の存在は都市の裾野の広さを物語る象徴的な存在といえよう。 著者は20年間にわたり、北海道から沖縄まで、全国の青線があったとされる場所を30カ所以上歩いた。現地を訪れ、色街のわずかな残り香をヒントに往事の姿を浮かび上がらせる作業は、ノンフィクション作家としての技が光る。 青線の現状はさまざまだ。すでに旧観を失った街もあれば、細々と営業を続けている街もある。共通して、関係者の証言から浮かび上がるのは、諦念だ。行き場を失った女性たちは、青線に未来がないことを悟り

    『青線』かつて存在した非合法売春地帯を歩く - HONZ
    DRUMSCO
    DRUMSCO 2018/11/21
  • 『「始まりの国」淡路と「陰の王国」大阪 古代史謎解き紀行 』 - HONZ

    大阪を読み解くための最後のキーワードは、「馬」だと思う。生駒山の西側や淀川の岸辺には、渡来人が多く住み、牧を造り、馬を飼っていた。そんな大阪の馬飼いが、一度歴史的な大仕事をしたことがある。越(こし)の男大迹王(おおどのみこ)〔継体天皇〕を畿内に連れてきたのは大伴氏だが、渋る男大迹王を説得したのは、河内馬飼首荒籠(かわちのうまかいのおびとあらこ)だった。河内で馬を飼育する者たちのトップに立っていた者だ。なぜ、馬を飼う者たちが、越の王を求めたのだろう。 馬と聞けば、「さては戦争に用いたのだな」「ひょっとして天皇家は騎馬民族の末裔か」と、想像してしまうかもしれない。しかし、「大阪の馬」は、流通に用いられたのではなかったか。というのも、海の民と馬は、切っても切れない関係にあったからだ。 たとえば九州の五島列島の住民は、縄文の海人(あま)の末裔だが、『肥前国(ひぜんのくに)風土記』には、馬に乗るのが

    『「始まりの国」淡路と「陰の王国」大阪 古代史謎解き紀行 』 - HONZ
    DRUMSCO
    DRUMSCO 2018/11/03
  • 『逆転の大戦争史』 平和を求めた国際主義者たち - HONZ

    21世紀を生きる我々にとって、戦争が違法であることは、地球が太陽の周りを回っていることと同程度に自明のことに思える。しかし、17世紀にガリレオが望遠鏡を手にするまで多くの人が天動説を信じていたように、20世紀初頭まで戦争は合法的な政治手段だった。戦争が合法であった旧世界秩序においては、借金取り立てのために他国を征服することすら合法的な行為だった。 著者は書で、1928年に結ばれたパリ不戦条約こそが、戦争を違法と見なす新世界秩序を構築するために重要な役割を果たしたのだと主張する。この条約はこれまで多くの歴史家に無視されていた。標準的な世界史の教科書で全く触れられるないこともあり、元米国務長官のキッシンジャーにいたっては戦争を違法化しようという取り組みを「きわめて魅力的だが、きわめて無益だ」と嘲っていた。著者は、大胆にも以下のように宣言する。 率直に言って、不戦条約は世界平和をもたらさなかっ

    『逆転の大戦争史』 平和を求めた国際主義者たち - HONZ
    DRUMSCO
    DRUMSCO 2018/11/02
  • 『さいはての中国』 あなたの知らない中国 - HONZ

    ノンフィクションを読む醍醐味である未知の世界を知る喜びをこれでもかと与えてくれる一冊だ。中国の地を這う現実を伝え続けるルポライターの著者が選んだ行き先は、途方もなく広い中国の“さいはて”。書に登場するのは、発展著しい深圳のネトゲ廃人、広州のアフリカ人街、内モンゴルのゴーストタウンや北米の「反日」華人組織などという、旅行者やビジネスマンはもちろん、大手メディアも近づかないような場所ばかり。大金を積まれても行きたくないような所へ軽快に潜り込み、現場の声を拾い上げ、世界の広大さを突きつけてくる。 最初の目的地は、中国最大のIT企業群が社を置くサイバーシティ深圳だ。次代のシリコンバレーとも呼ばれる彼の地の先進ぶりを伝えるニュースは引きも切らないが、この街には知られざる一面がある。そこには、中国各地からい扶持を求めてやってきた、著者が呼ぶところの「サイバー・ルンペンプロレタリアート」がいるのだ

    『さいはての中国』 あなたの知らない中国 - HONZ
    DRUMSCO
    DRUMSCO 2018/10/22
  • 『細菌が人をつくる』糞便移植も効果アリ?! 細菌100兆個の最新知識 - HONZ

    ここ数年、腸に関する話題が増えてきている。山中伸弥教授が司会を務めたNHKスペシャル「人体」では、腸は全身の免疫を司り、万病を撃退すると放送された。いささか誇張しすぎだと思うのだが、興味深い番組だった。 じっさい、コンビニの棚にはビフィズス菌や乳酸菌、物繊維を含む品がずらりと並んでいるし、サプリメントも次々と発売されている。花粉症などのアレルギーを抑制し、インフルエンザや肺炎などへの抵抗力を増すと期待されているのだ。 いっぽうで、うつ病や自閉症などの脳の病気も腸に関係しているという研究も報告されはじめた。過症や肥満傾向も腸の影響を受けているという研究もある。腸脳相関という。 この腸とは実際には腸内細菌と腸の共生的な関係のことだ。書はこの知られざる腸内細菌だけではなく、人間と共生しているさまざまな細菌についての最新研究をレポートしたものだ。 腸内細菌以外には、出産時に母親の産道から感

    『細菌が人をつくる』糞便移植も効果アリ?! 細菌100兆個の最新知識 - HONZ
    DRUMSCO
    DRUMSCO 2018/06/23
  • 『一発屋芸人列伝』大きく勝って、大きく負けた山田ルイ53世が、負けの中に見出した勝機 - HONZ

    その日、電車に揺られながら、ぼくは迷っていた。これから会う相手にどんなスタンスで話を訊けばいいのか悩んでいたのだ。待ち合わせ場所は新宿小田急百貨店。この中にある書店で、山田ルイ53世の『一発屋芸人列伝』の発売を記念したトークショーが予定されていた。 『新潮45』連載時に「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞」を受賞した書は、発売前から重版がかかるほど評判が高く、すでにいくつかの著者インタビューも世に出ていた。その中には現代ビジネスに掲載された石戸諭さんによる素晴らしいインタビュー記事などもあって、いまさら屋上屋を架しても……という思いがあった。 さらに個人的な事情もあった。実は山田ルイ53世は、ぼくが勤めるラジオ局で番組を持っている。ただしそれは地上波ではない。ポッドキャストでの配信番組である。 正確に言えば、かつては地上波でワイド番組を持っていたものの、打ち切りの憂き目にあい、いまはポッド

    『一発屋芸人列伝』大きく勝って、大きく負けた山田ルイ53世が、負けの中に見出した勝機 - HONZ
    DRUMSCO
    DRUMSCO 2018/06/11
  • 『「軍用地投資」入門』いろんな意味で掟破りな一冊 - HONZ

    ノンフィクションは一期一会、出会った時が買い時だ。いつか買おうなどと思っていても、きっと「いつか」は来ない。仮に来たとしても、既に書店には置いていなかったり、下手すると絶版になっていることもある。書はワケありなケースであるものの、今となっては入手することの困難な一冊である。 オビの「掟破りの不動産投資法」という文言が眩しいが、色々な意味で掟破りだ。沖縄島の県土の約8%とも言われる軍用地。これが投資家たちの手によって「金融商品」さながらに売買されているというのだ。この衝撃の実態を指南という形から伺い知ることが出来るのが、書『お金持ちはこっそり始めている 当は教えたくない!「軍用地投資」入門』だ。 軍用地とは、沖縄の米軍基地や自衛隊基地内の土地のことを指す。その約2/3は個人や、県、市町村の土地を国が借りる形になっている。一般的に不動産投資ではマンションなどを購入し、部屋を貸し出すこ

    『「軍用地投資」入門』いろんな意味で掟破りな一冊 - HONZ
    DRUMSCO
    DRUMSCO 2018/06/04
  • 『宇宙ビジネスの衝撃 21世紀の黄金をめぐる新時代のゴールドラッシュ』 - HONZ

    「これからは宇宙ビジネスの時代だ」と言うと、大抵の人は何のことだか分からず困惑するようだ。日では下町企業のロケット打ち上げが感動物語として映画になってしまうくらいなので、宇宙ビジネスと言われても余り実感が湧かないのかも知れない。 そもそも、普通の人が宇宙空間をどこまで正確に理解しているかも怪しいので、まずこの点の整理からしておきたい。 宇宙ビジネスの対象となる空間は、大きく「深宇宙」「静止軌道」「低軌道」の3つに分けられる。「深宇宙」というのは、月、小惑星、火星などの遠い宇宙のことで、宇宙基地としての月開発、小惑星の資源開発、火星への有人宇宙飛行など、これからの開拓が期待されるエリアである。 「静止軌道」は赤道上36,000キロの軌道のことであり、1980年代から1990年代にかけて各国が気象衛星、通信衛星、放送衛星、測位衛星などを打ち上げて、既に2000年以前から商業化している。人工衛

    『宇宙ビジネスの衝撃 21世紀の黄金をめぐる新時代のゴールドラッシュ』 - HONZ
    DRUMSCO
    DRUMSCO 2018/06/01
  • 南極で家を建てるには 『南極建築 1957-2016』 - HONZ

    地球上で、家を建てるのが大変な場所はどこだろう? ジャングル? 砂漠? ツンドラ? 南極や北極? 極地観測のために建てられた南極基地の建築物を、写真と丹念な解説で見せてくれるこの一冊。昭和基地をはじめとする、極限環境での建築の数々は、こんな技術や人に支えられていた! こんなにすごいことをしていたなんて、知らなかった。 このの感想はこの一言に尽きるかもしれない。 南極といえば、高倉健がタロとジロを抱きしめる映画『南極物語』を思い出す人も多いだろう。1911年の、アムンゼンとスコットの壮絶な南極点到達競争を読んだことのある人もいるかもしれない。そういえば私は、「船の科学館」で南極観測船「宗谷」を見学した記憶もある(1979年から保存展示されているが、移設のため、一時的に2017年3月末まで一般公開を休止中。この「宗谷」もまたロマンあふれる船だ)。 と、その程度の知識しかない人でも読み応えじゅ

    南極で家を建てるには 『南極建築 1957-2016』 - HONZ
    DRUMSCO
    DRUMSCO 2018/02/15
  • 『北極がなくなる日』極地研究者の奮闘記 - HONZ

    この冬、最強寒波が世界各地を襲っている。日北海道・東北・北陸地方では記録的な豪雪となっているし、世界各地でも年初よりアメリカ北東部やロシアの東シベリアは猛烈な寒波におそわれている。ついには北アフリカのサハラ砂漠にて異例の積雪が観測されたという。いったい全体、何がおこっているのか。 どうやら北極の温暖化がその原因のようである。北極の海氷が溶けたことが中緯度北部地域(特に東アジアと米国東部)の異常な寒冷化現象に繋がっていると、科学者の間では論じられているのだ。北極が温暖化することによってシベリア寒冷高気圧が強大化したことに加え、上空のジェット気流も南北に蛇行しがちになるので、寒冷高気圧が日韓国などにもが南下しやすくなるという。 北極なんて遠い世界の話、と思っていたら意外と私たちの身近に影響を与えているようだ。北極の氷が溶けたら北極海航路による貨物輸送が増えるし、北極圏の資源開発が進んで

    『北極がなくなる日』極地研究者の奮闘記 - HONZ
    DRUMSCO
    DRUMSCO 2018/02/15
  • 『津波の霊たち 3・11 死と生の物語』 - HONZ

    イギリスの《ザ・タイムズ》紙のアジア編集長および東京支局長のリチャード・ロイド・パリーによる最新ノンフィクションをお届けする。 前作の『黒い迷宮──ルーシー・ブラックマン事件の真実』(ハヤカワ・ノンフィクション文庫)が多くのメディアで取り上げられ、読者から高い評価を得たのは、訳者としては望外の喜びだった。この作品のもつ凄まじい”力”については私も編集者も認めるところだったものの、日史上類をみない猟奇的性犯罪をテーマとした作品がどれほど読者に受け容れられるかは未知数だった。しかしそんな不安は杞憂に終わり、《の雑誌》の2015年度ベスト10(ノンジャンル)の8位にランクイン、人気書評サイト〈HONZ〉の「今年のノンフィクションはこれを読め!」の一冊に選ばれるなど大いに好評を博した。 著者のロイド・パリーについて──前作を読んでいない方も多いと思うので、簡単に紹介しておくと、1969年のイギ

    『津波の霊たち 3・11 死と生の物語』 - HONZ
    DRUMSCO
    DRUMSCO 2018/01/28
  • 『北朝鮮 核の資金源』国連制裁の最前線で、何が起きているか? - HONZ

    2017年11月29日未明、北朝鮮が発射したミサイルは、日米の防衛当局に衝撃を与えた。なぜならこの時発射された「火星(ファソン)15型」は、アメリカ土に到達可能な大陸間弾道ミサイル(ICBM)だったからだ。 ミサイル発射を受け、国連安全保障理事会は12月22日、北朝鮮への新たな経済制裁決議を全会一致で採択した。新たな制裁の柱はガソリンやディーゼル燃料、灯油などの石油精製品の年間供給量の上限をこれまでに比べ9割削減するものだ。 また決議案では、北朝鮮の資金源を断つことを目的に、品や機械、電気機器、マグネサイトなどの鉱物類、木材などを禁輸対象に加えた。履行されれば、過去の制裁とあわせ、北朝鮮はほぼすべての品目で輸出ができなくなる。そう、ちゃんと履行されさえすれば……。 考えてみれば、おかしな話ではないだろうか? 北朝鮮に対する国連決議は過去1年余りだけでも4回も行われている。 だが、これだ

    『北朝鮮 核の資金源』国連制裁の最前線で、何が起きているか? - HONZ
    DRUMSCO
    DRUMSCO 2018/01/15
  • 『ぼくは13歳、任務は自爆テロ』日本人の若者が模索するテロリストからの脱却 - HONZ

    テロが起こるのは違う世界の話だと思っていたのだが、ここ数年、そうとは言えなくなってきている。つい先ごろも、ロンドンで爆発のあった地下鉄に知人が乗り合わせていたと聞いた。日でもいつか起こる、そんな予感は誰もが持っているだろう。だが長い平和を甘受してきた日人にとって、テロは怖いばかりで具体的に何も対処できていない。 書は「アクセプト・インターナショナル」というテロ・紛争解決を専門とする日生まれの国際NPOで代表理事を務める永井陽右による、中高生から読むことができる現代のテロと紛争の入門書である。 ケニアとソマリアを主な活動地域とするこのNPOは、テロ組織への加入防止とテロ組織からの脱退促進を行う。 2011年、大学生だった著者は「世界でもっとも危険な場所」のソマリアを支援する学生NGO「日ソマリア青年機構」を立ち上げ、その後、現団体でスラムや元テロリストの若者の社会復帰を支援している

    『ぼくは13歳、任務は自爆テロ』日本人の若者が模索するテロリストからの脱却 - HONZ
    DRUMSCO
    DRUMSCO 2017/12/06
  • 『幻の黒船カレーを追え』酔狂な研究家はイギリスへ旅立った! - HONZ

    男の料理の王様といえばカレーだ。市販のルーで簡単に作るところから始まり、ニンニクやショウガ、チョコレートやコーヒーを入れ始め、果てはスパイスの調合に凝り始める。 病膏肓に入ってしまった男がいる。“東京カリ~番長”というカレーの出張料理ユニットの料理主任で研究家として何冊もを上梓している水野仁輔だ。彼は日で普通にべられているカレーのルーツを知りたいという欲求を抑えることはできなかった。 カレーは約150年前にイギリスから渡ってきたと言われている。水野はそれを「黒船カレー」と名付けた。明治時才のレシピも残っている。洋の一品として、あるいはイギリスから教わった料理として日に定着したようだが、詳細はわかっていない。 当時のカレーの味が知りたい。今のように玉ねぎをアメ色に炒めたのは誰だったか、という謎を解くため、カレー行脚の旅に出る。 日には「元祖」カレーは残っていないのか。イギリス海を

    『幻の黒船カレーを追え』酔狂な研究家はイギリスへ旅立った! - HONZ
    DRUMSCO
    DRUMSCO 2017/09/18
  • 『戦場を歩いてきた カラー写真で読み解く戦場のリアル』ジャーナリストが見つめた戦地の日常 - HONZ

    書は日テレの番組、NEWS24の「戦場を歩いてきた」というコーナーを書籍化した物である。戦場ジャーナリストである佐藤和孝が戦場で撮り溜めてきた写真を通して、戦地に生きる人々の日常の姿を伝えるという趣旨の下に作成されたコーナーである。戦争と言う非日常の中にも日常がり、人々はそこでメシをい、笑い、結婚もし、生きていく。しかし、尺の限られたニュース番組では最前線の戦況を報じる事が優先され、戦地で生きる人々の当の姿を伝える機会が無い。そう感じた著者の思いを日テレの報道局長以下が受け止め実現した番組だ。そしてそこから書が生まれた。 書では番組でも紹介された多くの戦地の写真がカラーで掲載されており、文章のみでは伝えきれない戦地に生きる人々の姿と、瞳をまざまざと見ることができる。書前半ではアフガニスタン及びイラクが、後半ではウクライナロシア派民兵が取材されている。 戦場ジャーナリスト佐藤和

    『戦場を歩いてきた カラー写真で読み解く戦場のリアル』ジャーナリストが見つめた戦地の日常 - HONZ
    DRUMSCO
    DRUMSCO 2017/08/19
  • シリア内戦の実情──『シリアからの叫び』 - HONZ

    シリアの国情は長い期間にわたって荒れ狂っている。 ことの発端は2011年。2010年に起こったアラブの春を端緒として過激化した反政府運動と、それに対抗するアサド大統領に率いられた政府軍によって内戦が勃発。ジリジリと進まない市街戦、非人道的で歯止めのかからない拷問、市民へのレイプ被害など無数の事態により状況は泥沼化していく。国連難民高等弁務官事務所によるとシリアからの難民は500万人を超えたという。外務省のデータによると2012年のシリア人口は2240万人だから、尋常な数ではない。 いったい、シリアで何が起こっているのか。そもそもなぜこのような戦争が起きてしまったのか。そこで暮らす人々は何を考えているのか。書はそうした疑問に答えるべく、政府軍、反体制側といった立場を問わず、シリアの人々に対して寄り添うようにして行われた取材をまとめた渾身のルポタージュである。ジャーナリストだけ数えても94人

    シリア内戦の実情──『シリアからの叫び』 - HONZ
    DRUMSCO
    DRUMSCO 2017/04/06
  • 『セガ vs. 任天堂 ゲームの未来を変えた覇権戦争』 - HONZ

    書は映画化を視野に入れたストーリー性重視のノンフィクションで、ゲームの内容やテクノロジーよりも、企業の競争戦略や個性的な登場人物たちの葛藤や苦悩、生き様などに焦点を当てた点がユニークな作品となっている。著者はゲーム業界をビジネス的観点から描くことで、マーケティングや営業の現場が創造的プロセスにどんなインパクトを与えたかを、興味深いエピソードを積み重ねながら明らかにしていく。もちろん、熾烈な市場シェア争いを描いたビジネス戦記として読むことも可能だし、最近はやりの「お仕事小説」としての側面も備えた、読み応えたっぷりの娯楽作品である。 2016年の『ポケモンGO』ブームや、最近最終作が公開された映画『バイオハザード』シリーズなどは、日発のゲームやキャラクターが世界に与えた影響力の大きさを物語る最新事例だが、書(原題は Co

    『セガ vs. 任天堂 ゲームの未来を変えた覇権戦争』 - HONZ