秋田市の旭川を挟んで徒歩5分の距離にある「新政」(新政酒造)と「ゆきの美人」(秋田醸造)。 「酒づくりなんてしたことがなかった」というところからスタートし、全国レベルのいい酒を秋田でつくるという並々ならぬ情熱と矜持を持って、今なお走り続けるなかでお互いの存在が灯台のようになっていた様子が伺えます。前/後編のうちの前編です。 蔵元から蔵元杜氏へ 新政酒造 佐藤祐輔さん(以下、佐藤):秋田に帰って酒蔵を継ぐことに決めてからというもの、私はよく小林さんのところに勉強のため行かせていただきましたね。 秋田醸造 小林忠彦(以下、小林):徒歩5分ぐらいで、近いからね。 佐藤:当時、小林さんは秋田県内初の蔵元杜氏としてすでに「ゆきの美人」をつくっていらして。全国レベルで戦える日本酒をつくるには「これまで通りのやり方」じゃダメなんだっていうことにいち早く気づいておられたんですよね。 小林:当時すでに他県で