日経ビジネス2月20日号の特集「行きたい大学がない」では、大学という組織の弱体化が、想像を超えるペースで進んでいることを浮き彫りにした。その証左として、大学の授業など「本業」ともいえる業務まで受験産業にアウトソーシングしている実態が明らかになった。極端な例としては、入試問題の作成まで外部委託するケースがある。国からの予算が減らされるなど、大学の経営が厳しさを増す中で、試験問題を独自に作る人材さえもが、不足しているのだ。将来の日本を背負う若者の教育を、「空洞化」が進む大学に任せることに不安を感じざるを得ない。 ある有力予備校担当者の告白 「来ますよ。毎年たくさん来ます。入学試験を作ってくれないか、という依頼が」 ある有力予備校の担当者は、うんざりとした表情でこう告白する。この予備校は大学の業務の外部委託を引き受けてはいるが、入試問題の作成は、受けないことにしており、大学側にもそう伝えている。