Innovative Tech: このコーナーでは、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。 米UCLA(University of California, Los Angeles)の研究チームが開発した「To image, or not to image: class-specific diffractive cameras with all-optical erasure of undesired objects」は、好きな対象物だけを撮影し、その他は削除できるカメラシステムだ。いったん撮影し除去しているのではなく、光学的に瞬時に削除し記録しないようにしている。 スマートフォンや監視カメラ、自動運転車、顔認識など至る所にカメラが存在するデジタル時代において、プライバシー保護はま
Innovative Tech: このコーナーでは、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。 米フロリダ州立大学と米ラトガース大学の研究チームが開発した「ToothSonic: Earable Authentication via Acoustic Toothprint」は、ユーザーが歯のジェスチャーを行う際に発生する歯型による音波効果を利用したイヤフォンベースの認証システムだ。 人によって歯の大きさや並びは違い、そのため歯を互いに噛んだり滑らせたりした際の音は固有のものであり、その音を着用するイヤフォンで捉え解析することで個人認証を行うのがこのアプローチになる。 永久歯は通常32本で、16本が上顎、16本が下顎に生えている。歯は上下左右に対称であるため、4象限に分けることができる
概要 本稿は、突然ムシャクシャした筆者が自分の考えるブロックチェーンの定義と、世間で言われているブロックチェーンの特性および応用例を批判するものである。 本稿は筆者の見解であり、所属組織の公式見解ではない。 ブロックチェーンの定義 そもそもブロックチェーンとはなんなのか。狭義には、「ブロック」の「チェーン」であることから、以下の定義をしたい。 データが、当該データ直前のデータの暗号学的ハッシュ値を持つリスト型のデータ構造 ここでは、そのデータの中に何を保持するかは一切考慮しない。 データがハッシュ値で連鎖することによって、リスト中の任意のデータのみを書き換えると、ハッシュチェーンの整合性が失われ、書き換えが行われたことを検知可能なデータ構造であると定義する。 しかし、世間で「ブロックチェーン」に興味を持つ諸氏はこの定義だけではいささか狭すぎると感じるだろう。 そこで、狭義のブロックチェーン
その誕生を地元新聞も経済新聞も記事にしなかった。2年後、『コードの情報を白黒の点の組み合わせに置き換える』と最下段のベタ記事で初めて紹介された時、その形を思い浮かべることができる読者はいなかった。いま、説明の必要すらない。QRコードはなぜ開発され、どう動くのだろうか。 QRコードは、自動車生産ラインの切実な要請と非自動車部門の技術者の「世界標準の発明をしたい」という野心の微妙な混交の下、1990年代前半の日本電装(現デンソー)で開発された。 トヨタグループの生産現場では、部品名と数量の記された物理的なカンバンが発注書、納品書として行き来することで在庫を管理する。そのデータ入力を自動化するバーコード(NDコード)を開発したのがデンソーだ。 バブル全盛の1990年ごろ、空前の生産台数、多様な車種・オプションに応えるため、部品も納入業者も急激に増え、NDコードが限界を迎えていた。63桁の数字しか
Innovative Tech: このコーナーでは、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。 米国エネルギー省の研究施設「Pacific Northwest National Laboratory」(PNNL)の研究チームが開発した「A freeze-thaw molten salt battery for seasonal storage」は、電力をあまり失うことなく数カ月にわたって蓄えられるバッテリーだ。風力や太陽光といった再生可能エネルギーによる発電をいったん凍結し、数カ月後に放電する使い方ができる。 夏場の日照時間は冬場より長く、平均して多くの太陽光発電が行われる。他にも、太平洋岸北西部では雪が溶けて大きく膨らんだ川が一連の水力発電ダムに最大出力をもたらし、春から初夏にかけ
Innovative Tech: このコーナーでは、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。 京セラ研究開発本部フューチャーデザインラボの研究チームが人間拡張研究の一環として開発した「無意識な音を意識化させるヒアラブルデバイスの提案」は、何かに集中していて聞き逃した音声を後から教えてくれるヒアラブルデバイスだ。 何かに集中していて周囲の音が聞き取れなかった経験はないだろうか。例えば、スマートフォンでゲームをしていて電車のアナウンスが聞こえず乗り過ごしてしまったり、空港でPC作業をしていて搭乗アナウンスを聞き逃したり、講義でメモを取っていて講師が話す重要な内容を聞き逃してしまったりなど。 このように、人間は常に複数の事柄に集中できず、一方の集中により集中外の他方の事柄が埋もれてしまう
Innovative Tech: このコーナーでは、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。 韓国のソウル大学校の研究チームが開発した「Human Dynamics from Monocular Video with Dynamic Camera Movements」は、深層強化学習に基づいて、物理学の事前知識を最大限に活用し、単眼カメラで撮影した実写映像から人間の3Dモーションを空間ごと再構築するシステムだ。 スポーツやダンス、パルクールなどの非常に激しい人間の動きでも、もっともらしいシーンの配置と、シーン内の一貫した人間の動きの両方を同時に再構築する。 実写映像から人間の動きを3Dキャラクターに再現する研究は数多く進んでいるが、これまでの研究では、人間のローカル座標における関節
お客様の設定により、お客様情報が「非表示」となっております。お客様情報を表示するにはdアカウントでログインしてください。 お客様情報表示についてへ お客様情報表示についてへ Tweet 6G時代の新たな提供価値「人間拡張」を実現する基盤を開発 -ネットワークを介して他者同士でリアルタイムに無理のない自然な動作を共有することが可能に- <2022年1月17日> 株式会社NTTドコモ(以下、ドコモ)は、「ドコモ6Gホワイトペーパー」に示した6G時代の新たな提供価値の一つであるネットワークで人間の感覚を拡張する「人間拡張」を実現するための基盤(以下、本基盤)を、H2L株式会社、FCNT株式会社、および富士通株式会社の技術協力を得て開発しました。人間拡張に関する基盤の開発は世界初※1となります。 6Gの特徴的な技術の一つである超低遅延化の実現により、6Gでは神経の反応速度をネットワークの通信速度が
Innovative Tech: このコーナーでは、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。 米スタンフォード大学の研究チームが開発した「Multimodal sensing and intuitive steering assistance improve navigation and mobility for people with impaired vision」は、視覚障害者の歩行補助を強化する拡張した白杖だ。 白杖の手元には4種類のセンサー、先端には左右に回転する車輪を搭載。周囲の障害物を検知し、車輪を回転させることでユーザーをナビゲーションする。 視覚障害者をナビゲーションするには、衝突回避や屋内外の道案内、重要な物体の位置特定の3つの主な課題がある。一般的には白杖や盲
ホンダの安全技術を紹介します。二輪車の姿勢制御「ライディングアシスト」です。ジャイロセンサーや車体後輪揺動機構などを備え、自立したまま倒れません。驚きです。#ホンダ https://t.co/Leo5B60zU0
材料科学関連の査読付き科学誌であるMatterで2021年10月20日に発表された論文の中で、木材を従来の23倍硬くする加工方法が発表されました。この方法で加工された硬化木材を用いてナイフを作れば、ステンレススチール製のナイフよりも3倍切れ味が鋭いナイフが完成します。 Hardened wood as a renewable alternative to steel and plastic: Matter https://doi.org/10.1016/j.matt.2021.09.020 Researchers make hardened wooden knives that slice through steak https://phys.org/news/2021-10-hardened-wooden-knives-slice-steak.html 食事に使用するナイフといえばステン
GPSは、スマートフォンや自動車、ドローンなどの位置情報取得に用いられていますが、「室内では位置情報を取得しづらい」「数mm単位での位置情報取得は難しい」といった問題が存在します。そんな中、アメリカ・プリンストン大学の研究チームが地面の情報をスキャンすることで非常に高精度な位置情報を取得するシステム「Micro-GPS」を開発しました。 High-Precision Localization Using Ground Texture https://arxiv.org/abs/1710.10687 Micro-GPS https://microgps.cs.princeton.edu/ Micro-GPSは地面の模様データを基に位置情報を数mm単位で認識可能。以下のムービーではMicro-GPSの仕組みが解説されています。 Micro-GPS ICRA2019 - YouTube Amaz
平成30年度から防衛装備庁で研究開発が行われていた、EMP弾構成システムについて研究中止となったことが分かりました。 必要部品の供給停止により入手不可能となったためです。 1.1 EMP弾構成システム研究って何? 平成30年度から研究が始まったもので、EMP効果を発生させることにより直接的な破壊によらず敵システムの機能破壊を狙うものです。 図1 EMP弾要素 引用URL:https://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/11591426/www.mod.go.jp/j/approach/hyouka/seisaku/29/pdf/jizen_06_sankou.pdf 開発に成功すれば、電磁波領域の戦いにおいて優位に立つことのできるゲームチェンジャーとなるはずでした。 核兵器に頼らない、EMP弾の開発は各国がしのぎを削っています。 図2 防衛省EMP研究 引
リチウムイオン2次電池(LIB)の実用化後の歴史は約30年。一方、発見されてから334年がたったあの“エネルギー”が大規模蓄電の新技術として参戦してきた。アイザック・ニュートンが、木から落ちるリンゴを見て発見したという“重力(万有引力)”を使うエネルギー、すなわち“位置エネルギー”である。既存の揚水発電やLIBと比べてどんな特徴があるのか、誰が利用しようとしているのかを紹介する。 欧米では古くてほぼ廃れたような技術からまったく新しい技術までさまざまな蓄電技術/蓄電媒体に脚光が当たり、それらの開発ラッシュが起こっている。理由は大きく3つ。1つは、電気自動車(EV)の需要が急増する見通しであるため。 2つめは、再生可能エネルギーの大量導入に伴い、その出力変動を平準化、もしくは蓄電して水素など別のエネルギー形態に変換する需要が非常に大きくなると予測されているためである。調査会社の米Bloombe
パルスパワー高電圧スイカ割り(5kJ) 6000Vの高電圧でスイカを割ってみました。 そもそも事の発端はこれです。 スイカ割りという概念に引っかかればOKらしいので、パルスパワーで割ってみます。 つまり、コンデンサに充電した電気を一気に流す装置を作るということです。 といっても、コンデンサとスイッチ、充電回路を用意するだけです。 コンデンサのエネルギー コンデンサに蓄えられるエネルギー(J:ジュール)は次のように計算します。 J = CV2/2 4kV / 500μFのコンデンサを例に取ると以下のように計算出来ます。 J = CV2/2 = 0.0005 * 4000 * 4000 / 2 = 4000[J] ( = 4[kJ] ) つまり、4kV / 500μFのコンデンサに蓄えられるエネルギーは最大で 4[kJ]です。 今回は4kV / 500μFのコンデンサを2個直列にして使用するこ
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く