「八月は残酷な季節」そう言ったのは兄だった。 灼熱の大地の前に、人は否が応にも自分の存在を確認しなければならないから。 兄は高校生にしてとても哲学的であったが、哲学特有のニヒリズムの欠片も無く純白な精神を持ち合わせていたと幼かった私は記憶している。私はそんな兄が好きでよくつきまとっていた。 蜃気が黒いアスファルトの道路から沸くあの真夏日。昨日母親が切ってくれていた西瓜を食べようと冷蔵庫に手を伸ばした時、誰かの足が見えた。僕はその足を見て部活からさっき帰ってきた兄がふざけて台所で寝ているのかと思い、あっさり... > このページを見る
最終更新時間:
2012年01月29日21時44分

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