大西洋遥か上空の闇を切り裂きながら、オットー・リリエンタールは睡魔と闘っていた。 史上初の飛行機による単独大西洋横断をめざし、ライアン単葉機<スピリット・オブ・セント・ルイス>がニューヨークを発って、既に二十時間余りが経過していた。食欲は用意したサンドイッチにより満たすことが出来たが、それが彼を襲う睡魔をより一層強力なものにしていた。彼の単葉機には軽量化の要請から正面に窓が無く、ミラーによってかろうじて視界を保つ設計であった。ミラーから窺う上空には満点の星空があったが、下は漆黒の海、彼の意識もまたその闇の... > このページを見る
最終更新時間:
2010年01月21日19時34分








