一体何故、こんなことになってしまったのだろう。オフィシャル・サイトで公開されたクレジットに記載されている参加ゲストの面子の豪華さにクラクラしながらこの作品を聴いていると、カニエ・ウェストというミュージシャンのエゴは本当に本当に本当に厄介なものだと変な笑いと同時に畏怖の念すら覚える。(つい先日、とうとう本人が「俺のいちばんの敵は俺のエゴだ」と認めてしまった。)多分きっと、やろうと思えば『My Beautiful Dark Twisted Fantasy』のような豪華絢爛な一大ポップ絵巻に仕上げることも不可能ではなかったはずだが、しかし、彼は「完成」も「完璧」も放棄した。TIDALに弾かれることもなく幸運にも作品を手に入れ10周ほど聴いてみても今だに全貌が把握できないし、そもそも全体像が存在するのかも定かではない。しかしながら僕はこの1週間『The Life of Pablo』という作品に完全