送還におびえながら暮らすクルド人の女性(右)と娘たち。左下の書類は仮放免許可書=さいたま市で2025年10月9日午後6時7分、田原拓郎撮影(画像の一部を加工しています) 高校3年のクルド人男性(18)は8月、母国のトルコに帰るため航空機に乗った。同じタイミングで父と母はトルコへ強制送還されていた。 「日本に残りたい」。これが本心だった。だが、両親と離ればなれになることはできなかった。 不法滞在者ゼロプラン――。出入国在留管理庁が始めた施策の裏で、家族離散におびえ、日本での夢をあきらめた外国人がいる。 「学校に通う俺が頑張る」 男性が日本に来たのは約11年前。日本に先に渡った祖父母を頼り、両親と弟、妹とともにトルコから来日した。当時6歳。埼玉県川口市で暮らし始めた。 川口市には在日クルド人のコミュニティーがある。1980~90年代に独立を求めるクルド人組織とトルコ政府の内紛が激化し、日本に逃