川や湖で、岸近くを泳ぐ魚を見かけることはないだろうか。目の前にエサを落としてやれば簡単に釣れるだろうと思い、実際に釣り糸を垂れてみると、見向きもせずに通り過ぎてゆくばかり。このように、「魚がいるにもかかわらず釣れない」ことはよくある。特に人の多い釣り場では、「ここの魚はスレてるからなかなか釣れない」とぼやいた経験がある釣り人も多いはずだ。 スレの原因、2つの説 魚がいるのに釣れない、すなわち魚が「スレ」る原因には、「魚の釣られやすさの個体差」と「魚の釣り針学習」の2つの説が古くから知られている。 前者では、釣られやすい魚が先に釣られ、警戒心の強く釣られにくい魚ばかりが残る結果、最初と比べて釣れにくくなる、とされており、Martin仮説と呼ばれている。後者では、一度釣られてリリースされたり、針から逃げたりした魚がその体験から学習し、釣り針を回避するようになるとされ、Beukumaの学習説と呼