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装丁を味わう
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www.nikkansports.com 昨年(2022年)末に、タモリ氏が「来年(2023年)は新しい戦前になる」と発言したことが話題を呼んでいます。 タモリ氏やタモリ氏の発言に共感するリベラル派は、これまでは「新しい戦前」ではなかったという認識なのでしょう。しかし、はたして本当にこれまでは「新しい戦前」ではなかったのでしょうか。 「戦後」の日本は、日本が犯した侵略戦争への深い反省に基づく憲法9条があるにもかかわらず、1950年に再軍備の第一歩を踏み出し*1、憲法9条のおかげで自らの手を血で汚すことなく朝鮮戦争(1950年~)やベトナム戦争(1960~75年)、イラク戦争(2003~11年)といった「米国の戦争」に加担して暴利をむさぼってきました。そして、いまや世界有数の軍事大国となった日本は、「戦争法」*2が制定されたことによって、憲法9条があるにもかかわらず「集団的自衛権」に名の下に
韓国新外相候補 関係改善に意欲 日本政府は慎重に見極める方針 | NHK | 日韓関係 一方、政府は、太平洋戦争中の「徴用」をめぐる問題や慰安婦問題などで、引き続き韓国側の責任で、適切な対応を求めていく方針に変わりはないとしていて、韓国の国内世論などの動向しだいでは、両国の溝を埋めるのは容易でないという見方も根強くある中、新政権の出方を慎重に見極めることにしています。 韓国に対して相変わらず傲慢な態度の日本政府には、ほとほと呆れるばかりです。日本政府は、いったいいつまで宗主国気分でいるつもりでしょうか。 日本軍性奴隷制問題(日本軍「慰安婦」問題)や日帝強制動員問題(徴用工問題)は、日帝の植民地支配による加害の問題です。したがって、それは当然のことながら、加害者である日本側の責任で解決すべきものです。しかるに、韓国側に責任を転嫁する日本政府の態度は、盗人猛々しいと言わざるを得ません。 おそら
韓国反発で佐渡金山の世界遺産推薦見送りへ…「南京」では日本が反発、「逆の立場に」 : 政治 : ニュース : 読売新聞オンライン 佐渡金山の世界遺産推薦見送りについて、日本ではあたかも「韓国の反発」のせいであるかのような論調が幅を利かせています。しかし、佐渡金山の世界遺産推薦見送りが「韓国の反発」のせいだというのは、大きな勘違いです。 佐渡金山の世界遺産推薦は、「韓国の反発」があるから問題なのではなく、日本の政府や国民が朝鮮人強制労働という「負の歴史」を美化し、正当化することが問題なのです。つまり、これは日本の政府や国民が自国の「負の歴史」と真摯に向き合うかどうかの問題です。 韓国が佐渡金山の世界遺産推薦に反対するのには理由があります。それは、軍艦島を世界遺産に登録する条件として日本政府がした、朝鮮人強制労働の歴史を紹介する約束を日本政府が反故にしていることです*1。日本政府は「韓国の反発
京都・ウトロ放火は「ヘイトクライムの可能性」 市民団体が根絶目指し声明|社会|地域のニュース|京都新聞 東大阪市の民団支部にハンマー投げ込まれる 窓ガラス破損 | 聯合ニュース 在日コリアンが暮らす街や在日コリアンの民族団体を標的としたヘイトクライムが相次いでいます。このようなヘイトクライムは、日本社会がヘイトスピーチを(口では「ヘイトスピーチ、許さない。」と言いながら*1)「表現の自由」の名の下に許容してきた結果として生み出されたものであるといえます。つまり、このようなヘイトクライムを生み出すに至ったヘイトスピーチは、もはや「明白かつ現在の危険」であると言わざるを得ないのです。 もっとも、ヘイトクライムやヘイトスピーチは、ヘイトクライムの実行犯やヘイトスピーチを撒き散らすネット右翼やレイシストだけの問題ではありません。もちろん、ヘイトクライムやヘイトスピーチを非難することは、「ヘイトクラ
「処理水」海洋放出へ 風評被害の対策強化|日テレNEWS24 「風評被害」というのは、日本政府と東京電力にとって実に便利な言葉です。なぜなら、汚染水の海洋放出による漁業被害に関して、汚染水の海洋放出による健康被害を憂慮する人たちを加害者に仕立て上げることで、政府と東電は加害責任を免れることができるのですから。 汚染水を「処理水」と言い換えたところで*1海洋放出する水が放射性物質に汚染されている事実は変わりません。それでも、政府と東電は「科学的には安全だ」と強弁するでしょう。しかし、経産省も認めているように*2、「ALPS処理水」には政府が安全だと主張する*3トリチウム以外の放射性物質が含まれています。それゆえ、政府と東電が「科学的には安全だ」と言ったところで、ストロンチウム90などによる健康被害への懸念は払拭されません*4。また、政府は五輪招致のプレゼンテーションで当時の首相が「汚染水は福
おそらくコリアン差別反対を訴える日本人の多くは、日本による朝鮮の植民地支配という「負の歴史」に大きな関心を持っていることでしょう。しかし、なかには「今そこにあるコリアン差別に反対の声を上げることこそが重要であり、どのような歴史認識を持つかは問題ではない」と考える人もいるかもしれません。 日本社会からコリアン差別をなくすために、日本社会のマジョリティである日本人が今そこにあるコリアン差別に反対の声を上げることは、言うまでもなく大事なことです。しかし、それだけでは、日本社会からコリアン差別をなくすことは決してできません。なぜなら、日本社会の差別構造が温存され、コリアン差別を「是」とする価値観が日本社会の支配的価値観である限り、いくらコリアン差別に反対の声を上げたところで、コリアン差別は当たり前のように生み出され続け、当たり前のように社会に受け入れられてしまうからです。もちろん、コリアン差別を「
菅首相「韓国は国際法上の違反 是正措置を」韓国での判決受け | 日韓関係 | NHKニュース 本当に日本軍性奴隷制被害者に対する「心からのおわびと反省の気持ち」*1が日本政府にあるならば、日本政府は今般の判決を真摯に受け入れるはずです。しかし、今般の判決に対する日本政府の態度に鑑みると、日本政府による「心からのおわびと反省の気持ち」の表明は、やはり口先だけのようです。 日本の菅首相は、今般の判決を「国際法上、主権国家は他国の裁判権には服さないのが決まり」であり、国際法上の違反であると主張しています。たしかに、慣習国際法上は主権国家は他国の裁判権に従うことを免除されるという主権免除の規則が存在します。しかし、これは決して絶対的な規則ではありません。なぜなら、今日では国家の私法的・商業的な行為については裁判権からの免除を認めないとする「制限免除主義」が通説だからです(最高裁判所平成18年7月2
旭日旗をめぐる問題*1について、日本では「旭日旗の使用が問題されるのは、韓国が旭日旗を『戦犯旗』と決めつけるからである」という論調が右派メディアを中心に展開されています*2。要するに、「『旭日旗問題』はそもそも存在しないのに、韓国が旭日旗に難癖をつけるから問題化するのだ」と言いたいのでしょう。しかし、それは「旭日旗問題」の本質を見誤っています。 旭日旗は、韓国が「戦犯旗」と決めつけるから戦犯旗なのではありません。旭日旗が戦犯旗なのは、それがアジアを侵略した日本軍の軍旗(軍艦旗)であり、それゆえに日本軍国主義の象徴だからです。つまり、旭日旗を戦犯旗にしたのは他でもない日本であって、たとえ韓国が旭日旗を「戦犯旗」として批判の対象にしなくても、旭日旗の使用は日本軍国主義を賛美し侵略戦争と植民地支配の歴史を正当化するものだと批判されてしかるべきなのです。そして、旭日旗は日本がアジア侵略に手を染めた
日本国民が自国の政権やマスメディアを批判するにあたって「まるで『北朝鮮』のようだ」と朝鮮を引き合いに出すことが、朝鮮に対する批判ではなく悪魔視であることは、過去のエントリで述べたとおりです*1。しかし、「まるでかつての日本である大日本帝国のようだ」というのも、それはそれで問題があると思います。 おそらく、日本国民の多くが「民主主義国家である戦後の日本は、大日本帝国とは違う」と言うはずです。しかし、はたして本当にそう言い切れるでしょうか。 「大日本帝国は、決して『過去の日本』ではない」と言うと、きっとリベラル派の皆さんから「お前は『戦後民主主義』(あるいは『戦後平和主義』)を否定するのか」とお叱りを受けるでしょう。もちろん、私は「戦後民主主義」あるいは「戦後平和主義」の全てを否定するつもりなどありません。しかし、「民主主義国家である戦後の日本は、大日本帝国とは違う」はずなのに、なぜいまだに国
(社説)慰安婦合意 意義を再評価し前進を:朝日新聞デジタル 日本軍性奴隷制問題をめぐる朝日新聞の誤報が日本軍性奴隷制問題に関する日本政府の責任を免れさせるものではないのと同様に、尹美香氏をめぐる不正疑惑が日本軍性奴隷制問題に関する日本政府の責任を免れさせるものではないことは言うまでもありませんが、それはさておき、日本軍性奴隷制問題をめぐり、相変わらず朝日新聞は傲慢な勘違いを犯しています。 日本軍性奴隷制問題が人権問題であるのは、もちろんその通りです。それなのに、どうして朝日新聞は「政治的な落着点」にすぎない日韓「慰安婦合意」の意義を再評価すべきだと言うのでしょうか。日本軍性奴隷制問題が人権問題であるならば、「政治的な落着点」にすぎない日韓「慰安婦合意」の意義を再評価すべきだとは言えないはずです。残念ながら朝日新聞は、日本軍性奴隷制問題が人権問題であることの意味をうわべだけしか理解していない
(教育考差点)平和のバトン、子どもにどう渡す:朝日新聞デジタル 拙ブログでもこれまでたびたび触れてきましたが、戦後日本の「平和教育」は、日本の戦争被害を重視し、日本が犯した侵略戦争や植民地支配による加害を軽視してきました。そして、それは「戦後平和主義」の最も大きな問題であると、私は思います。したがって、日本の戦争被害を重視し、日本が犯した侵略戦争や植民地支配による加害を軽視してきた戦後日本の「平和教育」を問い直すことは、私も大いに賛成です。 「平和教育」における日本が犯した侵略戦争や植民地支配による加害の取り上げ方に関して、東京女子大学准教授の竹内久顕先生は、「戦争の加害行為は、一人の人間が命令に背けなかったという被害者的な側面まで学べば、重層的な理解につながる。」とおっしゃいます。たしかに、「日本人の被害者的な側面」を経由することで日本の戦争加害に対して日本人が抱く抵抗感を和らげることが
「ひろしまタイムライン」NHKが謝罪 差別助長と批判:朝日新聞デジタル NHK広島放送局の企画「ひろしまタイムライン」で民族差別を助長する投稿がなされた問題に関して、「平和への意識が高いはずの広島の放送局が、なぜこのような過ちを犯してしまったのか」と思う人は、おそらく少なくないでしょう。しかし、それはNHK広島放送局にとって「ヒロシマ」というものが、つまるところ日本が犯した侵略戦争や植民地支配による加害を忘れるためのものでしかなかったということなのだと思います。 NHK広島放送局がホームページに掲載した釈明文*1によれば、「ひろしまタイムライン」の企画趣旨は「被爆された広島の人々の日記や手記を元にし、SNSで発信することによって、当時の混乱した状況を追体験し、戦争や原爆について、リアリティをもって考えていただく取り組み」とのことですが、その「被爆された広島の人々」とは、実際のところ日本人だ
日本のリベラル派の中には、安倍政権の暴政やNHKの翼賛的な報道を批判するにあたって、「まるで『北朝鮮』のようだ」と朝鮮民主主義人民共和国(以下、朝鮮と略す)を引き合いに出す人が少なからず見受けられます。彼らは、「まるで『北朝鮮』のようだ」というのは「『北朝鮮』を差別しているのではなく、批判しているのだ」と言います。しかし、彼らは勘違いしています。「まるで『北朝鮮』のようだ」というのは、「北朝鮮」に対する批判ではなく、朝鮮を悪魔視するものです。 もっとも、こう言うと彼らは「『北朝鮮』を批判してはいけないのか」と反発するかもしれません。どうか、誤解しないでください。私は、朝鮮を批判するなと言いたいのではありません。私が言いたいのは、朝鮮を悪魔視するなということです。 安倍政権の暴政やNHKの翼賛的な報道を批判するにあたって、なぜわざわざ朝鮮を引き合いに出すのでしょうか。わざわざ引き合いに出さな
1都3県や北海道の移動、19日に解禁…1000人規模のイベントも : 政治 : ニュース : 読売新聞オンライン 県をまたぐ移動の自粛解除に関する報道では、「解禁」という表現が多く見られます。 新型コロナウイルス禍ですっかり忘れられてしまっているようですが、移動の自由は基本的人権です。それゆえ、移動を禁止するには、法治主義の下では法的根拠に基づかなければなりません。しかし、新型インフルエンザ等対策特別措置法*1は、あくまでも外出自粛の要請にとどまるものであって、移動を禁止するものではありません。つまり、県をまたぐ移動はそもそも禁止されていなかったということです。それにもかかわらず、もし多くの人が「解禁」という表現に違和感を覚えないのだとすれば、やはり日本社会の人権感覚に問題があると言わざるを得ないでしょう。 もちろん、私も新型コロナウイルス感染症は怖いですし、新型コロナウイルスの感染拡大を
yukito-ashibe.hatenablog.com 前エントリーで引用した共同通信の記事*1からは不明でしたが、朝日新聞*2や朝鮮日報*3の記事によれば、軍艦島における朝鮮人差別の存在を否定するために日本政府が援用する「元島民」の証言は、日本人のものだけではなく在日韓国人2世の方(故人)のものもあるようです。このことから、「差別されたとされる朝鮮人が『朝鮮人差別はなかった』と言うのだから、朝鮮人差別はなかったのだ」と思う日本国民も少なからずいるでしょう。 もちろん、私はこの「元島民」であった在日韓国人の方の証言が虚偽であるなどと言うつもりはありません。たしかに、この証言者にとっては「朝鮮人差別はなかった」というのが「真実」なのでしょう。しかし、言うまでもなくこの証言者の証言が軍艦島の朝鮮人差別に関する証言の全てではありません。周知のように、軍艦島の朝鮮人差別を告発する朝鮮人労働者の証
日本で生まれ育った日本人からすると人種差別っていまいちピンと来ないかもしれないけど、今アメリカで起きていることは未来の世界史に載るような歴史的な局面かもしれない…というかそうであってほしい — 宇多田ヒカル (@utadahikaru) 2020年6月4日 今般のアメリカでの人種差別問題*1に関して、日本でも抗議デモに対して「連帯」を表明する人がいるものの、冷淡な人も決して少なくないでしょう。この、日本人が人種差別問題に冷淡である理由として、アメリカのように多民族社会ではない日本では人種差別や民族差別がほとんどないからだ、ということを挙げる人が少なからずいます。それが「日本は単一民族国家である」という幻想に囚われた誤解であることは、少し考えれば容易に分かることです。 多数の日本人が人種差別や民族差別に無頓着であるとして、それは日本に人種差別や民族差別がほとんどないからではありません。むしろ
安倍首相「ブルーインパルス」の”感謝飛行”に拍手 医療従事者にもあたらめて感謝と敬意:中日スポーツ・東京中日スポーツ https://www.chunichi.co.jp/article/64602 今回のブルーインパルスの編隊飛行に関しては、これを称賛する多くの声がある一方で、「新型コロナウイルスへの対応にあたる医療従事者らへの敬意と感謝を示すこととブルーインパルスの編隊飛行に、いったい何の関係があるのだろうか」と疑問を呈する声も決して少なくありません。たしかに、新型コロナウイルスへの対応にあたる医療従事者らへの敬意と感謝を示すこととブルーインパルスの編隊飛行に、いったい何の関係があるのか私もさっぱり分かりません。ただ、「新型コロナウイルスへの対応にあたる医療従事者らへの敬意と感謝を示すための飛行」という政府が主張する趣旨を額面通りに受け取るのは、いささかナイーブすぎるでしょう。 私が思
【サンデーモーニング】2020年5月10日放送 黒板解説「検察庁法改正案」解説:青木理 民主主義の下では、行政は国民を代表する議会が定めた法律に従って行われなければなりません(法治主義)。今般問題となっている、内閣提出の*1検察庁法の改正法案は、安倍政権のお気に入りである黒川弘務東京高検検事長が検察のトップである検事総長に就任できるようにするために、検察官の定年を引き上げるものです。これは、政権に都合よく法律をいじるものであって、このようなことが許されるとすれば、法治主義、ひいては民主主義は崩壊します。それゆえ、私たち日本の人民は、日本が民主主義国家だと言うのであれば、このような法治主義、ひいては民主主義を破壊する検察庁法の改悪を、絶対に許してはなりません。 もっとも、今般の検察庁法の改悪に反対する人の中には、「新型コロナウイルス禍で大変な時にやるべきことではない」と言う人も少なからず見受
とどまるところを知らない安倍政権の暴政について、リベラル派の中には「安倍を首相に選んだ国民が悪い」と言う人が少なからずいます。たしかに、日本が民主主義国家であれば主権者たる国民の責任が全くないということはありません。しかし、日本では国民が首相を選挙によって直接的に選ぶ首相公選制を採用していないのですから、国民が安倍氏を首相に選んだというのは誤解です。 安倍氏が首相であるのは、国会の多数派である政権与党によって選ばれたからです(憲法67条1項参照)。つまり、それは国民の多数が自民党と公明党を政権与党に選んだ結果であり、安倍氏が首相であることについて国民に問題があるとすれば、それは国民の多数が自民党と公明党を政権与党に選んだ点です。 もっとも、国民に問題があるといっても、自民党と公明党を政権与党に選んだのはあくまでも「国民の多数」ですから、私のように自民党と公明党を政権与党に選んでいない政治的
今般の新型コロナウイルス禍において、生活保障を訴えるリベラル派を「政府を敵視するリベラル派が政府に頼ろうとするのは矛盾した態度だ」と冷笑する声がしばしば聞かれます。 ネオリベラリズム的な発想からすると、国家権力からの自由を主張するリベラル派が生活保障を訴えることは矛盾なのかもしれません。しかし、人権理論からすれば、それは誤解です。すなわち、「国家からの自由(自由権)」を求めながら「国家による自由(社会権)」を求めることは、何ら矛盾するものではありません。なぜなら、「国家からの自由」を求めることも「国家による自由」を求めることも、どちらも人権の実現を求めるものだからです。 ただし、ここで誤解していただきたくないのは、感染症の拡大を防止するための強権的措置を講ずることは「国家による自由」ではないということです。感染症の拡大を防止するための強権的措置を講ずることは、たとえそれによってある人権が実
リベラル派の中には、「安倍のようなバカが首相のままでいられるのは、国民がバカだからだ」と言う人が少なからずいます。たしかに、安倍氏が首相のままでいられるのは、国民の多数が政権与党である自民党を支持し続けていることもその一因かもしれません。しかし、果たして本当に、「アベ政治」がのさばり続けるのは「国民がバカだから」で済む話なのでしょうか。 私は「愚民観」には与しませんが、仮にもし民衆が愚かだとして、そんな「愚かな民衆」を作り上げたのは、いったい誰(何)でしょうか。まさか、民衆が愚かなのは一人ひとりの「自己責任」だとでも言うのでしょうか。 「安倍のようなバカが首相のままでいられるのは、国民がバカだからだ」と言う人は、「木を見て森を見ず」の過ちを犯しています。「アベ政治」は、あくまでも「構造」の問題です。つまり、いくら民衆を「バカだ」と罵ったところで、「アベ政治」をのさばらせる「構造」を変えなけ
徴用工問題(日帝強制動員問題)において、被害者への賠償を命じる韓国大法院判決の加害企業による誠実な履行を妨げる日本政府の対する批判の中には、「単なる企業による酷使や搾取の問題なのに、なぜ日本政府が介入するのか」という意見が少なからず見受けられます。 たしかに、徴用工問題は日帝植民地支配下で起きた日本企業による人権侵害問題であって、「日韓の政治対立」の問題ではありません。しかし、「日本企業による人権侵害問題」だからといって、それは「単なる企業による酷使や搾取の問題」でもありません。 日本企業が朝鮮人労働者に対して奴隷的な労働を強いることができたのは、まさに日帝の植民地支配があったからこそです。つまり、日帝の植民地支配は、徴用工問題の本質的な特殊性だということです。この点に鑑みれば、徴用工問題を「単なる企業による酷使や搾取の問題」だと言うことはできません。 このように、徴用工問題が「単なる企業
日本社会の差別に声を上げるマイノリティに対して、「日本社会の差別をなくしたければ、マジョリティを敵ではなく味方にする努力をすべきだ」と言うマジョリティがいます。おそらく彼は、穏当な意見を言ったつもりなのでしょう。しかし、それは穏当であるどころか、むしろ傲慢であるといえます。 「日本社会の差別をなくしたければ、マジョリティを敵ではなく味方にする努力をすべきだ」と言うマジョリティは、大きな勘違いをしています。人権は、国から恩恵として与えられるものではなく、人間が人間であることから当然に有する権利であり、それはマイノリティの人権でも変わりありません。それゆえに、マジョリティの機嫌の良し悪しにかかわらず、マイノリティは差別されてはならないのです。つまり、日本社会の差別をなくすために努力しなければならないのは、ほかならぬマジョリティなのであり、マジョリティがマイノリティに努力を求めるのはお門違いもい
東京新聞:「天皇の政治利用」懸念 首相、代替わり絡め改憲意欲:核心(TOKYO Web) 天皇の「代替わり」にともなう儀式に関して、リベラル派の多くが「安倍政権は天皇を政治利用している」と安倍政権を批判しています。 安倍政権が天皇を政治利用しているというのは、確かにその通りだと私も思います。しかし、「安倍政権は天皇を政治利用している」と安倍政権を批判するリベラル派は、根本的な誤解をしています。問題の本質は、安倍政権が天皇を政治利用する点ではなく、象徴天皇制そのものが神話という虚構に由来する天皇の権威を権力者が政治的に利用することで人民を束ねんとする支配装置だという点にあります。つまり、象徴天皇は、安倍氏のような権力者によって政治利用されることに意義があるのです。 リベラル派の中には、「象徴天皇の意義は安倍氏のような権力者によって政治利用されることにあるのではない。天皇とは『祈る存在』であり
www.asahi.com 私は天皇制廃止論者です。しかし、天皇制廃止の目的を「天皇や皇族の解放」であるとする論には与しません。 天皇制は、神話という虚構に由来する天皇の権威によって人民を支配するための制度なのですから、それを廃止する目的は、あくまでも天皇制によって抑圧・支配されている人民の解放です。天皇制の廃止によって天皇や皇族が天皇制から“解放”されるとしても、それは人民が解放されることの反射的利益にすぎません。 たしかに、目的が「人民の解放」であろうと、「天皇や皇族の解放」の解放であろうと、結果は同じかもしれません。しかし、だからといって神話という虚構に由来する天皇の権威によって人民を支配するための制度であるという天皇制の本質を看過することは、知的不誠実であると言わざるを得ないでしょうし、知的不誠実であるのみならず、天皇や皇族の“人権”を心配する一方で天皇制によって踏みにじられている
昨今の「日韓関係悪化」について、日韓両政府の政治上の意地の張り合いが要因だとの見方が少なくありません。しかし、それはあまりにも浅薄な見方です。 なぜ、そのような浅薄な見方が少なくないのでしょうか。思うに、それは「日韓65年体制」という新植民地主義的な体制の矛盾を看過しているからです。 日本のマスメディアは、あたかも韓国市民による日本製品不買運動や韓国政府によるGSOMIA破棄決定が「日韓関係悪化」を深刻化させているかのように報じています。しかし、そもそも韓国市民による日本製品不買運動や韓国政府によるGSOMIA破棄決定を招いたのは、日本政府の韓国に対する経済報復です。そして、それは徴用工と呼ばれる日帝強制動員被害者の司法的救済に対して行われたものです。つまり、経済報復という植民地主義的な手段によって(これを可能ならしめるのが、まさに「日韓65年体制」という新植民地主義的な体制です)日帝強制
“一方、浅野善治・大東文化大大学院教授(憲法学)は「審査結果の正しさや公平性をどう担保するのかが不透明だ。ヘイトスピーチは人によって善悪の判断が異なるため、審査会では抽象的な基準でしか議論できない」と指摘。” ヘイト、刑事罰条例成立へ 川崎市、違反3回で最高50万円罰金:朝日新聞デジタル ヘイトスピーチに関して、浅野善治教授のように「ヘイトスピーチは人によって善悪の判断が異なる」と言う「有識者」は少なくないと思います。 たしかに、ヘイトスピーカーはヘイトスピーチを悪いと思っていないでしょう。しかし、たとえヘイトスピーカーがヘイトスピーチを「善い」と思ったとしても、ヘイトスピーチはマイノリティの人権を客観的に侵害するものにほかなりません。それとも、日本社会には「善い」民族差別煽動があるとでもいうのでしょうか。 「人によって善悪の判断が異なる」というのは、究極的には窃盗や殺人についても言えるこ
韓国国会、東京五輪での旭日旗禁止を求める決議:朝日新聞デジタル 韓国国会が東京五輪での旭日旗禁止を求める決議をしたことを報じる、朝日新聞の記事。この記事を読んで、私はその論調に疑問を覚えずにいられませんでした。 どうして武田肇記者は、「決議は、旭日旗を『第2次世界大戦当時の日本の帝国、軍国主義の象徴』と位置づけ」たなどと、さも韓国が旭日旗を「第2次世界大戦当時の日本の帝国、軍国主義の象徴」と決めつけたかのような書き方をするのでしょうか。まさか、武田記者の認識は、「韓国が旭日旗を『第2次世界大戦当時の日本の帝国、軍国主義の象徴』と位置づけなければ、旭日旗は『日本の帝国、軍国主義の象徴』ではない」というものなのでしょうか。もしそうであれば、その認識は間違っていると言わざるを得ません。 旭日旗が「日本軍国主義の象徴」であるのは、韓国がそう位置づけるからではありません。アジアを侵略した日本軍の軍旗
朝鮮学校の授業料無償化除外は「適法」 最高裁で確定:朝日新聞デジタル 去る8月28日(なお、決定は27日付)、最高裁判所は、朝鮮学校を高校の授業料無償化の対象から除外した国の処分が違法だったかどうかが争われた訴訟で、「(朝鮮学校の)教育内容や人事に朝鮮総連が影響を及ぼしている」などとした公安調査庁の調査を根拠に無償化の対象外とした判断は「裁量権の範囲を逸脱したものとはいえない」と認定した一、二審判決を支持し、東京朝鮮中高級学校の卒業生らの上告を退けました。つまり、日本の司法府は、「朝鮮総連の影響」などが、日本政府の朝鮮学校に対する差別を正当化する理由となることを認めたのです。 安倍政権は、日本政府の朝鮮学校に対する差別を正当化する理由として、「朝鮮総連の影響」や「『北朝鮮』の核問題」、「『北朝鮮』による日本人拉致問題」といったことを挙げています*1。おそらく、日本国民の多くも、これらが、日
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