サクサク読めて、アプリ限定の機能も多数!
トップへ戻る
雑学
news.yahoo.co.jp/byline/saorii
ロシア当局が初めて、国内の領土でウクライナ側と衝突があったと認めた。3月2日のことである。 2022年2月の戦争開始どころか、2014年のクリミア併合とドンバス紛争から見ても、初めてである。これが3月前半のウクライナ戦争関連で、筆者が一番気になった出来事である。 ロシア当局は3月2日、ウクライナ人民族主義者のグループである破壊工作員が、ウクライナ国境から数百メートル離れたロシア領内のブリャンスク州のリウビエチャネ村に侵入。乗用車に乗っていた民間人2人を殺害し、11歳の少年が負傷したと主張した。 プーチン大統領はテレビ演説で、「ネオナチ」と「テロリスト」が「市民に発砲」した攻撃を非難、「我々は彼らを粉砕する」と言った。 そして実際に、ウクライナに軍事的に報復した。それまでの数週間の中でウクライナへの攻撃は、最大規模のものとなった。 その上ロシアでは、テロが誇張されて恐怖を煽るように伝えられた
ラトビアのガルカルネで荷降ろし中のエイブラムス。露への抑止のため。2017年2月(写真:ロイター/アフロ) アメリカのバイデン大統領は1月25日、ウクライナに対して主力戦車である「エイブラムス」31両を供与することを発表した。 米国防総省は長らく、「M1エイブラムス」はウクライナの戦場での運用には適さないと主張してきて、供与に否定的だった。 その理由としては、様々なものが挙げられた。このハイテク戦車は世界トップクラスだが高価である、ガスタービンエンジンで動き特殊な燃料を使い、燃料を補給するためのタンカーが同行する必要がある(兵たんの問題)、維持に費用がかかる、取り扱いが複雑でメンテナンスも難しい、広範な訓練も必要・・・など。 ドイツは、単独でレオパルト2を供与することに反対していた。アメリカはドイツと協議する中で方針を変更したと言われるものの、在庫から出すのではないために、いつ届くことにな
1月13日、ソレダルから約4キロの地点にいたCNN取材班のジャーナリストは、ウクライナ軍が組織的に見える形で部隊を撤退させるのを目撃したという。 CNNがライブで放送した。「撤退するウクライナ軍にパニック感はなかったようだ」と指摘する。 ソレダルから撤退しても、南西に数キロ離れたバフムートへのウクライナ軍への補給能力に影響を与えないし、バフムートへの主要道路2本はウクライナの手中にしっかりと残されている。そのように、ウクライナ特殊部隊第一旅団のタラス・ベレゾベツ大尉が、この撤退と同じ13日に CNNに語った。 さらに、ウクライナの戦士は、13日のあいだ中、バフムートに近いロシア陣地を攻撃し続けているという。 さらに、ロシア軍の滞在所と思われる建物で爆発が起きた。 ツイートには、ハイマースのおかげだと書かれている。 CNNは、位置特定を行った。この映像のロングバージョンのほうは、現地にいたウ
英国国防省は1月2日、「この5日間、ロシア軍とウクライナ軍は、ロシアが支配するルハンスク州の町クレミンナの北を通る66号線幹線道路(P66)の支配権をめぐって、おそらく戦闘を続けている」と報告した。 66号線はロシア軍にとって、ロシアのベルゴロド地方からドンバス戦線北部への、重要な補給路となっている。 ここの地域では、道路と沿うように鉄道も走っている。 ロシアは首都キーウから撤退した後、東部に力を結集させることを選択した。 そして4月18日から19日にかけて、一夜にして、最初に陥落させたのがドネツク州のクレミンナであった。それほど、補給路として重要な地だったのだ。戦争が始まる前は1万8000人の住人がいた小さな町だったのだが。 クレミンナの鉄道駅。en.wikipedia.orgより。Visem作。 クレミンナは、ドネツク州のクラマトルスクの、北東約50キロメートルに位置している。2014
フランスのシャンパーニュ地方の湖で、30キロの「金魚」が釣り上げられた。 英『ガーディアン』の報道によると、見事に釣ったのは、イギリス人のアンディ・ハケットさん、42歳。英語名で「ブルー・ウオーター・レイク」でのことだ。 彼は、釣り上げるのに25分かかったと語る。重さは正確には67パウンド4オンスである(30,5040868825..キログラム)。 英『メール・オンライン』によると「キャロットがいるのはずっと知っていたけど、まさか釣れるとは思わなかった」 「私の餌に食いついて、餌と一緒に左右上下に移動したときに、大きな魚だとわかった。それから30~40ヤード先(30メートル前後先)の水面に出てきて、オレンジ色をしているのが見えたんだ」 ゴールドフィッシュのことは、その色から「キャロット(人参)」という愛称で呼ばれている。 今回釣られた「ゴールドフィッシュ(金魚)」は、なんでも世界で二番目に
戦士した兵士に敬意を表するキーウの「追憶の壁」。ポーランドのラウ外相とクレバ外相(写真:ロイター/アフロ) この記事は前編の続きです。【前編はこちらをクリック】 「2月24日の侵略初日から、我々は次の問いの答えを探し求めてきました。ウクライナに攻撃を始めた者たちを裁判にかけるには、どうすればよいのかと」。 9月23日、ウクライナ大統領府の副長官で、弁護士でもあるアンドリー・スミルノフ氏は、米『タイム』誌に寄稿をした。 タイトルは「我々は、プーチンとその体制を裁判にかけるための、特別法廷が必要だ」である。 彼は述べている。 「戦争犯罪を犯したロシア人兵士とその指揮官は責任を問われるでしょう。しかし、1つの疑問が未解決のままです。侵略の罪を犯したロシア政府関係者は、刑事責任を問われるべきではないでしょうか」。 ロシア政府関係者とは、ウクライナへの軍事侵攻を公けに支持したプーチン大統領と、ロシア
ウクライナ人の指揮者ユーリ・ケルパテンコ氏が、ロシア兵に射殺された。 彼は、紛争開始以来占領されているウクライナ南部の都市ヘルソンで、自分の家にいたところ、「占領軍への協力を拒否した」ために、家の中でロシア兵に射殺されたという。AFP通信が報じた。 「残忍な殺害」は10月14日にはメディアで明らかになり、翌15日にはウクライナ文化省が理由を発表した。 「マスコミの報道によると、10月1日の国際音楽デーに際して、占領軍とその協力者であるフィルハーモニー管弦楽団が、ヘルソンで祝祭コンサートを計画していたとのことです」と情報筋は語る。 ロシア側は「このコンサートを、ヘルソンにおける、自称『平和な生活の回復』のデモンストレーションにしたかった」。しかし、指揮者であるユーリ・ケルパテンコ氏は「占領軍との協力をきっぱりと拒絶した」と同省は述べている。 2000年からヘルソン・フィルハーモニー管弦楽団に
ロシアとリトアニアの間の緊張が高まっている。 欧州には、カリーニングラードというロシアの飛び地がある。リトアニアとポーランドに挟まれて、バルト海沿岸にある(以下の地図参照)。 ベルリンからは527キロしか離れていない。大まかに言うなら、東京から西なら京都、北なら花巻あたりの距離である。 ロシア本土と飛び地カリーニングラードの間には、列車が走っている。ベラルーシとリトアニアを通るものだ。旅客も貨物もある。 欧州連合(EU)がロシアに対して行う第4次制裁では、石炭、金属、建設資材、化学物質、コンピューター、携帯電話などに適用される。7月にはセメントとアルコールにも拡大される予定だ。 これらの物資は、列車でカリーニングラードに運ばれている。リトアニアは、制裁によって前述の物資は、同国を通過させないと6月17日に発表した。これはカリーニングラードにとって輸入品の4割から5割に影響を及ぼすという。
ウクライナ戦争が始まってから、1ヶ月が過ぎた。 執筆者群の片隅の一員として、あふれる情報に溺れながら、どの情報が正しいのか、どのテーマを書くべきか、悩みながら1ヶ月が過ぎたのだが・・・。 ずーっと不思議というか疑問に思っていることがある。 日本では、2月24日から始まったこの戦いの名称として「ロシアによるウクライナの侵攻」あるいは「軍事侵攻」という表現が一般的になっている。 なぜ「侵攻」なのだろう。これは「戦争」じゃないのだろうか。 フランスのメディアは、ロシアが二つの自称独立国を承認したり、この地域内で争ったりしていた間は、ロシアや軍の行為に対して「ロシアの invasion」という言葉を使っていた。「invasion」は、日本語では「侵略」とも「侵攻」とも訳すことになっている。戦争という言葉は使っていなかった。 しかし、この範囲を飛び越えた2月24日からは、仏メディアは一斉に「戦争」と
コンスタンティノープル総主教ヴァルソロメオス(左)が、独立教会のトモスを、エピファニウス氏に手渡す。儀典上、キエフ(キーウ)総主教が独立した瞬間である。2019年1月6日。 「ロシアがウクライナで行っている戦争は、宗教的なものでもあります」。 歴史家のアントワーヌ・アルジャコフスキー氏は分析する。 2018年12月、キリスト教の正教会に、大激震となる出来事が起きた。 ウクライナの首都キエフ(キーウ)で開催された協議会によって、ウクライナ正教会の独立が決まったのである。 それまでウクライナ正教会は、ロシア正教会に属していた。330年以上も。それを、正教会の中で最も象徴的な権威をもつコンスタンティノープル正教会が、独立を認めたのだった。 ウクライナの信者をモスクワ総主教の直接の監督下に置くという勅令がくだされたのは、1686年のことだ。それを「撤回」したのだった。 既に2カ月前の10月、承認が
最近、日本のメディアを見ていて、一つ不安になることがある。 あまりにもアメリカに影響されすぎているのではないか、ということだ。 数日前、ロシアは「露軍がマリウポリ市内に入った」と発表した。 これは、フランスではすぐにニュースとなった。英国やポーランドでもそうだったと認識している。主要トピックの中に1日あった。 ところが日本のメディアでは、これをはっきりと報じた所と報じなかった所に分かれたと思う。 なぜだろうと考えると、私が把握した範囲であるが、アメリカのメディアが言わなかったからだと思う(大衆紙レベルでは報道されていたようだ)。 アメリカ側は「ロシア軍によるマリウポリ包囲戦がどんどん激化しているが、ウクライナ軍はまだ必死に抵抗している」という立ち位置である。 公式にはアメリカは参戦していないが、アメリカのメディアには「情報戦でロシアと戦争をしている」という強い意識はあるだろう。だから、ロシ
ウクライナの国営原子力発電公社(エネルゴアトム)は9日水曜日、テレグラムのメッセージで、チェルノブイリ原発とその安全装置への電力供給が、戦闘のため「完全に」遮断されたと発表した。 同公社は、チェルノブイリに保管されている燃料を「常に冷却する必要があります」と述べた。「これは、電気があればこそ可能なことです。このままでは、ポンプが冷えません」。仏紙「ル・モンド」が伝えた。 同公社は「環境への放射性物質の放出」のリスクを警告し、「風はウクライナ、ベラルーシ、ロシア、ヨーロッパの他の地域に放射性の雲を移すことができる」とも述べている。もちろん、欧州だけではない。日本にも関係する。 国際原子力機関(IAEA)は8日、1986年に民間で最悪の原子力災害を引き起こしたチェルノブイリ原発の核物質を遠隔監視するシステムが、データの送信を停止したと報告した。つまりIAEAでは原発の状況を把握できていないとい
ウクライナの西に異変が起きた。 キエフの南西約200キロにあるヴィーンヌィツャの町がミサイル攻撃を受けて、ヴィーンヌィツャ空港が破壊された。 西側への攻撃は、黒海沿岸をのぞけば、これが初めてだろう。これは、ウクライナ戦争の新局面となるに違いない。 西側というのは、ドニエプル川の西側という意味である。 プーチン大統領の「軍事インフラの破壊は終わった」という舌の根も乾かぬうちに、1日も経っていないのに、この攻撃は実行された。プーチン大統領の戦略は、首都キエフ(キーウ)、ドニエプル川の東、黒海沿岸地域だけではなく、全土を視野に入れている可能性が出てきた。 ゼレンスキー大統領は、西側が同国上空に飛行禁止区域を設ける事を拒否し、戦闘機の提供を渋っている事を再度批判。 「私達は人間であり、私達を守ることはあなた方の人道的義務である」、「少なくとも私達が身を守れるような飛行機を与えないのなら、私達の結論
長く続いた翻訳も、やっとこれで最終回です。ここまで読んでくださった方、どうもありがとうございます。 一つだけ記しておきたいです。これは国の公式の演説で、プーチン大統領が承認した内容であることは間違いないです。でも、必ずしも全部プーチン氏が書いたかどうかはわからないと思います。 訳していて、原稿を書いたのは一人ではないような印象をもっています。言葉の調子が同じではないというか、外交的表現度が違う個所があるというか。全体は演説らしい文体になっていますが、「私」がよく使われるブロックがあったり・・・文章で、そう感じるのです。 これも原文ロシア語が理解できれば、もっと詳細にわかりますが、訳文であってもある程度はわかります。 確かに、内容からしても、一人の執筆者とは思えないというのはあります。でも、一人の人間の中に、矛盾したり、解読しがたい複雑な考えが同居したりすることはありますので、こちらは何とも
キリル総主教と共に。ペイプス湖付近で中世の王子ネフスキーの記念碑除幕式。21年(写真:ロイター/アフロ) 今まで使っていたクレムリンの公式サイト英語版の演説を見ようとしたら、つながらなくなってしまいました。 ネット上ではよくある一時的なものなのか、全体の動きと関係があるのか、私だけなのか全くわかりません。ちなみに他のサイトは問題なくつながります。 まずは、近場に住む友達につながるか聞いてみたいですが、こちらは真夜中なので今は無理です。 (なんとなく恐いです。もし私の記事のアップが全くなくなり、私の身に何かあったら、このことを思い出してください・・・なんて)。 今まで使っていたクレムリンの英語版をそのまま写しているサイトがないか探しましたが、みつかりませんでした。要点だけ引き出したものなら沢山あるのですが。 (まあ、確かにいつでも公開されていて見られると思えば、わざわざミラーをつくりませんよ
2013年12月8日、百万人規模の人が反政府・親EUのデモを行ったマイダン広場(写真:ロイター/アフロ) お待たせいたしました。「1」の続きです。 今回は、親露派政権を追い出してウクライナで政権を握った、親西側で民主派と呼ばれるマイダン政権の批判です。 首都キエフにある広場(マイダン)に、大規模な反政府・反腐敗・反ロシア・親EUの人々が集まってデモが起きたので、彼らのことや政権を「マイダン」と呼ぶようになりました。 ちなみに、広場の塔のデザイン(上)と、パリのバスティーユ広場にあるもの(下)は、とても似ています。 パリのバスティーユ広場。最近は専用レーンを自転車が暴走族のように飛ばしている光景が普通になった。Wikipediaより 以下にまず、筆者の「開戦日に思ったこと」が続くので、関心がない人は飛ばしてください(プーチン氏の写真の下から始まります)。 ============== ウクラ
プーチン大統領が2月21日の夜、ロシア国民に向けて、テレビで約1時間演説を放送した。生放送ではなく、ビデオ演説だったという。 自称「ドネツク人民共和国」「ルガンスク人民共和国」を国家承認する際に行われたものだった。 これは「ロシア国民に向けた、ウクライナ侵攻の説明」と思って良いだろう。 歴史上、大変重要な演説だと思うので、ここに全訳を載せる。プーチン大統領の歴史観や価値観、心のあり方がわかって、大変興味深いものでもある。 何と言ってもロシアは、日本の隣国だ。命令一つで、世界でも有数の強力な軍隊を動かせる、表情がほとんどない隣国の独裁者が、何を考えている人なのか、どういう思考をする人なのかを知るのは重要だろう。 もとの文章は、クレムリンの公式サイトが発表している、英語の書き起こし文章である。しばらくの間、サイトの文章は「続く(to be continued)」の状態で、全文の書き起こしが終わ
今回は、今の段階で筆者が思うことをコラム的に書いてみたい。 ウクライナのゼレンスキー大統領の発言が、いよいよ切迫感を帯びてきた。 2月19日に行われた恒例のミュンヘン安全保障会議での演説のことだ。 欧州連合(EU)や北大西洋条約機構(NATO)に対して、ウクライナに加盟を認めるか否かの回答を求めた。 そして、一刻も早く、今すぐにでもロシアに制裁をしてほしい、「100%戦争が始まると言うなら待つ必要はない」とも求めたという。 メディアの報道も、以前にも増して緊張感を帯びている。日本でもウクライナ情勢がトップニュースだったと思うが、フランスでも20日(日)には、テレビTF1の20時のニュースでは、トップニュースだった。最前線からのルポだが、銃撃(砲撃?)の音が絶え間なく響き渡り、町はどんどん無人化してきており、ほとんど戦争に近い状態であった。逃げる人々、怯える人々、兵士志願の男性たち・・・。
アフガニスタンのハミド・カルザイ空港で米空軍C-17で退避するアフガン人。22日(提供:U.S. Air Force/ロイター/アフロ) アメリカ軍は、最後の数日は軍事力(軍人)と軍需品の撤退を優先させるーー必要に応じて、8月31日までカブール空港からの退避を継続としながらも、アメリカ国防総省はこのように述べた。 これで合点がいった。 筆者は、なぜフランスは退避を急いで26日や27日に設定したのだろう、8月24日に6000人のカブール空港の米軍を撤退させるという情報があったので、そのためだろうか、最後の混乱を避けるためだろうか・・・等々考えていたのだった。 他の国々も、27日を最終期限と考えたようである。 以下は、ロイター通信が報じた、米欧をはじめとする各国の避難状況である。大まかなことを知ることができる、大変興味深い内容だ。さらに、別の情報源からも国を足して、紹介する。 リストにあるすべ
8月18日、アフガニスタンから避難してきた人々がシャルル・ド・ゴール空港に到着。(写真:ロイター/アフロ) フランスのカステックス首相は、本日27日(金)でアフガニスタンからの避難はすべて完了すると、昨日8月26日(木)の朝に述べた。 「フランス人、何らかの形で軍に貢献したアフガニスタン人と家族、芸術家、ジャーナリスト、約2500人を(タリバンが政権を取ってから、今までに)送還しました」と首相は、RTLでコメントした。「明日27日の夕方からは避難をすることができなくなります」ともいう。 最後の脱出時間は、大使館員と軍人の出発に使われる。 自国民、ならびに退避を希望するアフガニスタン人と外国人の関係者、そしてその家族は、木曜日の夜、または金曜日まで行われる。 その数時間後、最後まで残って仕事をしていた大使館員と、彼らを守っていた軍人が避難して、フランスのアフガニスタンでの退避は終わると、政府
タリバンは、アフガニスタンの首都カブールに無血入場、約20年ぶりに政権を奪還した。 多くの人々が「タリバンはイスラム過激主義者で、テロリスト」と思っているようだ。これから恐怖政治が敷かれるようなイメージを抱いている人もいる。 確かに、タリバンは以前は過激派だった。1996年から2001年の約6年間だけ政権の座についていたが、彼らの政策は、過激なイスラム原理主義に基づくものだった。 バーミヤンの仏像を破壊したのも、このころだ。特に女性には極度に抑圧的で、ブルカ(目以外は全身をベールで覆う服装)の着用を義務付け、女性の就労を認めないほどだった。 この政権を承認したのは、わずかにパキスタン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦のたった3カ国だった(トルクメニスタンは確認中)。 しかし、それは昔のイメージであって、今は違うと語る専門家は多い。 確かに、約20年かけて政権を奪還できたのには、それだけの理
1945年アウシュビッツ死の収容所を生き延びた人達。ソ連軍による解放直後の写真(写真:ロイター/アフロ) いよいよ23日、明日は五輪の開会式だ。 でも、びっくりするニュースが入ってきた。 東京五輪開会式・閉会式のショーディレクターを務める小林賢太郎氏が、かつてお笑いコンビ「ラーメンズ」で活躍していた時代に、ナチスによるユダヤ人大虐殺をお笑いのネタにしていたことがわかったのだという。筆者はこのビデオを見た。 このニュースを知ったのは欧州時間で昨日21日のことで、私が見た範囲では、ツイッターはまだそれほどでもなかった。日本人名のアカウントの人たちが、英語でこの情報を発信していた。なかには「#」をつけて、海外のメディアやユダヤ関連施設に伝えていた人たちもいた。 日本時間で22日未明には、ヤフーオーサーの人が記事にしていた(ここに内容の文字起こしがあります)。 ところがなんと早いことか、21日(日
小山田圭吾氏(コーネリアス)の過去の「いじめ」が大問題になっている。 ネット上のソーシャルメディアでは、大大大炎上、大問題となっているのに、政治家や一般社会の動きは鈍いように見える。一部のテレビ番組で扱っている程度だ。 まるでネット空間(特にツイッター)だけで大騒ぎをしているみたいだ。これほど重要な、国の体面に関わる問題なのに。なぜだろうか。 私はその原因は「報道が、どこまで小山田氏が過去に行ったいじめの内容を、詳細に報道しているか否か」が大きいと思う。 「未成年の頃(障がい者を)いじめた」という情報しか知らない人が、「数十年も昔のことなんでしょう?」と関心をもたないのは、起こりうることである。 この現象が起きるのは、二つの断絶に原因があると思う。 一つ目は、国内の断絶。 二つ目は、日本と海外のメディアの断絶である。 これを書いているのは、月曜日未明なので、月曜日からは状況は変わるかもしれ
問題の渦中にいるデンベレ(右)24歳と、グリーズマン・30歳。写真は2019年(写真:ロイター/アフロ) EURO2020は、イタリアが優勝しました! まさかのベスト16で敗退したフランスですが、ウスマヌ・デンベレ代表選手の発言が問題になっています。 デンベレ選手とグリーズマン選手は、日本でホテルの同じ部屋にいます。グリーズマン選手はテレビ画面を使ってゲームをしているが、何か不具合があったようで、ホテル従業員の複数の日本人男性が、解決しようと何か色々やっているというシーンです。 参考記事(朝日新聞):仏サッカー代表選手が人種差別か 「醜い顔」発言で謝罪 ご存知のように、最初に発表された日本語の記事の数々では、翻訳がどうもおかしなことになっていたのです。 この記事では、翻訳がどのようにおかしくなったのか、一つひとつ細かく読み解いて行こうと思います。かなり詳細な話になります。 それと、ツイッタ
6月29日イングランド対ドイツ戦。ロンドンのウェンブリー・スタジアムは密だった。(写真:ロイター/アフロ) 今、スタジアムの観客数をめぐって、欧州の国々がイギリスに異議を唱え始めている。 目下、欧州では、サッカーの欧州選手権が開かれている。現地では、ワールドカップと同じくらい盛り上がる。世界のサッカーファンにとっても、必見の質の高さと面白さだ。 4年に1回開かれるもので、本来は2020年だったのだが、コロナ禍で1年延期になった。今年の試合の開催は、10カ国・11都市・11スタジアムに分散されている(無観客を模索したアイルランドが外れて、12都市予定が11になった)。 いよいよ7月2日からは準々決勝が開かれるが、批判の的になっているのがイギリスである。 スタジアムに6万人も入れようと ロンドンのウェンブリー・スタジアムで、準決勝の2試合の両方、そして決勝が行われる。 16強の試合は、6月29
12月30日の午後、英国庶民院(下院)で、欧州連合(EU)との協定を可決した。 賛成521票、反対73票。 ブレグジット関連の投票では今に始まったことではないが、この投票結果は深刻な分裂を見せつけた。 保守党員のほとんどが全員が賛成に投票。 その一方で、英国の地域政党がほぼすべて反対にまわったのだ。スコットランド国民(民族)党と、プライド・カムリ(ウエールズ独立を最終目的にする政党)、DUP(北アイルランドの地域政党)である。 そのほかにも、自由民主党と緑の党は、反対にまわった。 今回、もう一つの分裂を引き起こした。労働党である。 賛成162票、反対1票、棄権が36票だ。コービン前労働党党首は棄権した。 スターマー労働党党首は「賛成」を投票するように要請した。党内の議論ののち、合意なしよりはマシ、棄権は無責任という結論を出したためだ。この要請は、多くの労働党議員を怒らせた。3人の議員は投票
イギリスと欧州連合(EU)の交渉期限の12月20日(日)が終わってしまった。 一体、何度目の期限だろう。しかし、EUとイギリスは、漁業問題で合意に達することがどうしてもできない。 バルニエEU首席交渉官は、「真実の瞬間を迎えている。1月1日にこの合意を発効させたいのであれば、交渉に残された時間はわずかであり、有効な時間は数時間しかない」と欧州議会に語っていた。 そして欧州議会は、「20日24時までに合意文書を受け取らなければ、1月1日に協定(条約)が発効するように年内に議決するのは無理である」と、はっきり伝えていた。議会の不満は相当前からあった。 しかし、どんなに二者が頑張っても、交渉は年内ギリギリまで続くであろうことは、目に見えていた。 合意が20日までにできないと明白にわかった今、可能性は二つしかない。 年末までに合意に至れば、暫定的に1月1日から発効させて、そのあと両者の議会の批准を
リバプールのパスポート申請所。紋章と共に「女王陛下のパスポート・オフィス」の文字(写真:ロイター/アフロ) 伊吹元衆議院議長の発言が、波紋を呼んでいる。 12月3日に眞子さまと小室圭さんの結婚に関して語った内容についてである。 「国民の要件を定めている法律からすると、皇族方は、人間であられて、そして、大和民族・日本民族の1人であられて、さらに、日本国と日本国民の統合の象徴というお立場であるが、法律的には日本国民ではあられない」と説明した。 そして「眞子さまと小室圭さんの結婚等について、結婚は両性の合意であるとか、幸福の追求は基本的な権利であるとかいうことをマスコミがいろいろ書いているが、法的にはちょっと違う」と指摘した。 筆者が一番ひっかかったのは「皇族方は、法律的には日本国民ではあられない」である。 これについて、横田耕一・九州大学名誉教授は、「女性自身」のインタビューで「憲法学会には皇
英国が欧州連合(EU)を2月に離脱してもうすぐ10カ月、年末に移行期間が終わろうとしている。 もう時間がない。ウルズラ・フォン・デア・ライエン欧州委員会委員長は、11月25日「これからの数日が決定的になる」「EUは『合意なし(NO DEAL)』のシナリオに十分な準備をしている」と欧州議会に対して述べた。 今日に至るまで、英国政府とEUは、英国政府が議会に提出した「国内市場法」をめぐって、大紛糾している。 この法案をEUとの関係だけで見るならば、それほど話は入り組んでいない。問題は、この法案は、連合王国解体のリスクをはらんでいることだ。 本題に入る前に、今までの経緯を説明しておきたい。 EUが英国を提訴しようとするジョンソン政権は、9月9日、この「国内市場法」案を議会に提出した。 EUと大問題になったのは、EUと英国の離脱協定で北アイルランドに関する取り決めの一部を、英国が一方的に変更する権
次のページ
このページを最初にブックマークしてみませんか?
『今井佐緒里の記事一覧 - エキスパート - Yahoo!ニュース』の新着エントリーを見る
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く