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おみそ汁
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先日、『希望難民ご一行様』(光文社新書)の書評を書きながらふと思った。 「俺たちをあきらめさせてくれ、か。全国の博士院生がもしこの台詞を聞いたとしたらどんな反応を示すだろうか・・」 高学歴ワーキングプア問題にかかわってきてしみじみと感じていることは、学ぶものたちにとって、今は展望が全く見えない世の中であるということだ。だとすれば、彼らがやるべきことは、まずはいろんなことに「あきらめをつける」ことなのかもしれない。そのうえで、しぶとく「学び」続けるしかないのではないか、と先の本を読んでみてそんな思いを強くしている。 大手私大や旧帝大などでは、就職が極めて厳しい状況にある大学院生(博士課程)に対して、やっと重い腰を上げ民間に仕事を見つけるための「キャリア支援」を行うところも増えてきた。が、うまくいっているという話はあまり聞かない。そもそも、お客さん(院生)が集まらないというぼやきもよく耳にする
『ホームレス博士』発売まで二週間をきりました。この時期はいつも結構そわそわします。同じ出版社の本の動きなんかも結構気になるところです。8月発売の光文社新書5冊はどれもグッとくるタイトルのものばかりなので、なおさらです。迷いつつ、今回はこの一冊を選んで書評を。 『希望難民ご一行様』 古市憲寿/著 解説/本田由紀 生きづらさを抱えながら彷徨う若者たちの姿に、社会や大人たちが戸惑い、時に強く非難する光景は、二一世紀に入る前からも繰り返し見られた。かつても今も、親世代は若者を理解したいがなかなか出来ず、「若者論」はそんな大人たちの不安を静めてくれる貴重な手がかりであり続けてきた。 だが、若者の〝生きる力〟が減退する理由をなんとなくわかったような気になった後も、どうしたら彼らにこの殺伐とした世の中で〝生き続ける〟力を授けることができるのか、というところで親たちはまだ悶々としていたのではないか。親に
『ホームレス博士』、校了です。途中いろいろありましたが、おかげさまで無事に、すべての作業が終了しました。さて、その途中のことを「あとがき」に書いていたんですが、なんと残念なことにページ数の関係で半分にカットとなりました。惜しいなと思っていたところ、編集部から全文公開の許可を頂けましたので、ここに本よりも一足早くアップいたします。 アマゾンでの予約も始まりました。 ---本では上半分がカットとなっています--- あとがき 入稿を終え、初稿ゲラ待ちをしていた七月半ば頃だったろうか、突如、運営するブログの掲示板が荒らされた。「あなたの名前から察するに出身は寺ですよね? とすれば、いざとなれば自分は寺に逃げ込むつもりなんだ? なんだ結局、(弱者の味方を気取っているが)ようは金持ちのお遊びか」。 すぐに管理を強化したが、その後もこの匿名の人物からの誹謗中傷は続き「削除しても無駄。あちこちに書き込むか
『ホームレス博士』、中身ちょい出しです。 以下、帯より。 『高学歴ワーキングプア』から3年。 その後、博士たちに何が起こったのか? 鈴木謙介氏(関西学院大学准教授)との対談を収録。 ・非正規の職でも「あればまだまし」 ・東大卒の博士でも就職率は四〇パーセント程度 ・教員も事務員も非正規だらけ ・職なし・非正規博士は一〇万人 ・ホームレス博士を生み出す究極の格差社会―アカデミック・ワールドのいびつな構造 ・仕事を得られるかどうかは運次第 ・学部卒が支配する国・日本 ・奨学金返済という枷―博士たちは構造的にワーキングプアへと仕立てられる ・大学院は我が国に必要なのか? ・ストレートの院生より二留の学部新卒 ・美大の現実 ・量が増えたから質が下がったのか? ・博士の放置プレイは国を滅ぼす
このところのワールドカップや大相撲賭博、参院選など大きな出来事の陰に隠れ、私たち研究に携わるものにとって、大事なニュースが少し軽く扱われていたかもしれない。 2010年7月8日の産経ニュースの見出しにもう一度注目してみたい。 文科省SOS 運営費交付金など削減なら「阪大・九大消滅も」 6月に閣議決定した「財政運営戦略」によれば、今後3年の間は「基礎的財政収支対象経費」は前年度を上回らない方針だという。つまり、交付金はこれまでと同じかそれ以下しかもらえないわけだが、現実には水準維持は難しいらしい。社会保障関係経費が増えることで、しわ寄せがくるという理由からだ。 とばっちりにより、どの程度の予算の減額になるかを文科省が試算した。すると、削減額は約927億円。その影響を規模に表すと冒頭の九大・阪大消滅、となるそうだ。 すでに、国立大学法人32大学理学部長会議が緊急声明を発表し、「予算削減は、国の
参院選、言葉もなし。政界再編、こうなってくると現実味を帯びてくるが、そんなことしている暇はあるのだろうか。あまりに頭が痛く、気分を変えたく『地獄の一丁目一番地、大学院へようこそ』を更新します。 □□09月16日までの限定でお届けします(毎週土曜日+α更新)□□ これは、私がまだ大学院生だった頃、日々のストレスのはけ口として、当時運営していたHP上で綴っていたものです。データを整理していたら、たまたま出てきたため、再活用できないかと検討してみました。 見直してみると文章の荒さが目立ちましたが、一般の人たちに、我が国の大学院の現状を知ってもらうには、もしかすると、こういうテキストのほうが楽しんでもらえるのかもしれない、と思った次第です。そんな訳で「恥をさらしてみるか」と腹をくくってみました。テキストには手直しを入れ、少しはマシにしてみたつもりです。 今月発売予定だった『ホームレス博士(仮)』(
□□09月16日までの限定でお届けします(毎週土曜日+α更新)□□ これは、私がまだ大学院生だった頃、日々のストレスのはけ口として、当時運営していたHP上で綴っていたものです。データを整理していたら、たまたま出てきたため、再活用できないかと検討してみました。 見直してみると文章の荒さが目立ちましたが、一般の人たちに、我が国の大学院の現状を知ってもらうには、もしかすると、こういうテキストのほうが楽しんでもらえるのかもしれない、と思った次第です。そんな訳で「恥をさらしてみるか」と腹をくくってみました。テキストには手直しを入れ、少しはマシにしてみたつもりです。 今月発売予定だった『ホームレス博士(仮)』(光文社新書)が9月16日にずれ込んだこともあり、お詫びの気持ちを込めまして、発売日までの二ヶ月間限定という形で恐縮ですが毎週土曜日に更新したいと思います。 では、さっそく、第一話から以下に復活。
いわゆる若手と呼ばれる博士たちを含む、さまざまな立場の「博士号持ち」の人に会って話を聞く機会が多い。 いつも感心するのが、みなさんえらく面白いことをやってらっしゃるということ。しかも、相当レベルが高い。ひとつのことを極めた方ばかりなので、考えてみるとそう不思議ではない。 確かな知識と旺盛な探求心のもと知的活動に勤しむこんな博士たちのことを、もっと世の人たちに知って欲しいとも思うのだが、どうにも機会が少ない。 少子化で、大学内に若手を正規採用するポストが激減していることが少なからず影響している。ほとんどの場合、非正規雇用かそれすらもない場合が珍しくない。 日本は役職を重視する社会である。正規雇用されない以上、役職上は組織の末端に位置づけられてしまう。そうなると、どうなるか? たとえ博士号を持っていたとしても、扱われ方は大学院生あたりと同じレベルにとどまる。 実際には、彼らは何年も研究キャリア
英科学誌ネイチャーが、世界の科学研究者を対象に「待遇の満足度調査」を行ったそうだ。給与、休日、健康、年金、労働時間など8項目についての満足度を調べたらしい。欧米諸国や中国、インドなど16カ国中、日本は最低だという。(日本人科学者、待遇に不満? 満足度調査で最下位に, asahi.com, 2010年6月24日) 関係者は、このニュースを聞いて、それぞれの立場で複雑な思いを抱えていることだろう。教授・准教授・講師・助教などの間だけでも、受け止め方は大きく異なるだろうし、ここにポスドクや専業非常勤講師などが入ればもっとややこしくなるはずだ。 一番トップがもし、「そうだ、私たちの待遇は酷い」と言ったとする。すると、ただちに二番目は「私たちはさらに酷い」となるだろう。三番目は「なにを贅沢な」となり、一番下は「自分たちの待遇こそ改善してもらいたい」と続いていくのは目に見えている。きりがない、が、まだ
2010年05月16日に明治大学で開催されたシンポジウム「高学歴ワーキングプアの解消を目指して」に飛び入りで参加してきた。得るものの多いシンポだった。以下に、益川敏英先生(ノーベル物理学賞 2008年受賞)のご講演を中心とした報告を行う。 まず、先生は、「いまの高学歴ワーキングプア問題は、実は新しい問題ではない」と切り出された。いつの時代にもあったことが、現代という時代のなかでいままた深く採り上げられるようになった、と。 思えば、昭和三年あたりの世界大恐慌のさなかは、「大学は出たけれど」という言葉がはやった時代だったし、1970年あるいは1980年代頃の新聞を眺めても既に博士の就職問題に関する記事がぼちぼち見つかる。確かに、高学歴者が就職できない時代というのは、過去からずっと浮かんでは消えを繰り返してきた。だが、それらと現在との間には、ひとつだけ見逃してはいけない大きな違いがある。過去に発
ご無沙汰しております。 ちょっといろいろありまして・・ 実は、7月刊行予定の『ホームレス博士』がまたもや延期になってしまいました。読者のみなさまには大変申し訳なく思います。少しでも状況のご説明をさせていただければと思います。 さる6月2日の夕方、携帯が鳴りました。見ると、担当編集者のM氏でした。受話器を耳にあてると、申し訳なさそうに「来月以降に刊行月を延ばしてもらえないでしょうか」との申し入れが。社内事情というやつでした。 瞬間的にピンとは来ていました。というのも、この出版社は、前日の6月1日に新たなる旅立ちを迎えていたからです。そもそも連絡はメールが主体ですから、電話があること自体が緊急事態発生を物語っています。 さて、会社に一体なにが起こったかといえば、初の大リストラです。その様子は、対象者自らが赤裸々に内部事情を語り、業界内外から大変な注目を浴びているブログ『たぬきちの「リストラなう
心理・教育・仏教・仏事・まち・グルメ・建築・書評・文章指南等について書くニャ🐈 2007年、『高学歴ワーキングプア』(光文社新書)刊行。日本の博士の窮乏を自身の経験とともにコミカルに綴った本書は8万部のベストセラーになったニャ🐈 以来、現代に生きることの意味をさまざまな角度からユーモアを交え問う文筆活動を続けているのニャ🐈 博士(人間環境学 九州大学) 僧侶(西本願寺系列寺院住職) 好きな言葉: 「〝こだわり〟を手放すのが楽になる道ニャ🐈」 仏事・教育問題・若手研究者の就職事情・心の安寧・わかりやすい表現の仕方・現代寺院事情などに関する執筆・講演多数ですニャ🐈 □□ □□ □□ ※執筆・講演・講義・取材等のご依頼や各種ご相談は下記↓までどうぞニャ🐈 drikiru(at)mail.goo.ne.jp お手数ですが、(at)は @ に変更してください。
先週日曜日の夕方、京大正門前に浮かぶ「くびきりアイランド」(旧・首切り職員村)を訪ねた。 時計台前にある大きな楠の下、縦横に伸びるブットイ枝の下に優しく抱かれるようにして、コタツを中心に作られた高座は、デンと正門を見据え、島の首都を主張していた。 島と大学正門を結ぶ直線上には、魚の頭だけがさながらさらし首のように置かれ、この場所がいかなる意味を持ち、どんな気持ちが込められて作られたアイランドであるのかを、控えめに?周囲へと語りかけていた。 首切り島の最高責任者である、小川恭平さんと井上昌哉さんにさっそく話を聞いてみた。 質問は、次の二点。 ①どうしてストを始めたのか? ②今望んでいることは何か? 当日は、急な訪問だったこともありお二人とも忙しく、そのため井上さんに代表して胸の内を語って頂いた。 東大文学部を卒業後、京大の人間・環境学研究科に進学した井上さんは、休学を含め大学院修士課程に7年
水月昭道【公式】 念仏・研究・文筆の日々 2007年、『高学歴ワーキングプア』(光文社新書)刊行。日本の博士の窮乏を自身の経験とともに綴った本書は8万部のベストセラーとなる。 以来、現代に生きることの意味をさまざまな角度から問う文筆活動を続けている。 博士(人間環境学 九州大学) 僧侶(浄土真宗本願寺派) 好きな言葉: 「〝私〟を手放す」 教育問題・若手研究者の就職事情・心の安寧・わかりやすい表現の仕方・現代寺院事情などに関する講演多数。 □□ □□ □□ ※執筆・講演・講義等のご依頼、各種ご相談は下記↓まで。 drikiru(at)mail.goo.ne.jp お手数ですが、(at)は @ に変更してください。
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