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コンゴ民主共和国東部の都市ゴマの隔離・観察施設で働く医療従事者。施設には、エボラ感染の疑いがある人と濃厚接触者が収容されている。ブンディブギョウイルスに対しては承認されたワクチンがなく、この地域は鉱業がさかんで都市間の人口の移動が活発なため、アウトブレイクは地域全体に広がっている(Xinhua/Getty Images) 世界保健機関(WHO)は、コンゴ民主共和国および隣国ウガンダでのエボラ出血熱のアウトブレイク(集団感染)を受け、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」を宣言した。WHOが感染症のアウトブレイクに対して発令できる警報で、他の加盟国に対して、国としての対応や準備体制の発動を促すものだ。 だが、テドロス事務局長は記者団に、今回の事態は「パンデミック緊急事態ではないと判断した」と述べている。「パンデミック緊急事態」は、コロナ禍の教訓から新たに設定された、PHEI
鍼(はり)治療では、体の特定のツボに細い鍼が挿入される。この局所的な刺激が波紋のように広がって痛みを和らげる仕組みが、徐々に解明されつつある。(DAVID MUIR, GETTY IMAGES) 鍼(はり)を刺しただけで激しい痛みが鎮まるというのは、一見不自然に思えるかもしれない。しかし、実際に片頭痛を和らげたり、痛みを鈍らせたり、さらには出産に耐えられるよう妊婦を助けたりする事例もある。救急現場で行われたランダム(無作為)化試験では、鍼は静脈内にモルヒネを投与するよりも素早く効果的に急性の痛みを軽くし、副作用も少なかったとの報告もある。 中国伝統医学(TCM)に根ざした手法である鍼は、長い間、医療と神秘との間のグレーゾーンに位置すると見られてきた。痛みへの対処に広く用いられてきた一方で、プラセボ(偽薬)効果、つまり効くという暗示や期待のせいに過ぎないと片付けられることも少なくなかった。
めったに見られない霧虹。英イングランド北西部にあるエルターウォーター村の川岸にかかっている。(MATT GIBSON, ALAMY STOCK PHOTO) 虹と聞くと、赤、橙、黄、緑、青、藍、紫の7つの色で空に描かれるカラフルな弧を想像するだろう。しかし、あまり知られてはいないが、白い虹も存在する。一般に「霧虹」と呼ばれる現象で、霧が出ている場所でまれに発生する。 記録が残っている最古級の目撃例は、現在のエクアドルにあたる地域で、1737年8月から1739年7月のあいだに、スペインの科学者・探検家のアントニオ・デ・ウジョーアが見たものだ。ウジョーアは、3つの光の環(彼は虹と呼んでいる)と「白みがかった第4の弧」を目にして、「限りない驚き」を覚えたと記している。この第4の弧が、今日では霧虹として知られている現象だ。 白い虹と、これを野外で見つける方法などについて紹介する。 霧虹と虹の違い
「寝床から出ても頭がぼんやりして、支度に時間がかかってしまいました」 これは先日、実習に遅刻してきた医学生の「言い訳」である。聞けば寝起きが悪いのは事実のようで、程度の差はあれ、ほぼ毎朝、寝床を出るのに悪戦苦闘しているという。中学生の頃から朝は苦手で、大学に入学して親元を離れ、一人暮らしを始めてからは起こしてくれる人もおらず、遅刻による失敗は枚挙にいとまがないのだそうだ。 目覚めた後、頭の中に霧がかかったような感覚が数分間、ときに数十分も続く――そんな経験は誰しも一度はあるだろう。このような覚醒直後にみられる一過性の不快気分や認知パフォーマンスの低下を、睡眠医学では「睡眠慣性(sleep inertia)」と呼ぶ。過去の調査では週に一回以上明らかな睡眠慣性を経験する人は20〜40%いるとされ、特に重度かつ慢性的な症状を呈する人も2000年の調査では成人の約3%であったが、近年増加傾向にあり
タバコスズメガの幼虫の聴覚について調べるため、音を聞かせて反応を観察した。(COURTESY OF BINGHAMTON UNIVERSITY) 人間のように「聞く」昆虫は多くない。中にはコオロギやバッタのように、空気中を伝わってくる音を感知する鼓膜状の構造を持つ昆虫もいるが、ほとんどの昆虫にとって「聞く」とは、木の葉や枝、地面などの物体を伝わる機械的な振動を感じ取ることを指す。 米ニューヨーク州立大学ビンガムトン校の生物学者キャロル・マイルズ氏の研究室では、この1年ほど、よく見られる光景があった。飼育しているタバコスズメガ(Manduca sexta)の幼虫のそばで同僚と話していると、幼虫が毎回、まるで驚いたように飛び上がるのだ。「同僚には『キャロル、ちょっと静かにして。幼虫が怖がっているから』とよく言われました」とマイルズ氏は話す。(参考記事:「【動画】人の声で触角を伸ばすイモムシが見
ミンデルーUWA深海研究センターの科学者たちが、希少で神秘的で長寿なオンデンザメの映像を撮影した。(VIDEO: INKFISH, UWA, KELPIE GEOSCIENCES) サメはすべての大陸の沖合で見られる。南極大陸を除いて。少なくとも私たちはそう思っていた。 ミンデルーUWA深海研究センターの科学者たちが、巨大なオンデンザメの仲間が水中カメラの前を泳ぐ映像を公開した。サメが生存するには寒すぎると長年考えられてきた極寒の海域で撮影された映像だ(撮影時期は2025年1月で2026年2月に公開)。 「『南極にサメがいるなんてあり得ない』と皆が困惑しました」と西オーストラリア大学の教授で、ミンデルーUWA深海研究センター所長のアラン・ジェイミソン氏は振り返る。 ジェイミソン氏によれば、このサメは南極海で発見された初めてのオンデンザメだ。南シェトランド諸島付近の水深約500メートルの氷点
廃墟となったプリピャチの街の向こうから、森林火災の煙が立ち上っている。2015年、原発事故後最大級の森林火災が立入禁止区域を襲った。一帯は常に火災の脅威にさらされている。また、ウクライナ侵攻初期、ロシア軍が原発周辺の森林を一時的に占拠して地雷を埋設したせいで、消火活動はより困難になっている。(PHOTOGRAPH BY PIERPAOLO MITTICA) 写真家ピエルパオロ・ミッティカ氏の車を通すため、ゲートの横木を上げるプリピャチの"ガーディアン"。立入禁止区域を訪れる者は、特別な許可を得たうえで、こうしたチェックポイントをいくつも通らなくてはならない。(PHOTOGRAPH BY PIERPAOLO MITTICA) 2024年に撮影された、プリピャチ第2学校の教室。ミッティカ氏は、20年以上にわたってチェルノブイリを撮影する中で、本やポスターが朽ち果て、消え去っていくのを目撃してき
健康増進に役立つ種子といえば、知名度ではチアシードの独壇場だ。しかし、栄養面で引けを取らない、小さくてパワフルな食材がもう一つある。サイリウムだ。 サイリウムはオオバコ属植物の種子やその外皮。チアシードよりも水溶性食物繊維を多く含んでおり、コレステロールの抑制から減量のサポートまで、いくつもの健康効果がある。食物繊維サプリメントの主成分としても使われる。 通常は粉末として販売されているサイリウムについて、腸のトラブルに対する「万能薬のようなもの」だと述べるのは、米エール大学医学部の調理医学ディレクターであるネイト・ウッド氏だ。 また、血糖値の急上昇やコレステロールを抑えるのにも役立つ。「水溶性食物繊維を摂取すると、腸内で水分を吸収してゲル(ゼリー)状の物質ができ、体にさまざまな良い効果をもたらします」(参考記事:「食物繊維は「種類」が大切、サプリは役立つ? 専門家に聞いた」) ただし、この
アリのコロニーの中で生きるため、アリの体によじ登ってその「におい」を自身の体に塗りたくるハネカクシの一種、セプトビウス・ラティベントリス(Sceptobius lativentris)。(Video by Joe Parker, Ph.D) アリのコロニーに生息する甲虫にとって、そこは楽園のように見えるかもしれない。無防備な卵や丸々と太った幼虫が「食べ放題」の状態にあるからだ。数十万匹ものアリが、捕食者や寄生虫を追い払うために常に待機しているにもかかわらず。 しかし、2026年2月5日付けで学術誌「Cell」に発表された新たな研究によって、これらの甲虫には一つだけ問題があることが明らかになった。もしアリのコロニーを離れれば、その甲虫は1日も経たずに死んでしまうのだ。 昆虫の腸内に生息する細菌から植物の根に付く菌根菌に至るまで、共生は生命の樹のいたるところに存在すると、米カリフォルニア工科大
糖を含む食品や甘味料は、栄養成分の特徴がそれぞれ異なる。医師が摂取を控えるよう勧めるものもある一方、いくらか有益な作用を持つものもあることが研究で示されている。(DEA/PRIMA PRESS/CONTRIBUTOR, GETTY IMAGES) 食品の原材料の中でも、とりわけ多くの名前をまとっているものといえば糖だろう。甘味をつけるもの(甘味料)にはいくつもの種類があり、包装食品の表示にもさまざまな言葉で記載されている。つまり、糖は思いがけないところに潜んでいる可能性があるのだ。 栄養の観点から見ても、糖はすべて同じというわけではない。医師が控えるよう勧めるものがある一方、多少なりとも有益な効果を持つものもある。 糖は大きく2つのカテゴリーに分けられる。「天然由来の糖」と「添加糖」だ。 天然由来の糖は、果物全般や一部の野菜、乳製品、そして一部の穀物に、もとから含まれている。一方、添加糖は
可視光(左)と紫外線(右)を当てたヒクイドリ(Casuarius casuarius)。とさか表面の鮮やかな青緑色は、紫外線による生物蛍光だ。(Todd L. Green) 世界最大級の鳥であるヒクイドリ(Casuarius casuarius)の頭頂部にあるとさかが紫外線に反応して光ることが新たな研究で明らかにされた。ヒクイドリのとさかの蛍光発光を実証したのはこれが初めてだ。論文は2026年2月24日付けで学術誌「Scientific Reports」に掲載された。 「これは注目度が高く、キャリアを決定づけるような大発見です」と、英サウサンプトン大学の古動物学者ダレン・ナイシュ氏は話す。「実に素晴らしい研究成果です」。なお、氏は今回の研究には参加していない。 ヒクイドリはオーストラリアとパプアニューギニアの熱帯雨林や山岳地帯に生息し、爪は短剣のように長く、体重は63キロを超えることもある
アルツハイマー病などの認知症を研究する科学者たちは、記憶障害よりも前に出現する可能性のある意外な症状を発見しつつある。(JASON EDWARDS, NATIONAL GEOGRAPHIC IMAGE COLLECTION) アルツハイマー病などの認知症は、ある日突然、重要な情報を思い出せなくなる病気だという印象があるかもしれない。けれども科学者たちは今や、最初の記憶障害が現れるずっと前から、より複雑な症状が出ていることを知っている。 認知症の兆候は、記憶障害が現れる10年も前から忍び寄っている。「この段階では、明らかな認知機能の症状は見られないことが多いですが、実際には脳の変化が起きています」と、米コロンビア大学で認知症を研究する社会医学者のユエン・ジャン氏は言う。これらの変化は、アルツハイマー病の特徴であり画像検査で検出されるアミロイド斑よりも前から生じている可能性がある。 米国立衛生
シロヘラコウモリ(Ectophylla alba)は葉のテントを作ってねぐらにする。このテントの形状は「逆さ舟」と呼ばれている。(VIDEO BYBOTANICA FILMS/EMI KONDO & THOMAS POOLE) 中南米の熱帯の森では、熟練の建築家たちが設計図も道具も、あるいは手すらも使わずに複雑な構造物を作り出している。あるコウモリは、歯と爪だけを使って葉を快適なテントに作り変えるのだ。自らのツリーハウスを作るこれまでほとんど知られていなかったこの設計者たちについて、ナショナル ジオグラフィックのエクスプローラー(探究者)たちのチームがいま研究を進めている。 コスタリカ大学の生物学教授ベルナル・ロドリゲス・エレーラ氏は、コウモリの生物学者、写真家、科学者でもあるイラストレーター、そして2人の野生動物映像作家からなるチームを率い、コウモリの謎の探求に専念している。8人のグルー
守護の女神 翼を広げて守護する女神イシス(左)とネフティス(右)と、その周囲にある神聖な文字。王家の谷でファラオ、ツタンカーメンを納めていた黄金の第3人形棺に刻まれたもの。カイロ、エジプト博物館所蔵。(KENNETH GARRETT) 古代エジプトの象形文字であるヒエログリフ(神聖文字)の起源は、紀元前4千年紀末ごろまでさかのぼることができる。さまざまな図形や記号がはじめて登場するのがこの時期で、そのほとんどは動物を表していた。 近年見つかったエル・カウィ碑文のように岩に刻まれたものも、コプトス神殿にある3体の石灰岩の巨像のように石像に刻まれたものもある。こういった記号は、初期の統治者の墓から見つかった小さな象牙のラベルや器にも刻まれている。アビドスのU-j墓で見つかったラベルもその一例だ。 紀元前3200年ごろのエジプトの初期のヒエログリフが刻まれた骨製のラベル。ヒエログリフはこのような
ビリー・アイリッシュ氏が初の単独ツアーに乗り出したのは、もう8年以上前のことになる。彼女はわずか16歳だったが、世界的なポップスターへの道を歩みはじめていて、そのショーのスケールと影響力は無視できないものになっていた。 ツアーバスは常にアイドリング状態で、発電機は24時間稼働し、無数のペットボトル飲料が用意されていた。非常に環境意識の高い母親に育てられ、布ナプキンの使用や、すべての動物由来食品を避けるビーガン食の実践など、環境に配慮した生活に慣れ親しんでいた彼女は、大規模なショーが環境に及ぼす悪影響の大きさに衝撃を受けた。(参考記事:「プラスチックを減らす努力、本当に意味はある? 専門家に聞いた」) 「これほどひどいとは知りませんでした」とアイリッシュ氏は語る。「音楽ライブに伴う無駄は、私には受け入れがたいものでした」 ミュージシャンと提携してサステナビリティー(持続可能性)への取り組みを
旧世界ハンタウイルスはヨーロッパやアジアに風土病として存在し、主に出血性疾患や腎機能障害である「腎症候性出血熱(HFRS)」を引き起こす。一方、新世界ハンタウイルスは南北米大陸でより多く見られ、一般的な症状は、肺に液体がたまる「ハンタウイルス肺症候群(HPS)」だ(編注:厚生労働省の5月6日の発表によると、これまで日本国内で患者が発生した報告はない)。 感染は重症化することがある。特に新世界型による感染でその傾向が強い。アジアとヨーロッパの死亡率は1~15%だが、南北米大陸での感染者の致死率(CFR)は50%に達する。(参考記事:「新型コロナの厄介さと怖さを知る:2つの致命割合CFRとIFRとは」) ハンタウイルス感染症の発生件数は毎年1万件から10万件と推定されている。その大半がアジアとヨーロッパだ。 南北米大陸では、年間わずか150~300件の感染が報告されている。通常、その大部分がア
ハンタウイルスのCGイラスト。げっ歯類由来のこのウイルスは、インフルエンザのような症状を引き起こし、最終的には肺に液体がたまる原因となる。ハンタウイルスは通常、感染したげっ歯類の排せつ物に直接触れて感染する。(RUSLANAS BARANAUSKAS, SCIENCE PHOTO LIBRARY) クルーズ船で感染症が発生することは珍しくない。しかし、アルゼンチンからカナリア諸島へ向かうオランダの極地探検船「M.V.ホンディウス」号で発生したハンタウイルス集団感染については「完全に予想外」だったと、米ニューメキシコ大学健康科学センターの免疫学者兼ハンタウイルス研究者スティーブン・ブラッドフート氏は述べている。 ノロウイルスや大腸菌などの胃腸感染症が最も一般的だが、呼吸器感染症も船内での集団感染を引き起こすことがある。例えば、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック初期には
ニネベにあるセンナケリブの宮殿の一室で、遺物をスケッチするオースティン・ヘンリー・レイヤード。この版画は、ニネベの発掘について記した1853年のレイヤードの著書に掲載された。(ACI) アッシュールバニパルは、紀元前7世紀半ばの新アッシリア帝国において最も強大な王であり、冷酷な軍事的才能や驚異的なライオン狩りの腕前があった。それだけでなく、「図書館長」だったことでも知られている。 「世界の王、アッシリアの王、アッシュールバニパルの宮殿」。アッシリアの首都ニネベ(現在のイラク北部)にはアッシュールバニパルが維持管理した壮大な図書館があった。そこから出土した3万点以上の粘土板や断片の1つには、彼の所有権を示す銘文がそう刻まれている。
個人の二酸化炭素排出量を増やす行動のなかでも、飛行機での移動は最も大きな要因の一つだ。しかし、だからといって休暇旅行を避けるべきだろうか?(SHANNON FAGAN, GETTY IMAGES) キャサリン・ヘイホー氏は、科学が「世界で一番クールなもの」と信じて育った。 「科学とは、宇宙や地球がどう機能しているかを理解する方法です」とヘイホー氏は言う。「それを理解したくない人などいるのでしょうか?」 ヘイホー氏は自然保護団体ネイチャー・コンサーバンシーの主任科学者であり、米テキサス工科大学気候センターの所長も務めた。研究だけでなく、難しいデータをわかりやすい言葉に置き換える能力でも定評がある。数十年にわたって気候変動の影響を研究し、その知見を伝えてきた。その活動により、世界中の大学や演壇、コミュニティーから招かれ、各地を訪れている。 しかし、こうした移動、特に飛行機での移動は、個人の二酸
沖縄本島北部のやんばるで2024年に目撃されたシカが、宮城県由来のニホンジカであることが分かった。沖縄本島には在来のシカが生息していないことから、人為的に持ち込まれた「国内外来種」とみられる。ふんを調べたところ、世界自然遺産・国立公園内に自生する希少植物を食べていた。調査した神戸女学院大学と琉球大学などの研究グループは「国内外来種は地域の生態系を脅かすほか、感染症を持ち込むリスクもある」と警鐘を鳴らしている。
米国カリフォルニア州の野原に咲くヒマワリの中で、ミツバチ科のサンフラワー・チムニー・ビーが休憩中。こうした採餌しているハチが花と巣を行き来する際の秘密が、研究で明らかになってきた。(PHOTOGRAPH BY KARINE AIGNER) 植物の受粉を助け、食料生産で重要な役割を担うミツバチなどのハナバチ(花蜂)類。最新の研究によって、この小さな昆虫が考えられていたよりかなり賢いことがわかってきた。 米国南西部に位置するニューメキシコ州北部の山あいの谷では、人間もミツバチも冬支度を始めていた。 先住民であるアデリーナ・ルセロの日干しれんがで造った家は、「タオス・プエブロ」という先住民の集落にある。彼女の家の脇には薪(まき)が山積みされていて、そのすぐ横に長方形をしたミツバチの巣箱が二つ積み重ねられていた。よく見ると、赤みがかったプロポリスがこびりついている。ハチはプロポリスという樹脂状の物
米ニューヨーク州の深い草むらで休むオジロジカ(Odocoileus virginianus)の子ども。野生動物の専門家たちは、子ジカなどの赤ちゃん動物を「保護」しようとする行為が、かえって彼らを危険にさらす結果になりかねないと警告している。(John Cancalosi, Nature Picture Library) 保護している約100頭のシカの一部にミルクを与えるため、コニー・ホール氏はほとんど徹夜で過ごしていた。そこへ、ある夫婦が生まれたばかりの野生の子ジカを連れてやってきた。前日に道端で拾ったときは健康そうに見えたが、今は体調を崩していた。 米サウスカロライナ州で「マグノリア子ジカ保護団体」を25年間運営しているホール氏は、母ジカが何時間も子どもを放置するのは普通のことだと知っている。しかし、その夫婦は、母親のいる森の中へ子ジカを移すのではなく、善意から家に連れ帰ってしまったのだ
開発中の経口薬であるダラクソンラシブは、転移性すい臓がんなど、KRAS変異を原因とする進行がんの初期の臨床試験で有望な結果を示している。(DSZC, GETTY IMAGES) すい臓(膵臓)がんの腫瘍の約90%には、ある遺伝子変異が見られる。しかし、この変異は数十年にわたり、薬の標的とすることは不可能だと考えられてきた。 けれども今、一連の臨床試験(治験)が成功を収めたことで、研究者たちはこの変異を標的とする薬の実現に近づきつつある。最も致死的ながんの一つであるすい臓がんの生存期間を延ばす貴重な機会が得られそうだ(編注:厚生労働省が公表したがん部位別の5年純生存率ではすい臓がんが最下位)。(参考記事:「がん5年生存率、部位別で90%超から12%と大差、厚労省が公表」) 「長年のすい臓がん研究で、これほど有望そうな結果を見たのは初めてです」と、米スタンフォード大学医科大学院の腫瘍専門医であ
米国イリノイ州カーボンデール。夜、イトスギの湿地のそばを這うスポテッドサラマンダー(Ambystoma maculatum)。 (EMANUELE BIGGI, MINDEN PICTURES) 米国東部に広がる森林地帯には、ほとんどの人が目にしたことのない、幻のような生きものがひっそりと暮らしている。 「その姿を初めて目にしたとき、あるいは久しぶりに見ると、思わず息をのんでしまいます」と、米ピッツバーグ大学の両生類生物学者、コリ・ザワツキー氏は言う。体に黄色い斑点があり、スポテッドサラマンダー(Ambystoma maculatum、キボシサンショウウオとも)と呼ばれるこの両生類は、大きいものでは体長25センチメートルほどに達する。平均的には15~20センチほどだ。 経験豊富な自然観察者やハイカーでさえ、この魅力的な生きものに出合うことはめったにない。というのも、生涯のほとんどを地中で過
【動画】「ドニャーナ山火事予防ロバ大隊」に所属するロバたちは、スペイン各地で1日最長7時間のパトロールを行い、山火事の予防に励んでいる。(Video by Luis Manuel Bejarano) 毎年夏になると、スペインでは全国各地で山火事が発生する。何千、何万ヘクタールもの土地が火事で失われる背景には、暑さや干ばつだけではなく、農村の過疎化という事情がある。人や家畜が減り、草木が伸び放題になっているのだ。 そうした中、伝統的かつ効果的な解決策を採用している地域がある。7000年以上にわたって人間とともに歩んできたロバたちを連れ戻し、山火事との戦いという新たな任務を担ってもらうのだ。 ロバたちは小規模の旅団を組み、森の中を静かに移動しながら、来る日も来る日もひたすら雑草を食べ続ける。 任務の緊急性はますます高まりつつある。2025年はスペイン各地で焼失した面積が8月までに計40万ヘクタ
地球温暖化の明白な結果のひとつが、激しさを増す異常気象だ。たとえば、死者が出るレベルの熱波、洪水、台風、森林火災、そして科学者の中でも議論があるが吹雪などだ。災害を研究する専門家にどう備えているかを聞いてみた。(MARK THIESSEN, NATIONAL GEOGRAPHIC) 地球温暖化の影響で、台風や洪水、熱波、山火事などの頻度と厳しさが増している。その被害もかつてないものになっている。米国では、2025年の前半は災害の被害額が過去最高の1010億ドル(約16兆円)を記録した。 異常気象の研究者は、こうした災害のリスクは今後も上がっていくと予想している。つまり被害を受ける人は増えていくということだ。2025年5月7日付けで学術誌「ネイチャー」に発表された研究によれば、自然災害に遭遇するリスクは、1960年と比べて倍になっているという。(参考記事:「【解説】LA山火事、気候変動で35
環境省のレッドリストで準絶滅危惧のチョウであるクロツバメシジミは、幼虫の時に外来植物を食べて育つと翅の色が変わることを、大阪公立大学などのグループが発見した。翅の色が変わったメスは交尾の相手としてオスの興味を引きにくくなることも確かめられ、外来植物がチョウの繁殖に間接的に悪影響を及ぼしている可能性があるという。絶滅の恐れのある昆虫類の保全対策に役立つと期待される。 クロツバメシジミ成虫の可視光写真(左)と紫外線写真。いずれの写真も左2匹が在来植物、右2匹が外来植物で育った。上2匹はともにオス、下はメス(大阪公立大学大学院生の久井花恋さん提供) クロツバメシジミはシジミの貝殻を合わせたような形のチョウで、翅の表側が黒っぽい。新潟県から鹿児島県にかけて河川敷や岩場などに生息している。環境省のレッドリストでは「現時点での絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっては絶滅危惧に移行する恐れがある」
ニュージーランドでは、南アフリカ原産のカマキリのメスが、在来種のオスをおびき寄せて食べている可能性がある。(CAVAN IMAGES, ALAMY) 在来種にさまざまな害をなす侵略的外来種だが、求愛の鳴き声をかき消したり、ときには交尾の相手を食べたりして、在来種の繁殖を妨げることがある。「外来種がそこにいるだけで、在来種の繁殖が妨げられることもあります」と話すのは、その隠れた脅威について調べたレビュー論文を、2025年9月に学術誌「Trends in Ecology & Evolution」に発表した筆頭著者のモレリア・カマチョ・セルバンテス氏だ。 この現象は「繁殖干渉」と呼ばれている。研究チームは、論文のなかで6つの生物グループのなかから11の独立した繁殖干渉の例を特定した。これらは実験的または観測的に実証されたわずかな例にすぎず、実際に野生ではもっと多くの外来種による繁殖干渉が起こって
新居の環境でのカビや土埃との戦いなど、調整は続いているが、それなりに整ってきているし、興味深い発見もあるので、これも進化、適応と言っておこう(^_-)-☆ 今回は2018年4月から密かに温めてきている、専門家の一人以外、まだ誰にも伝えていない発見を皆さんにご報告! その専門家はニューヨークのアメリカ自然史博物館の共同研究者、Dr. Vinton Thompson(ヴィントン・トンプソン博士、以下ヴィントン)というかたで、近々アワフキムシ全体の専門書的な(ぼくも協力させていただいた)本を出版するとのこと。その本でとりあげている今回の新発見の内容をナショジオの連載で紹介してもOKとの許可をいただいた。それと、ちょうどこの乾季が出会える季節ということで今回の原稿を書くことにした。 画像や動画も先行公開! でも研究発表に向けてまだ途中段階なので、恐縮ながらここではあまり詳しく紹介できないのが残念。
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