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おみそ汁
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芸術活動を支援する「骨董通り法律事務所」に所属する寺内康介弁護士の協力のもと、連載中の「ポップカルチャー×法律 Q&A」シリーズ。 第4回は、音楽、とりわけヒップホップでよく耳にする(そして争点のもとにもなりがちな)制作手法である「サンプリング」をテーマに取り上げる。 サンプリングは、他者の音源やメロディを借用して新たな楽曲を生み出す手法として、ヒップホップ文化に欠かせない。だが、法的には複雑な問題を孕んでいるのも実情だ。「サンプリング」「オマージュ」「パクリ」……ラッパー同士の衝突、あるいはファン同士の感想戦でも、各人が己の定義のもとに語り合っている。 日本のヒップホップシーンにおいては、近年では「パクリ」疑惑に端を発するディスからビーフ(互いに曲で批判すること)に発展したBAD HOPと舐達麻の騒動も記憶に新しい(参考)。あるいは、ロックバンド・Novelbrightのボーカルをつとめ
イラスト評論「ネット絵学」プロジェクトを推進してきたイラストレーター・虎硬がおくる連載「令和のネット絵学」。 第4章では創作物の持つ、思想やその変遷を追いかけていこう。 社会の中でイラストを受容するためにはルールが必要で、創造者に敬意を払われる必要がある。一方でクリエイティブが批判の対象になることもあり、その見方も時代によって大きく異なる。 目次思想とミーム──私たちは自分と同じ考えを持つ人間を増やしたいキリ番に相互リンク、掲示板での挨拶……個人サイトでの古のルール整備毒吐きネットマナーの登場──荒らしへの対処法、皮肉な結末「絵を数字化」することの功罪イラストと嫌儲思想 2ch発の、インターネットの空気感収益化の安全性──つい10年前まで、投げ銭も嫌われていた止むことがないトレパク騒動 冤罪を助長する被害者感情10年前では考えられなかった、中国、韓国クリエイティブへの評価ミームを遡って、歴
『ライヴラリ』というVTuber事務所がある──いや“あった”と書くほうが、実態には即しているだろうか。 「今日は何の日」という動画でVTuber黎明期を彩った赤月ゆに。アダルトゲームや下ネタを臆せずくり出し話題をさらった餅月ひまり。「ものづくり」という特技が輝いた図月つくる。オカルト関連のトピックを仕掛けていった無月めもり──個性豊かで、今では珍しい動画中心の活動を展開していた所属タレントは、全員姿を消した。 そこに至るまでの道程は平坦とは言い難い。特に餅月ひまりは、クラウドファンディングの行く末が不安視され、ファンの中には返金をめぐって訴訟を計画する者まで現れるほどだ。公式声明も的確に発信されたとは言えず、混迷を極めた末に、ライヴラリはもぬけの殻となった。 客観的に見ても、まさに「VTuber運営の失敗例」である。ファンでなくとも、批判の矛先を向けるのも致し方ないだろう。 だが、失敗の
スマートフォンゲームの中には、社会問題をモチーフとした作品がある。そしてそれは『リバース:1999』も例外ではない。 そのテーマを語ることはリスクを伴う。どのようなリスクが存在するのか。読みさえすれば納得していただけると思う。 まず最初に香港製作のSF映画『未来戦記』の話をさせてほしい。香港の会社、香港のVFXスタジオでつくられたSF超大作である本作は、作中に出てくる「共産主義の脅威をメタファーとして描いた50年代のSFホラー映画」に対し、香港の名優ラウ・チンワンが「結末は自分たちで決める!」と啖呵を切る。 これは、香港の未来は自分たちで決めるという決意に他ならない。この話は、今からする『リバース:1999』の話と無関係ではない。 『リバース:1999』はスマートフォンおよびPC向けに配信されている世紀末タイムリバースRPGである。開発・運営は中国広東省広州市に拠点を置くBLUEPOCH。
『呪術廻戦』(2018–)の主人公・虎杖悠仁はあまり主人公らしくないな、と感じることがある。 あくまで個人的な印象にすぎないと思っていたのだが、試しにインターネットで検索してみると、似たような感想がいくつかヒットする。一部の読者のあいだではある程度共有されている感覚なのだろうか。 もしそうだとしたら、虎杖に“主人公らしさ”が感じられないのはなぜだろうか。いろいろと理由は挙げられるものの、ここでは1980年代以降の少年漫画の主人公類型という観点から考えてみたい。 結論から言うと、虎杖があまり主人公らしく感じられないのは、彼がこれまでの少年漫画のパラダイムから逸脱する“第三世代の原子力少年”だからではないか。 目次“自分では制御しきれない力を秘めた少年”という主人公類型からの逸脱「原子力少年」第一世代の命題と、第二世代が切り拓いた可能性『呪術廻戦』が徹底的に否定する“原子力の平和利用”という成
本稿では、しょぼすけさん発祥の企画『Grand Theft Auto V(グランド・セフト・オートV、以下GTAV)』の「ストリートグラフィティ ロールプレイ」(ストグラ)に関するインタビュー後編をお届けする。 TRPG(テーブルトークロールプレイングゲーム)や人狼ゲームの文化がある程度根付いているのに、なぜ日本では『GTAV』のロールプレイは流行っていないのか? こんなに面白いものを、なぜ誰もやっていないのか? 純粋な疑問を抱き、強烈な熱意に後押しされたしょぼすけさん。2022年夏、彼はまっさらの状態から「ストグラ」の立ち上げにたった2人で挑戦した。 特殊なプレイスタイルゆえに生じるコミュニティからの不満。従来のサーバー運営では考えられなかった問題の連続。様々な苦労を乗り越え、しょぼすけさんが実現させた「ストグラ」の到達点に迫る。 目次「ストグラ」には無限の可能性が秘められているMMOR
プロ・アマ、営利・非営利、ジャンルを問わず、つくり手が「自らが〈文学〉と信じるもの」を自分で販売する場として、規模を拡大し続けている「文学フリマ」。2002年にスタートしたこの展示即売会は、現在は九州〜北海道までの全国8箇所、年間合計9回にわたって開催されている。参加者たちは略して「文フリ」とよく呼ぶ。 出店者・来場者の増加を背景に、2024年5月19日(日)開催の「文学フリマ東京38」からは東京開催時の一般入場を有料化。12月1日(日)開催の「文学フリマ東京39」は東京ビッグサイトでの開催も発表され話題となった。 今、文学フリマは文学を志す人々にとって、作品発表やビジネスにおいて、既存の商業出版だけではない「オルタナティブな場」として機能し始めているのかもしれない──この問いを掘り下げ、文学にまつわる人々にとっての思考の補助線をまとめようと、有料化される前の最後の「文学フリマ東京37」の
しょぼすけさんが立ち上げたのは、『Grand Theft Auto V(グランド・セフト・オートV、以下GTAV)』を題材にした企画「ストリートグラフィティ ロールプレイ」。 通称「ストグラ」と呼ばれるこのサーバーには、ストリーマー、プロゲーマー、TRPGプレイヤーなど、経歴や界隈を問わず様々な活動者が参加。ゲーム内の舞台「ロスサントス」の住人として、役職や各々が設定したキャラクターに見合う”ロールプレイ”に主軸が置かれている。 本稿執筆時点では、Twitchの総フォロワー数が130万人を越えるストリーマー・SHAKAさんや、『呪術廻戦』の「五条悟」役などで知られる声優・中村悠一さんも参加しており、推し参加者の活躍を心待ちにしているファン層に支持され、コミュニティの垣根を越えた一大ムーブメントを形成。 1月6日には、マクドナルド役で知られるライトさんが主催し、ストグラ初となるオフラインイベ
びわ湖くんは、2019年7月に「滋賀県民の歌。」のMVを公開し、YouTube活動を開始。 滋賀県への自虐的な歌詞や都会へ包み隠さない憧憬が県民を中心に注目を集め、滋賀県からも「公式に非公認」とのお墨付きを得て活動している。 同郷であるVTuber・オシャレになりたい!ピーナッツくんとの2マンライブ「びわピースタジアムライブ」やYouTubeショートで人気を集める「安く食べれる理由」シリーズなど、捉えどころなく多岐にわたるびわ湖くんの活動。ゆるキャラとしての本分を忘れることなく、「ゆるキャラグランプリ」にも出場している。 そんな多面的な活動を見せるびわ湖くんだが、中でも「カネ(お金)」への言及が多いことだけは常に一貫している。 その一方で、YouTubeの登録者数が30万人を越え、いよいよ彼の財布事情もうなぎ上りだと思われるが、そんな様子は見せてない──びわ湖くんの「カネ」への欲求はどこか
日本発の文化として国外のファンのみならず、各国のタレントも続々と生まれているVTuber。 このムーブメントの東南アジア圏における一角として盛り上がるタイを掘り下げる今回の特集記事。前編では現地の底力を知るつむじさんの視点を借りて、まずは現地のポップカルチャー事情も俯瞰しながらVTuberの盛り上がりを探った。 後編となる今回はタイ国内における3大事務所のひとつ、PixelaProjectの代表であるAtaruさんへのインタビューを行った。 当事者から見たタイのVTuberの勃興から今日に到るまで、そしてこれからの動向を探る。 目次広告ディレクターから転身 PixelaProject代表・Ataruインタビュー「VTuber」という真新しさに数ヶ月で慣れてしまったPixelaProjectの立ち上げ……タイでの人気の秘訣とは?新規ファンを得るためのタレント育成術 トレーニングとキャラ構築可
なによりこの10年は、イラストレーターの社会的な地位が大きく向上しています。 例えば2010年であればSNSのフォロワーが5,000人いればかなり人気のクリエイターと言えました。しかし今では、10万人以上のフォロワーがいるイラストレーターも珍しくありません。トップクリエイターであれば50万人、100万人といます。テレビに出てくるようなタレントよりもフォロワーが多い作家も沢山存在しているのです。 ”Reincaranimation” pic.twitter.com/mXOtNSuo1j — 米山 舞 Yoneyama Mai (@yoneyamai) December 29, 2023 なぜ彼らがここまでの人気を獲得できたかと言えば、先般の通り、市場におけるイラストのニーズが激増したことが要因です。 イラストの「惹き」の強さを社会が認知し、これまで人間のタレントを使う様な広告でもイラストに置
LANAは近年、ブレイクまでのスピードが最も早かったアーティストの一人だろう。 15歳だった2020年から音源を発表し始め、その後も過去に類を見ないほどの速度で次々と再生回数の桁を増やし、その勢いはまだ落ち着く様子がない。 実際、この一年でたくさんのLANAファンに出くわした。そのほとんどが女性で、彼女たちは皆がまず第一声でLANAのことを「かわいい」と表現し、ライブに詰めかけ「かわいい~!」という声援をステージにも届ける。 確かに、LANAはキュートだ。楽曲も、ファッションも、MCも、SNSの投稿も、そのひとつ一つがかわいい。だが、かわいいアーティストやラッパーは他にもいる。かわいさとは決して比べられるものではないが、LANAの持つキュートネスはある種の“現象”を生んでおり、ラップシーンにおいてもこれまでとはやや違った熱量が生じている気がするのだ。 本人はこれまでいくつかのインタビューに
2023年最もプレイしたゲームを一つ挙げるなら、スマートフォン向けゲーム『アークナイツ』だろう。中国のゲーム会社・Hypergryphが開発、日本版はYostarが運営・配信を行っている。 本作はゲームシステムの面白さもさることながら、骨太な物語に度肝を抜かれる。 膨大なエネルギーを生み出す源石、そしてそれに由来する感染症・鉱石病(オリジニウム)。苛烈な差別と争いの歴史──膨大な情報量と質を伴ったそれらが、ゲームという形でプレイヤーに語りかけてくる。 同時代性が高く、高密度の近未来SFとしても読めるその物語は、ゲームメディアを中心に高く評価されてきた。 そして2022年から、Yostarが立ち上げていたアニメスタジオ・Yostar Picturesの手でアニメ化され、この11月には2期の最終回を迎えたばかり。 『アークナイツ』はライトなテーマではないため軽々と人にオススメできないのがプレイ
インターネットは国境や文化を超えて、すべてを繋げてくれるネットワークだと期待されてきた。 2023年、国やプラットフォーム、SNSごとの区分は強くなりつつある。この情報環境の変化は、VTuber(バーチャルYouTuber)にとっても無関係ではない。 2023年のVTuberシーンの振り返りでは、前編の記事に引き続き世界の動向を振り返る。 VTuberはグローバル化できるか? ANYCOLORにカバー、Brave groupの戦略 2022年は、VTuber業界にとって象徴的な出来事がいくつか重なっていた。まず、先駆者であるキズナアイの無期限活動休止が全界隈… 世界の潮流や事例を紐解きながら、未来の展望に触れていく。 目次VTuber流行から5年 「セカンドキャリア」という選択肢“匂わせ”という手法──ぺぺちにVShojo、VTuberたちの卒業ケースWACTORの世界的炎上に見る、グロー
2022年は、VTuber業界にとって象徴的な出来事がいくつか重なっていた。まず、先駆者であるキズナアイの無期限活動休止が全界隈に衝撃を与え、そしてその年の瀬にキズナアイの技術が引き継がれたウタがNHK紅白歌合戦で「新時代」を披露。 VTuberの新たな章を開くような、そんな終わり方だった。 2023年は、まるでそのバトンを受けとったかのようにVTuberシーンが新たな幕を開けることとなり、変化と成長の激しい1年間となった。 目次アメリカや韓国、タイ……増加するVTuberの海外イベント英語圏でもVTuberは「飽和状態」の声 グローバル化への課題にじさんじやホロライブにはなかった、Brave group「V4Mirai」の戦略元タレントの個人情報を晒し炎上/収益分配の内訳を明かして称賛宣言通り海外での横展開を始めたホロライブの存在感「公正な報道受けていない」海外ファンの不信が注ぐANYC
文学作品の展示即売会である「文学フリマ」が、規模を拡大し続けている。 文学フリマは、プロ・アマ、営利・非営利、ジャンルを問わず、作り手が「自らが〈文学〉と信じるもの」を自ら販売する場として2002年にスタート。現在は九州〜北海道までの全国8箇所で年間合計9回、開催されている。「文フリ」と呼ぶ参加者たちもいる。 去る2023年11月11日(土)には、東京流通センター第一展示場・第二展示場にて「文学フリマ東京37」が開催された。前回5月の「東京36」では、文学フリマで初めて動員数が1万人を越えたと発表があったが、結果はそれを上回る盛況ぶり。「1843出店・2086ブース」を数え、総来場者は12890人と伸長した(出店者3062人/一般来場者9828人)。 この勢いには、筆者が初参加した当時とは隔世の感がある。 筆者が初めて文学フリマに参加したのは2008年11月9日の「第七回文学フリマ(東京)
アドリブとダイスによって無限の物語を生み出す遊び、TRPG。 そのはじまりは古く、1974年に世界初のRPG『ダンジョンズ&ドラゴンズ』が発売された時代にまでさかのぼる。以来、50年にわたって時代を紡いできたTRPGだが、「最も盛り上がったのはいつか?」と問われれば──それは間違いなく今だ。 海外では、『ダンジョンズ&ドラゴンズ』をベースにしたRPG『バルダーズ・ゲート3』が数々の賞を総なめに。 日本においても、好きなキャラクターをつくり、物語を紡ぐというTRPGの性質が、キャラクターを軸とした創作活動の人気と合致。コロナ禍で家で過ごす時間が増えたことも相まって、プレイヤー数が激増した。 さらに、VTuber、ストリーマー、声優、アイドル、格ゲーマーなど多くのクリエイターが配信でTRPGをプレイし、その魅力を発信することで、さらなる盛り上がりを見せている。 本連載ではこれまで、ディズムさん
日本の大手VTuber事務所として世界規模での人気を得るホロライブ。その運営を担うカバー・谷郷元昭社長も株式上場の機会に際して、北米圏や東アジアに次ぐ市場展開先として東南アジアへの注目を語るように、日本とも文化・地理的距離が近い東南アジア圏各国での状況は見逃せないものとなっている。 そんな東南アジアにあって、世界中から観光客が訪れるアジアの人気旅行先としてもおなじみの国、それがタイだ。 特に首都バンコクは世界有数の都市として通りには多くのクルマやバイクが行き交い、昼夜を問わずマーケットは多くの店と現地人と観光客が入り混じる多様な人々で賑わっている。 様々な人々、そして文化が行き交うこの国でも今、日本から始まったVTuber文化が盛り上がり始めている。 日本でも人気を博した『2gether』はじめ、タイはBL作品の隆盛では知られているが、実は国産IP創出には苦戦している側面がある。果たしてV
『ちいかわ』と聞いて、あなたは今や街中の至るところで見かける、キャラクターたちの姿を思い浮かべるだろうか。それとも、SNS上で日々更新される、漫画作品(と、そのアニメ化)の内容を思い出すだろうか。 ストーリー漫画としての『ちいかわ』は、従事するのに資格が必要な「草むしり」や、自分の身体よりもはるかに大きな生物に命をかけて挑まなければならない「討伐」によって日々の糧を得る主人公たち「ちいかわ族」を労働者のメタファーとして読解されることがままある。彼らの暮らす作品世界は、私たちが生きる資本主義社会のメタファーだ、とも。 一方、そうしたシビアな世界観を抜きにマスコットとして消費されている側面もあり、そもそもストーリーを追っていない人の存在もSNS上で多数報告されている(「グッズから入った友人がストーリーも追うようになって絶句した」のようなエピソードを目にすることは日常茶飯事だ)。 しかし、こうし
本稿では、2023年12月「コミックマーケット103」にて刊行の、バーチャルのすべてを記録するVTuber文芸・歴史編纂誌『風とバーチャル』第一集 所収の論文を先行公開する。 執筆は、『風とバーチャル』編集部代表の古月氏。放送業界とCG技術でたぐり寄せる、VTuber前史── 『風とバーチャル』詳細はこちら 普通のYouTuberと違うぞ?……と思ったそこのアナタ! 中々するどい! 私、実は……二次元なんです! あれ? 3Dだから三次元? うん、まぁとりあえず、バーチャルってことで。バーチャルYouTuberって響き、カッコよくないですか?『【自己紹介】はじめまして!キズナアイですლ(´ڡ`ლ)』より 2016年に活動を開始したキズナアイは自らを「バーチャルYouTuber」と名乗った。YouTubeでの動画投稿を活動の軸に、様々なことにチャレンジしていくその姿は今日のVTuber文化に少
2023年10月28日、中国本土で『ポケモンカードゲーム』が正式発売されてからまる一年の月日が経った。 現在進行形で高騰を続ける市場価格、中国現地でのポケモン人気の高さも相まって、今や中文版のカードが他言語版より高値で取引されるケースも珍しくない。 中国大陸が“ポケモンカード空白地帯”だった史実も、今は昔と言えるだろう。 ……とは言え、建前上“ポケモンカード空白地帯”という言葉は使ったが、実際これまで中国大陸にポケモンカード文化がなかったのかと言えば、それは違う。1999年には台湾で繁体中文版が発売されたこともあったし、ここ10年ほどはバイヤーが海外で買い付けた並行輸入品が大量に流通、海外のユーザーから「爆買い」と揶揄されることもあった。 そしてなにより、ポケモンカードが正式発売されていないのを良いことに、“勝手に”つくっていたからだ。 現在市場に蔓延っているスーパーコピーとは似て非なる、
プレイヤーでもゲームマスターでもなく、“表現者”としての視座からまにむさんはTRPGという遊び、文化を視ている。 業界団体が発表した独自の二次創作ガイドラインの存在もあり、今、TRPGシーンは大きな変化を迎えている。 取材を進める中で、まにむさんは、TRPGとその文化を次の次元に進めるための具体的なプランも抱いていることがわかった。 目次TRPGに気づかされた、自分の漫画に決定的に欠けていたものと悔しさ宮崎駿『君たちはどう生きるか』に鼻をへし折られたまにむにとってのTRPG──表現したい世界を実現する手段として遊びとも仕事とも違う、まにむに芽生えた“責任”「二次創作ガイドラインは時代に逆行している」──そもそもTRPGは本当に流行っていますか?ライブ配信×TRPGに感じる危険性──TRPGが楽しいのか、配信者が好きなのか物語を紡ぐ人を増やすために──世界観なき、独自のゲームシステム TRP
2015年4月、ニコニコ動画に1本の動画が投稿された。 その名は「実はめっちゃ面白いクトゥルフ神話TRPG」──TRPGのセッションを動画化した内容だが、そのイラストやアニメーションを駆使した軽快かつハイクオリティな演出と、謎が謎を呼ぶ物語によって一躍話題に。 TRPGという、数あるサブカルチャーの中でも得体の知れない“遊び”を見事なまでに一つの動画コンテンツとして昇華していた。 その作品を生み出したクリエイターが、今回インタビューを行ったまにむさんだ。 まにむさんはその後も動画投稿を継続。同シリーズ完結後も続編にあたる「マジでめっちゃ面白いクトゥルフ神話TRPG」シリーズを制作。 マジでめっちゃ面白いクトゥルフ神話TRPG しかし、そのハイクオリティな動画スタイルのせいか、物語は完結を見ないまま、2019年で更新が途絶えていた。しかし2023年8月28日、約4年の月日を経て、突如として「
トレーディングカードゲーム(TCG)市場が、バブルに沸いている。その立役者は「ポケモンカードゲーム」(ポケカ)の存在だ。 熱狂するムーブメントは、同時に濃い闇を引き寄せてもいる──窃盗や盗難事件の多発、違法性が疑われる賭博行為などの横行がそれだ。 ポケカの闇に迫った本連載。前編では、ポケカ投資家のS氏と個人でオリパ販売業を営むM氏に、ポケカ投資界隈の現状について話を聞いた。 後編となる本稿では、オリパや福袋販売を手がけるW氏を取材。何かと業界を騒がせる、ポケカ界の怪人物だ。 7月初旬に東京・渋谷の高級ホテルにて行われた買取会の前にインタビューを行い、買取会の様子も撮影。W氏が語ったポケカ投資界隈の実情とは? 目次某高級ホテルで始まった、ポケカの買取会…軍資金は1000万円表の顔は不動産業、ポケカ売買は「脱税目的」「賭場と同じ」違法性が指摘されるニブイチ配信とは?PSA偽造の手法──中を抜く
日本のSNSで流行した造語「NewJeansおじさん」に対して、ついに韓国メディアも報道を行いました。 韓国の芸能メディア「Sports Kyunghyang」は8月28日(月)、日本のカルチャーメディア「ENCOUNT」の記事を引用しつつ、「NewJeansおじさん」のキーワードがSNSで盛り上がっている現象を話題に(外部リンク)。 「Sports Kyunghyang」の記事は、「NewJeansおじさん」の由来とリアクションに触れ、NewJeansが公式な日本活動を行っていなかったにも関わらず「NewJeansおじさん」という言葉が流行るほど文化的な現象になったことに注目しています。 目次改めて、「NewJeansおじさん」とは何か若者のカウンターカルチャー“K-POP”に踏み込むこと無視と別格視の連鎖──音楽ジャーナリズムの責務放棄NewJeansが特別である理由と、切り離せない文
トレーディングカードゲーム(TCG)市場が、急激に拡大している。 今起こっているバブルは同時に、トレーディングカードゲームという文化に濃い影を落としてもいる。 2022年、成長目覚ましい国内玩具市場において、TCGが売上No.1を叩き出した。このトレカバブルを牽引するのが「ポケモンカードゲーム」(ポケカ)の存在だ。 「ポケットモンスター」という世界的キャラクターコンテンツというブランド力に加え、子供から大人まで楽しめるゲーム性や、男女に人気を誇るカードイラストなどが功を奏し、老若男女に楽しまれるタイトルとなっている。 その人気がためカードの価格が高騰し、1枚1000万円を超えるものまで出てきている。結果、プレイヤー以外にも転売ヤーや「ポケカ投資家」なる者らが跋扈することに。今や、「ポケカ」はそれを巡ってたびたび窃盗や暴行事件などに発展する社会現象となっている。 渦中の投資家やオリパ(オリジ
今、トレーディングカードゲーム(以下、TCG)業界に何が起こっているのか? なぜこうなってしまったのか? メディアを賑わす「ポケモンカードゲーム」を筆頭に熱狂的なブームの続いているTCGは、国内玩具業界における売上No.1を叩き出している。 後発の「ONE PIECEカードゲーム」などの勢いもさることながら、新カード発表のたびにトレンドを賑わす「遊戯王OCG」や、リリースから現在に至るまでキッズの心を掴み続ける「デュエル・マスターズ」、世界最古のTCG「マジック:ザ・ギャザリング」まで様々なタイトルがしのぎを削っている。 一方で、近年のTCGブームの過熱は、新商品の入手困難という状況を生み出し、買い占め行為なども横行。転売による利益を目的にカードを売買するユーザーも生まれ、高額カードの偽造や窃盗事件などの犯罪行為にまで及ぶケースも珍しくなくなってきた。 こうした事態がTCG業界の健全な姿か
SNSを中心に、AI技術と創作の交点に発生する技術的な課題、倫理的あるいは法的な問題など、多角的な観点からクリエイター達の意見がぶつかり合っており、まさに混沌とした状況が広がっている。 そのような状況下で、常に最新技術を自身の創作活動に取り入れ、独自のアートを追求し続けているイラストレーター・redjuiceさんにインタビューを行った。 AI(Midjourney)と仲良くする事例な pic.twitter.com/2rvVsgBOcK — redjuice (@shiru) October 11, 2022 同氏は早くからAIソフトを使用してイラストを制作していた一方で、そこには技術的可能性と同時に、受け入れがたい違和感も混ざり合っていたと言う。 本インタビューを通じて、AIとアートがどのように共存可能なのか、そしてその先に広がる未来は何なのか──その手がかりを探る。 目次いち早く生成系
11月刊行予定の『ferne vol.2 セカイ系✕音楽特集号(仮)』に収録の、主宰である北出栞氏による批評を先行公開。 2021年刊行の『ferne』創刊号についてはこちら 2023年にデビュー25周年を迎えた浜崎あゆみ。アニバーサリーイヤーということで各種テレビ番組への出演が相次ぐほか、「Y2K」「平成レトロ」の文脈で視線を向けられる機会も増えている。 40歳を超え、いまでは母ともなった浜崎あゆみは、最新アルバム『Remember you』のジャケットでは漆黒のロングドレスをまとい、「伝説の歌姫」と呼ばれるに相応しい風格を誇っているように見える。新たに彼女を知ったリスナーからすれば、ともすると20年超の長きにわたり強かに芸能界を生き抜いてきた、「強い女性」のイメージを持つかもしれない。 しかし1998年のデビュー時から全盛期とされる2000年代前半までの「浜崎あゆみ」とは、果たしてそん
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