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おみそ汁
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アラブ首長国連邦(UAE)で2023年末に開かれたCOP28(国連気候変動枠組条約第28回締約国会議)に合わせ、米国政府は2050年に世界の原子力発電所の設備容量を2020年と比べて3倍に増やすとの宣言を発表した。 日本やフランス、韓国を含む20カ国以上が賛同した一方、世界で最も原発を建設中の中国やロシア、インドは同宣言に加わらなかった。 カーボンニュートラル(温暖化ガス排出量実質ゼロ)の推進やエネルギー安全保障を強化する動きを背景に、世界的に原発を見直す機運が高まっている。そうした中で、日本や各国の原発はいま、どうなっているのか。 国内では震災後初めてBWRが稼働予定 海外に目を向ける前に、まずは日本国内の原発の再稼働について、振り返る。 建設中や計画中を除くと、国内には動かせる原発が33基ある。2011年の東日本大震災による福島第一原子力発電所の事故後、現時点で再稼働しているのはそのう
全国銀行資金決済ネットワーク(全銀ネット)が、銀行間送金を担う「全国銀行データ通信システム(全銀システム)」の保守期限延長を巡って、NTTデータと協議することが明らかになった。2023年10月に発生した全銀システム障害を受けて、2027年を見込む次期システムの稼働を延期する選択肢を持つ狙いが透けて見える。 全銀ネットは2024年4月18日、同3月11日に開催した「全銀ネット有識者会議」の議事要旨や事務局説明資料などを公開した。同会議は有識者を交えて年1回開催しており、全銀システムに関する時宜を得たテーマについて意見交換する。全銀システム改革の方向性を固めていく上で、重要な場といえる。 筆者が議事要旨や事務局説明資料などを読み込む中で、ある部分に目がとまった。それは事務局説明資料の12ページに書かれた「要件定義・開発・試験・移行等を確実に行うため、保守期限の延長についてNTTデータと協議」と
総務省は2024年4月16日、LINEヤフーに対して2度目の行政指導を実施した。2024年4月1日に同社が総務省に提出した報告書に対する行政指導だ。総務省は2024年7月1日までに措置の履行状況や実施計画について新たに報告を求めた。異例と言える2度目の行政指導の背景にはどのような理由があるのか。 LINEヤフー(当時LINE)がセキュリティー関連のメンテナンスを委託していた企業で従業員の端末がマルウエアに感染。これを契機として、2023年9月14日から10月27日の間に旧LINEのシステムが不正アクセスを受け、最大で個人データ約52万件が漏洩した。なお、この委託先は韓国NAVERの子会社NAVER Cloudからも業務委託を受けていた。NAVERはLINEヤフーの6割超の株式を保有するAホールディングスに50%出資し、NAVER Cloudは旧LINEのシステムを保守するために認証情報を保
江崎グリコの基幹システムで障害が続いている。物流センターでの出荷業務が一部停止し、看板商品である「カフェオーレ」や「プッチンプリン」など冷蔵商品が出荷できない状態に陥っている。原因は旧基幹システムから独SAPの「SAP S/4HANA」への切り替えに伴うトラブルだ。江崎グリコの開示資料からは、この基幹システム刷新プロジェクトが稼働前から「難産」だったことがうかがい知れる。 費用が215億円から342億円に膨張 江崎グリコの有価証券報告書によると、同社が基幹システムの刷新に着手したのは2019年12月だ。2021年12月期の時点で、完了予定時期を3年後の2022年12月としていた。投資予定額は215億円と、2021年12月期の営業利益193億円を上回る一大プロジェクトだった。このうち、同期末までに118億円を既に支払っていた。 ただプロジェクトはもくろみ通りにはいかず、費用の膨張と延期に見舞
キリンホールディングスは2024年4月22日、子会社のキリンビバレッジが販売する一部のチルド(冷蔵)製品の出荷が停止していることを、日経クロステックの取材に対して明らかにした。同月に発生した江崎グリコの基幹システム障害の影響を受けたという。 4月22日午後8時時点で影響が出ている商品は「トロピカーナ」や「無添加野菜」シリーズなど一部のチルド製品だ。キリンホールディングスは2011年に江崎グリコと業務提携を行い、子会社のキリンビバレッジが扱う一部のチルド製品の販売を江崎グリコに委託している。 出荷に影響の出ている範囲は江崎グリコと業務提携している範囲に限られているとした。キリンホールディングスの広報は影響を受ける期間は不明だとして、「システムの復旧を待っている状況」と回答した。
インターネットを支える通信プロトコルであるIP(Internet Protocol)*1の主役がいよいよ交代する。これまで広く使われてきたIPv4に代わり、後継規格であるIPv6の採用が進んでいる。 2024年2月には、日本におけるIPv6の利用率が50%を超えたとの調査結果も出た。米Google(グーグル)は同社の各種サービスにIPv6で接続しているユーザーの割合を調査し、結果を公開している*2。この調査によれば、日本におけるIPv6の利用率は2024年2月22日時点で50.57%に達した(図1-1)。世界全体でのIPv6利用率も、同月17日時点で45.35%と5割に迫る。10年前の2014年には世界で3%ほどしか利用されていなかった。 米Googleが調査した、GoogleのサービスにIPv6で接続しているユーザーの割合。日本では2024年2月22日時点で、ユーザーの過半数がIPv6で
今回の「極言暴論」のタイトルを見て「わあ、恥ずかしい。DX(デジタルトランスフォーメーション)の内製だなんて無知にも程がある」とあざ笑う読者がいるかもしれないな。DXの本質を理解している人はそう思っても仕方がないが、今回の記事はこれで合っている。仮にコンサルティング会社やSIerなどの力を借りてDXプロジェクトを完遂したとしても、ほとんど意味がなく、大金をドブに捨てるようなものだ。何せ企業にとって最も大切な能力を、外部に依存してしまっているわけだからな。 タイトルを見てあざ笑った人は、私がDXとシステム開発を同一視していると思ったんじゃないかな。確かに、DXを単なるデジタル化の類いと捉えている愚か者がIT業界の中にも、そして我々のような記者の中にも、ごろごろいるからね。そんなIT関係者やメディア関係者がつくる風潮にうんざりしている人が初めてこの極言暴論を読んだら、「この木村というやつもDX
本特集では、IT業界に特化して、IT人材のスキルをどう仕事にマッチさせ適所適材を実現すればよいのかを、米国のジョブポスティング(求人票)データなどの例を使いながら考察する。初回は、IT業界の現状への理解を深めるため、日本全体の労働市場について三菱総合研究所(MRI)が試算した「労働需給ギャップ」「人材ミスマッチ」「タスク代替」の3つの予測を提示する。ショッキングな未来を感じていただけるだろう。 日本の労働市場は今、歴史的な転換期を迎えている。少子化で労働人口は減る一方、脱炭素化や経済安全保障の要請がもたらす産業構造の変化への対応は待ったなしだ。さらに生成AI(人工知能)をはじめとするデジタル技術の普及などにより、求められる人材・スキルは激変している。 だが労働市場の流動性がさほど高くなかった日本で今後、求められる人材やスキルに労働者がマッチしていくのかは見通せない。マッチしなければ、人は望
これまで何度も「オワコン(終わったコンテンツ)」とやゆされ、事実、一般消費者の視界から消えてしまったHDD(ハード・ディスク・ドライブ)が、高容量化に向けた“限界突破技術”を得て、再び成長モードに突入しようとしている。 その技術が、記録密度向上の要とされる「エネルギーアシスト記録」の中でも究極の「熱アシスト記録(HAMR:Heat-Assisted Magnetic Recording)」である。米Seagate Technology(シーゲイト・テクノロジー)は、HAMRを採用したデータセンター向けの3.5インチHDDの量産化を2024年3月末までに開始する(図1)。ディスク1枚(1プラッター)当たりの記録容量は3TB(テラバイト)で、このディスクを10枚搭載した30TBの「Exos Mozaic 3+」を製品化した。
江崎グリコは2024年4月19日、乳製品・洋生菓子・果汁・清涼飲料など「チルド食品(冷蔵品)」の出荷業務を再度停止したと発表した。同社は4月3日に旧基幹システムを独SAPの「SAP S/4HANA」に切り替えた。その後システム障害が発生し、物流センターの一部業務を停止。復旧作業に取り組んでいた。 同社は4月18日に一部業務を再開したものの、「物流センターでの出荷に関するデータ不整合などが発生したほか、想定していた受注に対して処理が間に合わず、出荷の停止を判断した」(江崎グリコ広報担当者)。再開は5月中旬を目指している。常温品や冷凍品など、冷蔵品以外の商品は出荷している。
2025年国際博覧会(大阪・関西万博)に民間パビリオンを共同出展する飯田グループホールディングスと大阪公立大学は2024年4月12日、建築の目玉となる西陣織を用いたパビリオン「飯田グループ×大阪公立大学共同出展館」の膜工事に着手した。完成すれば、世界最大の「西陣織建築」になる。民間企業と大学の産学連携による共同出展パビリオンも国内初の試みだ。 大阪・夢洲(ゆめしま)で万博パビリオン「飯田グループ×大阪公立大学共同出展館」の躯体(くたい)に、西陣織の膜を取り付ける工事が始まった(写真:飯田グループホールディングス) このパビリオンは未来と伝統の融合、そして持続、循環、継承、進化を象徴する「サステナブル・メビウス」をテーマにした外観デザインが特徴である。メビウスの輪を想起させる3次元構造物の外壁全面に、西陣織をまとわせた建築になる。西陣織で覆う外壁の表面積は、約3500m2に達する予定だ。 西
個人情報保護委員会(個情委)は2024年3月、ランサムウエア被害に遭った社会保険労務士向けクラウド業務システム「社労夢(Shalom)」などを運営するエムケイシステム(エムケイ社)に行政指導をした。 同時に個情委は、社労士事務所や企業にも注意喚起を公表した。約57万件もの事業所が認識の薄いまま従業員データをエムケイ社に委託し、結果的に同社への監督が不十分だった可能性があるとしたためだ。 エムケイ社では、2023年6月にランサムウエア攻撃で最大約2242万人分の個人データが暗号化されて漏洩などの恐れが発生した。同社との間で利用契約を結ぶ直接のユーザーは社労士事務所などだ。個々の社労士事務所が、顧問契約などを結ぶクライアントの企業や事業所の従業員に関する、社会保険・雇用保険の申請や給与計算、人事・労務管理といった業務に利用している。 取り扱う個人データは社労士のクライアントである企業や事業所な
出勤先は顧客オフィスがあるビルの1室、隣の席で働くのは顧客、自社に戻るのは月に1度――。初めて聞く人は驚くかもしれないが、顧客の用意した環境で働く「客先常駐」はIT業界では一般的な働き方の1つだ。システム開発や運用業務をITベンダーが担うSES(システム・エンジニアリング・サービス)契約でよく採用される。 働く場所は顧客の隣の席だったり、別のビルにあるプロジェクトルームだったりとプロジェクトによって様々だ。客先に出社する頻度も週5日とする場合もあれば、週2日程度は客先、残りの週3日は自社で作業する場合もある。 なぜこのような働き方がIT業界では一般的なのか。リクルートの丹野俊彦IT・通信業界担当コンサルタントは「(顧客となる事業会社側に)システムを外に出したくないという考えがある」と指摘する。特に金融など重要情報を扱う業界では、データの持ち出しを厳しく制限しているところが多い。本来は社内S
LLM(大規模言語モデル)単体ではなく、複数のLLMに検索システムなどを組み合わせた「複合AI(人工知能)システム」がこれからの主流になる――。そう指摘するのは、データ分析基盤を提供する米Databricks(データブリックス)の共同創業者、Matei Zaharia(マテイ・ザハリア)CTO(最高技術責任者)だ。 ザハリアCTOはカリフォルニア大学バークレー校(UCバークレー)の博士課程に在籍していた2009年に、ビッグデータ分析のオープンソースソフトウエア(OSS)である「Apache Spark」の開発プロジェクトを始めたことで知られる。データブリックスはSparkをベースにしたデータ分析基盤を提供するスタートアップで、ザハリアCTOは今もUCバークレーの准教授を務める。 複合AIシステム(Compound AI Systems)とは2024年2月に、ザハリアCTOがUCバークレーの
ノートパソコンからの買い替えに際し、筆頭候補となるのがミニPCだ。本体は一般的な製品で縦横が11~13cmほど。セパレート型のデスクトップ機や15.6型のノートパソコンと比べると、驚くほどコンパクトだ(図1左)。最近は、本体の縦横が8cmという製品もある(図1右)。あまりに小さいため、まともに動くのかという不安に襲われるが心配無用。こう見えてノートパソコンならハイエンドクラスに匹敵する性能を有するものもある。
オープンソースソフトウエア(OSS)が曲がり角というか、何か変えるべきタイミングに差し掛かっているような気がする。「Netscape Communicator」のオープンソース化やエリック・レイモンド氏の「ハロウィーン文書」が公開されるなどOSSが盛り上がった当初から、付かず離れず的な距離で接してきた。首まで深くどっぷり漬かってコミュニティーに愛された今は亡き同僚のT記者とは異なり、残念ながら筆者の顔は売れなかったがそれなりに気にはかけていた。 OSSは大いに浸透し、今やどこの企業システムをとってもOSSがまったく使われていないということは考えにくい。そもそもアプリケーションを動かすサーバーの多くがLinuxであり、OSSが関わっている。 サプライチェーン攻撃はOSS故なのか 最近、「OSSにとっての危機」と一部で指摘されている事件が起きた。Linuxでよく使われるファイルの圧縮/展開用ソ
ネット企業出身CIOがデジタル部隊をリード 事実、この数年間で日清食品HDが手掛けた数々のデジタル施策は目を見張るものがある。生成AI(人工知能)をいち早く導入し、既に3万時間超の業務を効率化する成果を上げた。ローコード/ノーコード開発ツールを駆使し2年間で350超のシステムを内製。RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)なども活用し、約800の業務を対象に年間17万時間の業務工数の削減も達成した。約40年間稼働したメインフレームの撤廃も完了済みだ。 同社のDX(デジタルトランスフォーメーション)をリードするのが、成田敏博執行役員CIO(最高情報責任者)である。成田CIOはDeNAやメルカリといったネット企業でIT部門のマネジメント職を歴任した後に、その手腕を買われて2019年に日清食品HDへ招かれた。2021年からCIOとしてデジタル部隊の陣頭指揮を執る。
長く使えるパソコンを選ぶ際には、インタフェースにも目を向ける必要がある。使い勝手を重視するなら「USB PD」[注1]と「DP Alt」[注2]をサポートしたUSB Type-C端子は必須といえる(図1)。
iPadをiPadOS 17以降にアップデートすると、映像信号をUSB経由でやり取りする「USB Video Class」(UVC)規格に対応する。iPadに特別なドライバーをインストールしなくても、ゲーム機やパソコンの外付けディスプレーとして使えるようになる。 今回はこのUVCを使って「12.9インチiPad Pro」を「Nintendo Switch」(以下、Switch)の外付けディスプレーにする方法を紹介しよう。 HDMIキャプチャーボックスが必須 iPadOS 17以降では、ゲーム機やパソコンのHDMI端子から出力された映像信号を、iPadのUSB Type-C端子に入力できる。前述のように特別なドライバーは不要だが、「HDMIキャプチャーボックス」(以下、キャプチャーボックス)と呼ばれる装置が必要になる。 HDMIキャプチャーボックスは安いもので3000円程度、高いものでは数万
約700の技術と500以上もの製品を抱えていく上では、しっかりした研究・開発体制が求められます。 700の技術を抱えているということは、700分野の専門家がいることを意味します。合計すると何千人もいます。当社は2015年に「総合研究所」を設けて、ここに研究機能を集約しています。以前は各事業部の中に研究部があったのですが、効率を考えていった結果、1つに集約する形になりました。 (総合研究所の設立)以前は、事業部ごとにばらばらに動いていたので、ロケットを開発している研究者とエアコンを開発している研究者に接点はありませんでした。その結果、別の研究者が同じような研究・開発を進めて二重投資になる場合もありました。これは非効率で無駄です。 専門分野に閉じこもらない研究を 総合研究所に集約すると、二重投資を防げる上に効率的です。というのも、ある製品に必要な研究を始めるに当たり、既に別の製品で同様の研究を
新型車の外観デザインは、そのクルマのイメージを確立する重要な要素だ。外装設計は、デザイナーの「理想」と市販車の「現実」をつなげる仕事である。日産自動車(以下、日産)の軽電気自動車(EV)「サクラ」は、外観デザインでも開発開始から市販車完成まで様々な紆余曲折(うよきょくせつ)があった。その裏には、先に開発が始まったEV「アリア」の影が常に付きまとっていた──。(本文は敬称略)
千葉県流山市のデータセンター(DC)の建設計画が、地域住民の反対で頓挫した。東京都渋谷区に本社を置く「流山綜合開発K」という企業が、流山市役所の目の前にある1万2877平方メートルの土地で進めていた、地上4階・地下1階建てで高さ28メートルのDC建設計画だ。流山綜合開発KはこのDC開発のために設立した特定目的会社だ。 開発区域はもともと「飛地山」と呼ばれていた場所で、2018年ごろにマンションの建設を目的に整地された。しかしマンション建設は周辺住民との交渉がまとまらず、用地は流山綜合開発Kに売却された。 流山綜合開発KはDCの建設を進めるため、用途地域の変更を要望する都市計画提案書を2020年11月に流山市へ提出した。その結果、2022年1月にこの土地はそれまでの第一種住居地域から商業地域に変更され、建ぺい率は60パーセントから80パーセントに、容積率は200パーセントから400パーセント
総務省は2024年4月16日、富士通Japan製システムを導入した高松市において住民票の写しが誤って交付された件で、親会社の富士通に対して行政指導を実施したと発表した。富士通に原因究明と再発防止策の徹底、その実施状況の報告を求めた。富士通Japanは高松市に提供したコンビニ証明書交付システム「Fujitsu MICJET コンビニ交付」で、申請者と異なる住民の住民票を発行したことを同日明らかにしている。 富士通広報によると、誤交付が発覚した経緯は以下の通りだ。2024年4月4日に高松市が「コンビニ証明書交付システムでエラーが発生している」と富士通Japanに問い合わせた。高松市がエラーの対象となった住民を特定し、事態を確認したところ、住民票が誤交付されていたことが発覚した。富士通広報が把握している限り、誤交付はこの住民向けの1件だけであるという。 誤交付の原因として富士通Japanは「複数
VersalアダプティブSoCの第1世代品は、AMDに買収される前の米Xilinx(ザイリンクス)時代の2018年に発表された。それ以前にもCPUコアを内蔵したFPGA「Zynq」をFPGA SoCと称することはあったが、VersalはCPUコア以外の回路ブロックをハードマクロとして内蔵することで、マスクプログラム方式の一般的なSoCに近づけた。さらに、製造プロセスの微細化も進めた。それ以前のFPGAでは「UltraScale+」の16nmプロセスが最も微細だったが、Versalでは7nm世代へと一気に微細化した。 第1世代のVersalは5つのシリーズから成る。(1)汎用の「Versal Primeシリーズ」、(2)浮動小数点のAI処理などに向けたベクトル・プロセッサー・アレー「Al Engine」を備えた「Versal AI Coreシリーズ」、(3)ネットワーク装置などを狙った「Ve
米Google(グーグル)といえば、生成AI(人工知能)やクラウドサービスで派手な技術を打ち出す印象が強い。ただサイバーセキュリティー分野では、派手さはないが実用的な技術やサービスをしばしば発表していて、筆者はひそかに楽しみにしている。以前にも「グーグルがオープンソースソフトウエア(OSS)にお墨付きを与える」という渋いサービスを取り上げたことがある。 そんなグーグルが2024年4月2日(米国時間)、また渋いセキュリティーの新技術を発表した。同社が「デバイス・バウンド・セッション・クレデンシャルズ(DBSC)」と呼ぶ技術である。まだあまり注目されていないが、「クッキー泥棒」ともいうべきサイバー攻撃への対策の決め手になる技術かもしれない。そう感じ、サイバーセキュリティーの専門家に取材することにした。 「ログインできるクッキー」が狙われている クッキー泥棒とは、ユーザーのWebブラウザーに保存
パブリッククラウドサービスのコスト削減が多くの企業にとって課題の1つになっている。Microsoft Azureのような海外クラウドの料金はドル建てで、円安・ドル高が進むほど支払額は増える。Azureでのシステム開発や運用保守の経験が豊富なパーソルプロセス&テクノロジーのスペシャリストが、Azureコストの削減の要点を伝授する。今回は、コスト膨張の要因となりがちな仮想マシンなどのバックアップについて、コスト削減の3つのポイントを示す。 安全性を高めることがコスト増加の理由に 筆者が様々なクラウド環境を見る中で、バックアップ領域においてコスト削減余地が大きい顧客は多い。まずはその理由を説明しよう。 読者はバックアップと聞くとどういったイメージを持つだろうか。ほとんどの方は「安全性の向上」「最低限行う設定」「障害対応最後のとりで」など、システムの安全性をつかさどる基本かつ重要な機能、というイメ
著名なセキュリティーリサーチャーのpiyokango氏が注目のシステムトラブルをピックアップ。今週の注目ネタは……。 今回取り上げるトラブルは、日本信用情報機構へのなりすましによる情報開示と、日水コンのWebサイトへの不正アクセス、お茶の水女子大学への研究用サーバーへの不正アクセスを取り上げる。 スマホアプリを使ったなりすましの申し込みに16件開示 貸金業に関連する個人信用情報を取り扱う日本信用情報機構(JICC)は2024年4月1日、信用情報の開示サービスにおいて偽造された本人確認書類を使った申し込みに対して個人信用情報を開示したとして、謝罪した。 開示したのはスマホアプリを使った申し込みに対してで、発表時点までに16件確認されたという。 JICCは2024年3月最終週の数件の開示申し込みにおいて、本人確認に偽造書類を使われていることを確認した。これらの申し込みについては情報開示を防げた
ユーザー企業のCIO(最高情報責任者)やCDO(最高デジタル責任者)を輩出する日本IBM。CIO/CDOとなる人材が成長した背景には、米IBMも含めたグループ全体の「継続的な学び」「キャリア自律」という組織文化や、それを支える研修制度があった。 「『学ぶことが当たり前』という文化が全社的にある」――。日本IBMの山田淑子テクノロジー事業本部セールス・イネーブルメント部長はこう話す。米IBMの初代社長、トーマス・ワトソン・シニア氏は「教育に飽和点はない」と述べ、人材育成や社員の学びに力を注いだ。このことがIBMのDNAになっているという。2013年、当時の最高経営責任者(CEO)であるジニー・ロメッティ氏は、社員に年間最低40時間の学習を求めるスローガン「Think40」を掲げた。 例えば、WatsonやIBM Cloudを駆使した「Your Learning」というオンライン学習プラットフ
東日本高速道路会社が東京都調布市で進めている東京外かく環状道路(外環道)関連の地盤補修工事で、施工者が現場周辺の住民に関する情報を収集・共有していたことに対し、「住民の監視・盗撮ではないか」といった声が上がっている。国会で指摘を受けた東日本高速は2024年3月26日、監視などが目的ではないと釈明した。 地盤補修工事の施工者は、鹿島・前田建設工業・三井住友建設・鉄建建設・西武建設JVだ。現場周辺では同JVが大深度地下で進めていた外環道のトンネル工事の影響で、20年10月に道路陥没事故が発生。これを受けて23年8月、事故現場とその周辺の地盤補修工事に着手した。 現場は密度の高い住宅街で、東日本高速が工事のために移転を求める住民は約30世帯、補償する住民は約1000世帯に上る。一部の住民は陥没地点を含む外環道トンネル工事について、国と都による認可の取り消しを求める訴訟を継続している。外環道関連の
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