ITの急速な進歩の下で人間の仕事が置き換えられている。製造業務に代表される中程度のスキルの就業者が担ってきた定型業務がITに置き換えられているのであれば、置き換えられにくいのはどのような業務なのか。 第1回、第2回の議論を踏まえると、これからの仕事にとって重要なのは、人間ならではの得意分野(創造性、五感・感性、柔軟な運動機能など)を生かすこと、技術を「利用」しながら新しい価値を生み出していくこと、すなわち「イノベーション」である。 イノベーションはいつの時代も提唱されてきており、いまさらという感じがするかもしれない。しかし、高い付加価値を生むために「これまでにない」ものを創り出す重要性はかつてないほど高まっている。 イノベーションが実現しやすいのは製造業であるが、むしろ非製造業こそ、その必要性が高い。中程度の賃金の製造関連の雇用シェアが低下する一方で、増加が目立ったのは低賃金の非製造業分野