韓国の首都ソウルでは、いま空前の本ブームが起きている。「独立書店」と呼ばれる個人開業の書店が週に1軒は生まれ、「独立出版物」と呼ばれる個人出版の本も、1日1冊のペースで出版されている。 一体なぜこんなムーブメントが起きているのか。学歴社会、就職難と非正規雇用、晩婚化と高齢化など、様々な共通した社会問題を抱える日本と韓国だからこそ、学べることがあるのではないか…。 そんな問題意識から、下北沢にある「本屋B&B」の共同経営者・内沼晋太郎氏と、朝日出版社で編集職を務める綾女欣伸氏が、ソウルの書店主や編集者など新世代20人にインタビューを行なったのが本書である。 「本への愛」から生まれたユニークな本屋 本書で紹介されている本にまつわる人々は実に多様だ。 詩集の専門書店「wit n cynical(ウィットンシニカル)」を立ち上げた若き詩人ユ・ヒギョン。自分が大好きなミステリーだけに囲まれたいと、2