ブックマーク / natgeo.nikkeibp.co.jp (33)

  • ロケットと宇宙船が爆発でも「成功」、スペースXの流儀とは

    テキサス州ブラウンズビル近郊にあるスペースX社の発射台で打ち上げの準備を進める世界最大の宇宙ロケット「スターシップ」。(PHOTOGRAPH BY JOE SKIPPER, REUTERS/REDUX) 11月18日の現地時間午前7時3分、米国テキサス州ボカチカからスペースXは史上最大のロケット「スターシップ」を打ち上げた。「スーパーヘビー」と呼ばれる1段目の巨大ブースターロケットは、ロケットと同じ名前の宇宙船「スターシップ」を分離した後、地上に落下する途中で爆発した。宇宙空間まで上昇したスターシップは、高度約148キロメートルで通信が途絶え、スペースXがエンジンを停止させる直前に自動飛行停止システムが作動し、メキシコ湾上空でやはり爆発した。スターシップは東へ向かい、地球をほぼ一周してからハワイ付近の太平洋に着水する予定だった。 スペースXによる実験的な打ち上げは、これまでに何度も爆発や災

    ロケットと宇宙船が爆発でも「成功」、スペースXの流儀とは
  • 脳でトラウマ記憶がつくられる仕組みの一端、マウス実験で解明

    強い恐怖の体験をいつまでも忘れられない「トラウマ記憶」が脳でつくられる仕組みの一端を解明したと、自然科学研究機構生理学研究所(愛知県岡崎市)などの共同研究グループが発表した。マウスの動物実験で、恐怖の体験をすると脳の「前頭前野」に新しい神経細胞ネットワークができることを確認。研究成果は心的外傷後ストレス障害(PTSD)などの難治性精神疾患の治療法研究につながる可能性もあるという。 トラウマ記憶は突然呼び起こされ、フラッシュバックとも呼ばれる。実生活にさまざまな不自由を強いることがある。これまでの研究で大脳皮質の前頭前野が関わり、多くの神経細胞の集団によって保持されていることなどは分かってきた。しかし、脳神経細胞の情報処理ネットワークの構造は複雑でトラウマ記憶ができる詳しいメカニズムは解明されていなかった。 生理学研究所の揚正和准教授、鍋倉淳一所長や大阪大学産業科学研究所の永井健治教授のほ

    脳でトラウマ記憶がつくられる仕組みの一端、マウス実験で解明
  • つらい記憶のフラッシュバックは「テトリス」をやると減る、研究

    2006年、イラクのアルファルージャで、軍用の金属探知機を膝に乗せ、テトリスをプレイする米海兵隊の兵士。(PHOTOGRAPH BY TOBY MORRIS, ZUMA PRESS/ALAMY STOCK PHOTO) 1980年代に世界的ベストセラーになったコンピューターゲームの「テトリス」を、メンタルヘルスの改善に役立てる研究が進められている。具体的には、テトリスをプレイして、性的暴行や自動車事故、戦争、自然災害、または困難な出産などを体験した後に起こるフラッシュバック(過去に経験したトラウマ的な記憶が自分の意志とは無関係に侵入すること)の回数を減らせる可能性があるという。 世界24カ国で実施した調査によると、人が死ぬところを見たり、愛する人が突然亡くなったり、命が脅かされたりする事故に遭ったりするなどのトラウマ体験があると報告した人の割合は70%を超えていた。だが、その後に睡眠障害や

    つらい記憶のフラッシュバックは「テトリス」をやると減る、研究
  • 魔女の魔術に呪文詠唱…米国で人気急上昇の「ペイガニズム」とは

    秋分の日、英国のストーンヘンジで杖を額に当てる女性。周りにいる人々は日の出を見ている。(Photograph by Alice Zoo, National Geographic) その昔、古代ケルト人たちは自然と野生の有角神ケルヌンノスに祈りを捧げるため、風が吹きすさぶ荒野を旅した。古代エジプトの人々は、豊穣の女伸イシスの庇護を求めて砂漠を越えた。ケルトの謎めいたドルイドたちは、月明かりの下、森の中の広場で儀式を執り行った。しかし、時の流れとともに神々は神話の世界に去り、彼らを祭る儀式は人々の記憶から忘れられていった。(参考記事:「ドルイドって何? 古代ケルト、謎の社会階級」) ところが最近、水晶、タロットカード、占星術、薬草など、キリスト教以前の信仰である「ペイガニズム」にまつわる慣習への関心が再び高まり、ポップカルチャーの中心とは言わないまでも、少なくともTikTokの「おすすめ」フィ

    魔女の魔術に呪文詠唱…米国で人気急上昇の「ペイガニズム」とは
  • そもそもなぜ1日8時間、週5日、週40時間労働が標準的なのか

    1927年頃、米デトロイトのフォード・モーター社の工場内で、自動車のボディの組立ラインで働く男性たち。実業家ヘンリー・フォードは、現代では当たり前になっている週5日勤務制の普及に貢献した。(PHOTOGRAPH BY POPPERFOTO, GETTY IMAGES) 週の最大労働時間を現在の40時間から32時間とする法案が、米国の議会に再提出されたのは3月上旬のこと。週4日勤務制を採用するべきかどうかは、何年もの間、米国の人々の強い関心の的となってきた。 だが、そもそもなぜ週40時間働くことを求められているのだろうか。土曜日と日曜日が聖なる休日とされている理由はなんだろうか。こうした概念が職場の常識となった経緯を紹介しよう。 なぜ週5日働くのか 何世紀もの間、米国の雇用主は週ごとの休みを設けることなく、労働者を長時間働かせていた。しかし19世紀初頭、多くの雇用主が日曜日を休みとすることを

    そもそもなぜ1日8時間、週5日、週40時間労働が標準的なのか
  • 脳にとって「最高の刺激」とは何か、脳の劣化を防ぐ秘訣

    中国貴州省安順市の公園で太極拳をする中高年の人たち。太極拳のゆっくりとした動作は、あらゆる年齢の人のバランスを向上させ、脳を活性化させる。(PHOTOGRAPH BY LU WEI, VCG/GETTY IMAGES) 脳の健康は、その人がどのくらい長く生きられるかを示す最も有力な指標かもしれない。若いときから長く変わらずに充実した人生を送れるか否かは、脳の健康を保てるかどうかにかかっている。 車に優しい運転を心がけ、高品質のガソリンを給油し、定期的にオイルを交換し、消耗した古い部品を交換しながら乗った車は、乱暴に乗り、整備もしない車よりも長持ちするだろう。同じように、中高年の脳を健康に保つ最も簡単な方法は、心身に良い習慣を身につけることだ。 では、長年にわたり心身に良くない習慣を続けた人が脳の衰えを感じはじめたときにはどうすればよいのだろうか? 車なら、いつでもエンジンを乗せ換えられる。

    脳にとって「最高の刺激」とは何か、脳の劣化を防ぐ秘訣
  • 300万年前の「意外な」石器を発見、作者はヒト属でない可能性

    科学者たちはケニア南西部のニャヤンガ遺跡を発掘し、300点以上の石器を発見した(写真は発掘調査開始前の2014年に撮影したもの)。(PHOTOGRAPH BY T.W. PLUMMER, HOMA PENINSULA PALEOANTHROPOLOGY PROJECT) 考古学者たちがケニア南西部のニャヤンガ遺跡で特徴的な石器を発見した。石器は最も古くて300万年ほど前のものと考えられる。オルドワン技術(旧石器時代初期にアフリカ東部で発達した道具製作の伝統)を用いた石器としては世界最古のものだ。 さらに意外だったのは、これらの石器がパラントロプス属の化石と共に発見されたことだ。パラントロプス属は、現生人類を含むヒト属とは異なる系統の初期人類である。 この発見は、私たちヒト属以外の初期人類も石器を使っていたという説を裏付けると同時に、オルドワン技術の始まりが、これまで考えられていたよりも数十

    300万年前の「意外な」石器を発見、作者はヒト属でない可能性
  • 犬のアンチエイジング、人間にも応用? 遺伝子治療の最前線

    米タフツ大学カミングス獣医学部で僧帽弁閉鎖不全症のキャバリア「エース」の心臓の検査をする獣医師たち。エースは、心臓を若返らせる可能性のある新しい遺伝子治療の試験に参加している。(PHOTOGRAPH BY BECKY HALE) 長寿研究者たちは長年、線虫やショウジョウバエ、マウスやラットを研究対象としてきたが、近年はイヌに照準を合わせることで、人間の時間を戻す方法を発見したいと考えている。 人間の肉体や認知能力が加齢とともに衰える理由を探るのに、イヌは格好のモデルになる。イヌは人間と同じ家に住み、同じ空気を吸い、しばしば同じものをべ、がん、関節炎、糖尿病、認知症、肥満、フレイル(加齢による虚弱)、僧帽弁閉鎖不全症など、高齢者がかかる多くの病気にかかるからだ。イヌの生涯は人間よりもはるかに早く進むので、科学者は人間なら何十年もかかるような生物学的変化を数年で追跡することができ、はるかに少

    犬のアンチエイジング、人間にも応用? 遺伝子治療の最前線
  • 「巨大な農業機械で効率生産」のはずが、実は減っている収穫量

    米国カンザス州の農場で小麦を収穫するコンバイン。大型化した農業機械は農業の効率を飛躍的に高めた半面、土壌の深い層を押し固めて収穫量を減少させる恐れがある。(PHOTOGRAPH BY GEORGE STEINMETZ, NATIONAL GEOGRAPHIC CREATIVE) 土壌生物学と土壌構造の専門家であるトーマス・ケラー氏とダニ・オー氏と、トラクターやコンバインなどの農業機械について話を始めると、遅かれ早かれ、恐竜の話題になってしまう。いったい、なぜだろう。2人は、農業機械の大型化が進んだことでかつて地球を踏みしめた最大の動物である恐竜とほぼ同じ重さになっており、世界で最も貴重な資源の1つである肥沃な土壌を押しつぶそうとしていると、最近の論文で説明している。 米国ネバダ州リノにある砂漠研究所とスイスのチューリッヒにあるスイス連邦工科大学を行き来しているオー氏は、「農業機械は100年

    「巨大な農業機械で効率生産」のはずが、実は減っている収穫量
  • 脳に電気刺激、うつ病や自己免疫疾患にも、進む研究

    脳の深部に電極を埋め込んで特定のニューロンを刺激し、てんかんやパーキンソン病などを治療する脳深部刺激療法は数十年前から実証されているが、電気を使った治療法はほかのさまざまな病気にも応用可能であると専門家は考えている。(SCIENCE HISTORY IMAGES, ALAMY STOCK PHOTO) 電気刺激を利用して、うつ病や自己免疫疾患などの症状を治療する研究が進んでいる。手術で脳の奥深くに電極を埋め込み、特定のニューロン(神経細胞)を電気で刺激する脳深部刺激療法(DBS)が、てんかんやパーキンソン病に有効であるということは、数十年前から実証されてきた。最近では、同じ方法でほかにも治療できる可能性のある病気が増え、さらに体内からだけでなく体外からの電気刺激でも効果が得られるかもしれないと考える科学者たちもいる。 DBSで重度のうつ病などを治療しようという試みが注目を集めたのは2010

    脳に電気刺激、うつ病や自己免疫疾患にも、進む研究
  • 生命の定義をも揺るがす代謝の「ありえない反応」、起源解明に光

    大西洋のロストシティー熱水噴出域にある高さ約30メートルのチムニー。海底の熱水噴出孔では、地球上に生命が出現する鍵となった可能性のある単純な有機分子が急速に生成している。(PHOTOGRAPH BY D. KELLEY & M. ELEND, UNIV. WASHINGTON INST. FOR EXPLORATION/URI-IAO/NOAA/THE LOST CITY SCIENCE TEAM) マルクス・ラルザー氏は、生命の起源を研究するつもりではなかった。氏は主に、細胞が養分を取り込むプロセスや、このプロセスがストレスや病気によってうまく働かなくなる仕組みを研究していた。しかし10年ほど前、英ケンブリッジ大学に在籍していた氏のチームは、まったくの偶然から衝撃的な発見をする。 ラルザー氏らは当時、「解糖系」を研究していた。解糖系とは、細胞が利用できる形やエネルギー源になるように、体内

    生命の定義をも揺るがす代謝の「ありえない反応」、起源解明に光
  • イヌ家畜化の起源は中国、初の全ゲノム比較より

    2015年9月、インドネシアのリアウ州カムパルの森林火災の後、イヌを散歩させる男性。新たな研究により、イヌは東アジア南部で最初に家畜化されたことが明らかになった。(PHOTOGRAPH BY TANTO H.,XINHUA PRESS/CORBIS) 人間社会に疲れた私たちを癒してくれるイヌは、もとをたどればオオカミだ。だが、オオカミが人類の友になった過程は長らく分かっていなかった。 イヌの起源について、有力な説は主に2つある。ひとつは人類が1万年前~3万2000年前に、おそらく中国を含む東アジア南部のどこかでオオカミの家畜化を始めたというもの。これは、母から子へと受け継がれるミトコンドリアDNAを調べる研究による。そしてもうひとつは、イヌの家畜化が始まった場所はヨーロッパか中東というものだ。こちらはほかの遺伝子マーカー(ゲノム上に分散するDNAの断片など)を調べた別の研究の結果である。(

    イヌ家畜化の起源は中国、初の全ゲノム比較より
  • 謎だった家畜ウマの起源、ついに特定

    内モンゴル自治区西ウジムチン旗にある繁殖センターの文化紹介イベントで疾走する馬の群れ (PHOTOGRAPH BY PENG YUAN/XINHUA VIA GETTY) 数千年前から、ウマは世界中の社会で重要な役割を果たしてきた。古代から耕作に力を貸し、人々を短い時間で遠くへと運び、戦場では兵士に闘いにおける優位性をもたらした。こうしたことを分かっていても、では家畜ウマはどこから来たのかというシンプルな疑問には、専門家はずっと頭を悩ませてきた。 最近、2つの大陸の100人以上の専門家の尽力で、その謎がようやく解けたようだ。家畜ウマのルーツは「ロシア南部」にあるという答えにたどりついたのだ。 アナトリア半島(小アジア)、イベリア半島、ユーラシア大陸のステップ地帯西部という3つの地域のいずれかが家畜ウマのルーツとして有望視され論議されてきたが、今回の発見で、その起源は、ユーラシアステップ地帯

    謎だった家畜ウマの起源、ついに特定
  • 人はなぜ石を積むのか、世界中にある「石積み」

    オーストリアのツィラー渓谷の山々を訪れた登山者は、ギンツリング村に近いペータースケフルの山頂付近で、石積みの群れを目にする。(PHOTOGRAPH BY ANDREAS STRAUSS, ALAMY) 米メーン州にあるアーカディア国立公園を歩いていると、巨大な花崗岩(かこうがん)に交じって、明らかに人の手によって積み重ねられた石に目が留まるだろう。石を積んだ2の支柱の上に長方形の石板が置かれ、さらにその真ん中に、先端が尖った小さな石が載っている。子どもが遊びで作ったのかと思われそうだが、きちんとした目的があり、アーカディアが誇る大切な遺産の一つして保護されている。 この石積みは「ベイツ・ケルン」と呼ばれている。「ベイツという名は、アーカディア国立公園があるマウント・デザート島の開拓者ワルドロン・ベイツにちなんでつけられました。現在使われているハイキングコースのいくつかは、1900年代にベ

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  • 中世の暗殺教団「アサシン」は実在したのか 通説を検証

    シリア、マサイフに残るニザール派の要塞跡。「アサシン派」との蔑称で呼ばれることもあるニザール・イスマイル派。中世、要塞化された城を拠点に活動していた。(PHOTOGRAPH BY AGEFOTOSTOCK, ALAMY) かつて中東には暗殺者の秘密集団があり、一帯を支配していた――これは事実とは違う伝説で、十字軍時代の年代記やビデオゲームのために脚色を加えて作り上げられたものだ。 一方で「Assassin(アサシン、暗殺者)」という言葉は、「ニザール・イスマイル」というイスラム教の一派に対して使われていた蔑称に由来するものだ。彼らはイスラム教シーア派から分派した秘密主義の集団で、短命だが政権を樹立した。このニザール派について、もう少し詳しく見ていこう。 ニザール派の起源は、西暦632年に起こったイスラム教最初の分裂にまでさかのぼる。預言者ムハンマドの後継としてだれがイマーム、すなわち指導者

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  • 私たちはなぜ「世の中は悪くなっている」と思いがちなのか

    2020年3月23日、米フロリダ州の自宅居間に座る30歳のマリエッタ・ディアスさん。新型コロナウイルスに対する陽性反応が出たため、自宅隔離となった。ある時、呼吸が困難になり、急病診療所に行ったと言う。元々不安障害を抱えているため、息切れがそのためなのか、ウイルスのためなのか、わからなかった。隔離前に接触した人から中傷を受け、ぎりぎりまで精神が追い詰められたと言う。(PHOTOGRAPH BY ZAK BENNETT, AFP VIA GETTY IMAGES) 2020年、ニュージーランド出身の26歳、ジェニー・イーストウッドさんは、世の悲惨なニュースに取りつかれていた。新型コロナのパンデミック(世界的な大流行)、警察による暴力、抗議活動、陰謀論、政治……。あらゆる出来事を詳しくチェックせずにはいられない。祖国から遠く離れた米国にいたのではなおさらだ。レディットやインスタグラムでは10分毎

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  • 米国は第3の原爆投下を計画していた

    テニアン島に到着した巨大なプルトニウム爆弾「ファットマン」。1945年8月9日に長崎へ投下された。(UNIVERSAL HISTORY ARCHIVE/GETTY IMAGES) 1945年の夏、米国が世界で最初の原子爆弾を投下したとき、戦争は永久に変わった。たった1個の爆弾が、都市とその住民を丸ごと消し去ってしまう時代が訪れたのだ。 米国は、7月にニューメキシコ州の砂漠で原子爆弾の爆発実験を行った後、8月に日の広島と長崎に原爆を投下した。だが、長崎への投下から日が降伏するまでの6日間、米国はこれで終わりとはまだ考えていなかった。次の原爆投下は間近に迫っていた。 長崎への投下で米国は原爆を使い果たしており、降伏しなければさらに原爆を落とすというのはハリー・トルーマン大統領の脅しだったとする主張が根強くある。しかし、それは決して単なる脅しではなかった。 第二次世界大戦末期、米国はできる限

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  • 自転車はスマホ並みに世界を変えた発明だった

    1890年代、自転車は、自立して進歩的で政治的発言力を求める女性、いわゆる「新しい女」の象徴になった。当時の女性月刊誌「Godey's」には、こう書かれている。「自転車の所有は、19世紀の娘にとって、独立宣言を公布するようなものだ」(PHOTOGRAPH BY UNIVERSAL HISTORY ARCHIVE, UNIVERSAL IMAGES GROUP/GETTY) 歴史は繰り返す。まったく同じではなくとも、確かに繰り返す。コロナ禍で自転車の需要が急増し、サイクリングとウォーキングに新たに焦点を当てた都市の再開発に各国が数十億ドルをかけようとしている今、19世紀後半の自転車の登場がいかに世界を変えたかは、振り返る価値があるだろう。 自転車は、極めて破壊的な技術だった。少なくとも今日のスマートフォンと同じ程度には。価格も手頃で、速くてスタイリッシュな交通手段であり、好きなときに好きな所

    自転車はスマホ並みに世界を変えた発明だった
  • 新型コロナ、クラスター対策と「8割減」の本当の意味

    COVID-19をめぐって、病原ウイルスについての知見、致命割合などの病原性、再生産数Rに基づいた感染力のこと、さらに検査や検出率にまつわる話題を追ってきた。 今回は、こういったことを踏まえた上で、中澤さんの私見も交えて見解を語ってもらおう。 中澤さんが、前に「クラスター対策班の押谷さんと少し意見が違う」と言っていたのは、感染の仕方についての議論だ。 「ランダムリンクな感染と、スケールフリーな感染が混ざっているという話を前にしました。押谷さんのこれまでの発言では、SARSの時にも見られたスケールフリーな感染、つまり、一人の感染者からたくさんの二次感染者がうまれるスーパー・スプレディング・イベント(いわば、「超ばらまきイベント」)によってクラスターができて、感染が広がっていくというふうに考えてらっしゃるようです。でも、僕はスケールフリーな感染だけでなく、ランダムリンクもあって、それらの混合分

    新型コロナ、クラスター対策と「8割減」の本当の意味
  • 米国の新型コロナ死者数、ベトナム戦争を上回る

    米国での新型コロナによる死者数がベトナム戦争での死者数を上回った。そのほか、過去の戦争での死者数と比較してみると、新型コロナの恐ろしさが見えてくる。

    米国の新型コロナ死者数、ベトナム戦争を上回る