[評者]福井 健策 (弁護士・日本大学客員教授) ■政策決定の道筋を大胆批判 些(いささ)か扇情的なタイトルは、おそらく日本の著作権法が一九九〇年代以降、急速に厳罰化・厳格化されつつあるという著者の危機感の表れだろう。確かに、海賊版対策の合言葉のもと、著作権侵害の罰則は現在「最高懲役一〇年若(も)しくは一千万円以下の罰金」と、わずか十年ほどの間に上限刑期で三倍以上、金額で十倍にも厳罰化されて来た。 ただ公平を期しておけば、評者は日本の著作権法やその運用が他の先進国に比べて厳しいとは、必ずしも思わない。例えば欧米が長期化へとひた走った「保護期間」では、日本はカナダと共に現状維持派の最後の砦(とりで)となりつつある。「非営利の上演・演奏・上映」を自由化する規定など、文化や教育の現場で大きな役割を果たしている条文も少なくない。著作権侵害の場合の賠償金の相場など、アメリカは日本のはるか上を行くだろ