思い出の詰まった小平グラウンドは、三田啓貴を少しも変わらず温かく迎え入れてくれた。 この夏、3年半ぶりに“青赤”に袖を通した。今季悲願のJ1制覇に向けて、優勝争いを演じる古巣がまぶしく見えたからだ。 そして、生々しい思いがよぎった。 「東京には優勝してほしいとずっと思っていた。ただ、正直に言うと、心のどこかで自分のいない東京には優勝してほしくないと思っていたかもしれない。だって、小さいころから応援してきた東京を優勝させたかった。それが、ずっとオレの目標だったから」 その思いが育まれたルーツには、彼に愛情を注いだ指導者たちがいた。三田は再び帰ってきた、恩師たちとの約束を果たすために――。 「どんな選手でしたか?」 関わった人たちにそう聞くと、必ず同じ答えが返ってくる。 「とにかくサッカーが好きだった」 それこそ、彼のサッカー人生を形容するのにピッタリな言葉だ。 初めてのコーチは、ヨハン・クラ