バザールを抜けた客たちは、ウェスタンランドで西部開拓時代を歩いたと思ったら、ミクロワールドで近未来SFの世界に飛び込み、シンデレラ城では豪華絢爛な中世ヨーロッパの雰囲気に飲み込まれる。 歩みを進めるごとに、まったく別の背景、ストーリー、歴史を持った舞台が、縦横無尽に目の前に現れてくる。熱帯性気候のジャングルとカリブ海の海賊すら、ここでは「アドベンチャー」を共通項として同じエリアに強引に割り当てられるⅰ) 。 わたしたちは、遍在するミッキーマウスのキャラクターを案内役として、このごちゃ混ぜの空間を「ディズニーランド」という一つの世界として認識し、独特の浮遊感に似た夢心地を楽しんでいる。よく知られるように、その夢心地を邪魔するような外(舞浜)の町並みは、内部からは決して見えることのない視線誘導が周到に設計されている。 ディズニーランドのこの現実からの乖離した雑多な要素の並列性は、現代消費社会の