利用者数の減少、後継者不足などで毎年20~30軒もが廃業している東京の公衆浴場。しかし、ここ数年、右肩下がりからの脱却の気配が見えてきた。デザイン性の高い設計によるリニューアル、後継者世代による新たな取り組みが進み、平均客数も上向きつつある。そんな“東京銭湯”の今を、今井健太郎建築設計事務所代表の今井健太郎氏に聞いた。今井氏は東京の銭湯を中心に20年近く銭湯のデザイン設計をリードしてきた人物だ。 店舗数が下がり続けている東京の銭湯に変化の兆しが見えてきていますね。 そうですね。戦後のピーク時に2600軒以上あった東京の公衆浴場(銭湯)数は、その後、右肩下がりで減り続け、現在ではその4分の1の500軒あまりにまで減っています。一時は毎週1軒ずつ減るようなペースでしたが、昨年はその減り方がゆるやかになりました。また、延べ利用者総数としても下げ止まったとは言いませんが、ほぼ横ばいの状態になってき