SNSのタイムラインを、交わらないままの言葉が流れていく。インターネットによって「世界の人々がつながり合える」という期待はかすみ、人間はそれぞれの「泡」の中に閉じこもったまま、「私」の情報は統治や商売の種と化しているかにみえる。情報技術と人間の関係を研究してきたドミニク・チェンさんに聞いた。これは、情報技術の発達の結果なのですか。 ――コロナ禍で人に会う機会が減り、ネットに1人で向きあう時間が増えました。コミュニケーションの研究者として、この1年あまり、なにを感じてきましたか。 「大学の現場では試行錯誤が続くなか、講義を映像でいつでも見返せるようになるなど、合理的な変化も起きました。オンラインでも、学生たちと一緒に学んだり、現状に対して批評的に考えたりすることはできると感じています」 「ただ、会って話すときのコミュニケーションの豊かさは、簡単には置き換えられません。人は本筋とは関係ないノイ