江戸時代、相撲の決まり手は48手だった。投げ手が12、掛け手が12、反り手12、ひねり手12、合計48手。「足取り」は掛け手の一つ。相手の懐に潜り込み、相手の片足を両腕で抱え、体重をかけてあおむけに倒す。 「足が取れたら、相手の太ももを枕に寝ろ!」という“心得”がある。1954年3月場所初日、この技を得意とした若葉山が大関・栃錦を相手に、心得通りに寝た。“決まり手”は「波まくら」。粋な決まり手もあった。 ところが、無鉄砲?の横綱・朝青龍が登場してから「足取り」が変わった。平幕時代の朝青龍は立ち合いで、いきなり足を取り、そのまま土俵外に押し出してしまう。寝ない。 実は、足を取って土俵の外に押し出す技はこの時までほとんどなかった。仕方なく、この決まり手も「足取り」になった。 言葉尻や、言い間違いを取り上げて、相手を責めることを「揚げ足を取る」と言う。これも相撲の技から来た言葉。「揚げ足」を取っ