文・murashit 新聞をにぎわせる恐怖が、確率を使って繰り返し語られる。その可能性があるのは、メルトダウン、癌、強盗、地震、核の冬、エイズ、地球温暖化、その他である。恐怖の対象は(たぶん)これらではなくて、実は確率そのものなのである。 イアン・ハッキング『偶然を飼いならす』わたしの目の前のディスプレイには、たしかに「90%」と表示されている。命中率だ、良さそうやね。じゃあ攻撃っと。……外れる。そういうこともある。運が悪かった。もういっぺん試してみよう。攻撃、と。……外れる。まあね、そういうこともある。えらく運が悪かっただけだ。もういっぺん試してみよう。攻撃……と。 外れる。なんやこのクソゲーは! もちろん冷静なあなたなら、1,000分の1程度のできごとなんてふつうに起こりうると知っているはずです。そういうこともある。だから「なんやこのクソゲーは!」と叫ぶわたしのことを、あざわらうのでし

