第一生命の営業トップで年収1億円超、銀行頭取がひれ伏し、地元の名士がこぞって加入……89歳にしてこれだけの金額を集め、いったいなにがしたかったのか。 刑事告発された老女の人生を丹念に振り返ると、そこには、地元財界を踏み台に、一代で成り上がった人間の複雑な人生があった。 拍手万雷のなかで 2016年2月25日、山口県周南市内にある大型催事場に、300人を超える招待客が詰めかけていた。 〈第一生命特別調査役庄司政子さん勤続50周年記念祝賀会〉(名前は仮名) そう題された催しの発起人には、山口銀行の頭取や山口放送の会長、元市長、地域有数の神社の名誉宮司など、地元の名士たちが名を連ねる。 紫の派手なスーツを身にまとった老女は、発起人たちが代わる代わる壇上に立ち、自分を褒めそやす様子を満足気に眺めたすえ、鳴りやまぬ拍手のなかで挨拶に立った。 「素晴らしい人に、素晴らしい人を紹介してもらえたからこそ、