社会福祉法人「南高愛隣会」(長崎県雲仙市)の取り組みには、法務・検察当局も注目する。長崎地検の幹部がこう打ち明けた。 「刑罰が理解できるのか、刑務所に入れて更生にどう役に立つのか。疑問を持たざるを得ない容疑者や被告はいる」 「累犯障害者」を司法手続きのレールに乗せるだけで、再犯は防げるのか。刑務所以外での処遇を模索する法務・検察当局の意識もまた、長崎から芽生えた。 地検が重視するのは、福祉施設で刑務所に代わる適切な矯正教育が行われているかどうかという点だ。南高愛隣会の施設見学や担当者との協議を繰り返し、知的障害のある容疑者や被告を起訴猶予としたり、執行猶予付きの判決を求刑したりする体制を、平成24年までに整えたという。 軽微な犯罪で、被害が回復され、被害者が処罰を望んでいない、という条件は付ける。弁護人には更生に向けた支援計画書の提出を求め、本人にも計画を守ることを書面で確約させている。地