今回のテーマは、「トランプを悩ます『リンカーン・プロジェクト』」です。新型コロナウイルス感染が続く中、インターネット上で急速に広まっている政治広告があります。リンカーン・プロジェクトと呼ばれる反トランプの共和党系スーパーPAC(特別政治行動委員会)が制作した「米国の悲嘆」というタイトルの広告です。 この広告の注目度は抜群です。そこで本稿では、同プロジェクトが米大統領選挙に与える影響について述べます。 「リンカーン・プロジェクト」のミッション(使命) リンカーン・プロジェクトは2019年12月に発足し、20年第1四半期(1~3月)に250万ドル(約2億6900万円)の献金を得ました。民主党系のスーパーPAC「プライオリティーズUSAアクション」と比較すると小規模ですが、注目度はかなり高いです。というのは、同プロジェクトはミッションに、「選挙でトランプ大統領とトランプ主義を破ること」と明記した