文:田中春香、写真:篠塚ようこ 「結婚=幸せ」だと信じて疑わない、東京の上流家庭に生まれ育った「箱入り娘」の華子(門脇麦)は、理想の人と結婚するために奔走し、代々政治家が輩出する良家の子息である幸一郎(高良健吾)と出会う。一方、猛勉強して入った有名大学を家庭の事情で中退した「上京組」の美紀(水原希子)は東京での仕事に魅力を感じているわけではないが、田舎にも帰れずにいる。異なる境遇を生きるふたりの女性が人生を交差させ、思いもよらない世界が拓けていく。 「お嬢様」で終わらないように ――オファーを受けるにあたり、原作小説の『あのこは貴族』は読みましたか? はい、読みました。同じく山内マリコさん原作の映画「ここは退屈迎えに来て」にも出演していてそちらも読んでいるんですけど、山内さんの作品は、とにかく地の文が魅力的だと思います。「ちょっとドキッとする山内さんらしい言葉」が散りばめられていて、その言