日本でも揺らぐ「報道の自由」 近年、世界中でメディアへの脅威が高まっている。 パレスチナ自治区ガザやロシア、中国などでは記者が不当に拘束され、暴力を受ける事例が相次ぐ。権力の不正を暴こうとする記者をインターネット上で組織的に中傷する問題も起きている。 東京新聞と中日新聞の海外特派員らによって書かれた『報道弾圧 言論の自由に命を賭けた記者たち』(ちくま新書)は、政治思想・派閥による分断や、ポピュリスト政治家の台頭、SNSやデジタルプラットフォームの普及といったメディアを巡る諸問題を切り口に、各国の報道機関が直面する危機と、それに果敢に立ち向かおうとするジャーナリストたちの姿に迫っている。 ではなぜ、いまメディアに逆風が吹いているのか。本書において、豪メルボルン大学でジャーナリズムを研究するデニス・ムラー上級研究員(取材当時)は、メディアを統制しようとする動きが世界中で加速する背景には、200