Nouriel Roubini(ヌリエル・ルービニ) ニューヨーク大学スターン経営大学院教授 1959年イスタンブール生まれ。経済学博士(ハーバード大学)。リーマンショックを予言したことで知られる。著書に『大いなる不安定』(ダイヤモンド社)。 Photo:REUTER/AFLO 2008~09年の景気後退時に先進国・新興国が実施した財政刺激策、金融緩和と金融システムへの支援措置により2010年は大不況から大恐慌へと陥ることは防げた。民間需要の全要素が崩壊するなかで、政府支出の増大と減税は、グローバル経済のフリーフォールを防ぎ、景気回復の足場を生み出した。 残念ながら財政刺激策による支出と、関連する金融システムの救済、景気後退による歳入への悪影響が複合した結果、先進国における財政赤字は対GDP比10%台となった。IMF等によれば先進国の公的債務の対GDP比は危機前の70%に比べ、15年までに