「俺たちの」構文が嫌いだ。 対象物に勝手に不特定多数が群がり、程度の差はあれ、自分の外側にある人/モノに拠り所のようなものを求めている姿は、あまり見られたものではないと思う。 バンド界隈なんかだとこれが顕著だ。 インディーズでそこそこ人気が出てメジャーデビュー。本来ならば喜ばしいサクセスストーリーを「彼らは変わってしまった」「もう俺たちの知っている○○じゃない」と、誰が言い出すでもなく、勝手に落胆する層が少なからず存在する。 それと同じ現象が『君の名は。』の公開にあたり、新海誠への感情として、自分の中に湧き上がってしまう不安をぼんやり抱えていた。 本当に傲慢な感情だと思うけど、やはりメジャーデビュー現象というものは人を不安にさせるものらしい。 僕が初めて『秒速5センチメートル』を視聴してから8年。 過去作品やインタビュー本をあさり、ポストモダン論に手を出しセカイ系という概念で学部の卒論を書