「介護離職ゼロ」は保険外で解決? 「仕事との両立に必要」だが負担大きく 「重度化シフトで広がる家族介護」 団塊の世代が75歳以上に達し、介護人材が不足する「2025年問題」が迫る中、誰もが働きながら家族の介護をする「ビジネスケアラー」になる可能性が高まっている。既に、年10万人近くが介護を理由に仕事を辞めているという。政府は「介護離職ゼロ」を掲げつつ、要介護度が低い人を介護保険から外すという矛盾した政策を進め、民間の保険外サービス活用もうたう。それで解決できるのか。(中沢佳子)
高所得65歳以上の負担増 介護保険料で議論―厚労省 2022年10月31日17時11分 介護保険制度の給付と負担の見直しについて議論する社会保障審議会の部会=31日午前、東京都港区 厚生労働省は31日、介護保険制度の給付と負担の見直しを巡る論点をまとめ、同日の社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の部会に示した。所得が高い65歳以上の人が支払う保険料を増額するほか、介護サービス利用料を2~3割自己負担する人を増やすことなどを列挙。同省は今後の議論を踏まえ、年内に具体案をまとめる。 介護給付、初の10兆円超え 20年度の事業報告―厚労省 急速な少子高齢化で、介護の費用や保険料は増す一方だ。介護保険制度は原則3年に1度見直しており、団塊の世代が全員75歳以上の後期高齢者となる2025年を控えた24年度改正に向け、制度を維持するための給付と負担の在り方が焦点となっている。 65歳以上の保険料は、市町
『阿南ペーパー』 新型コロナの新規感染者数が落ち着き始めていたなか、岸田文雄首相は全数把握の見直しや水際対策の緩和など経済活動の再開に舵を切った。この冬に第8波の可能性を指摘する意見もあるが、岸田首相がどういった考えで方針を決めているのか。取材を進めると、政府分科会とは別に、コロナ対策に影響を与えているある人物が浮かび上がってきた。 【写真】尾身会長ではない。コロナ対策に影響を与えているある人物はこの人 * * * こうした行動緩和の理論的な支柱になっているのが「阿南ペーパー」と言われる提言書だ。まとめたのは、神奈川県医療危機対策統括官で、藤沢市民病院副院長の阿南英明氏。政府分科会の関係者によると、分科会のメンバーが相談する人物という。 提言の基本構想について、分科会メンバーの一人はこう説明する。 「2類・5類問題と結びつけられてしまうため、提言の中でこの表現は使われませんでしたが、阿
最後のお別れができなかったのが一番悔しいです。 素手で家内の顔をなでたかったです。 ありがとう、ありがとう、と言ってね。 あんたと一緒だったから、おれも幸せな人生やったと、言ってやりたかった。それなのに…。 (社会部記者 市毛裕史/坪井宏彰)
服の着方がわからない、ティッシュを食べる… 日本神経学会によると、「認知症とは、一度正常に発達した認知機能が後天的な脳の障害によって持続的に低下し、日常生活や社会生活に支障をきたすようになった状態で、それが、意識障害のないときに見られる(一時的ではなく継続している)」と定義されています。 要は、「後天的な脳の障害によって、いままでできていたことの一部ができなくなったり、わかっていたことの一部がわからなくなり、著しい生活のしづらさが生じている状態」です。 具体的な症状としては記憶障害が有名ですが、「料理が作れない」「服の着方がわからない」といった遂行機能(実行機能)障害や、「人の顔を識別できない」とか場所や時間の感覚がわからなくなる見当識障害という症状も段階的に表れます。また、「お花やティッシュを食べる」とか「被害的な思い込み」などといった行動・心理症状が見られる場合もあります。 ひどい酔っ
働くことが当たり前になった日本の高齢者。その一方、シニア労働者のトラブルも増加しており、なかには、命に関わるものも。働くうえで身を守る方法を専門家に聞いた。 高齢化が進む日本社会。先月、総務省は、全国民の29.1%が65歳以上の高齢者で、そのうち909万人が働いていると発表した。特に65~69歳では、50.3%がなんらかの仕事に就いており、2人に1人が働くかたちとなっている。 「残念ながら、働く高齢者が増えるにつれてシニア労働者のトラブルも増加しているんです」 そう語るのは、日本初の働く高齢者向けの電話相談会「高齢者の労働110番」の実行委員で、労災問題に詳しい尾林芳匡弁護士だ。 多く寄せられるトラブルとしては、残業代や交通費が支払われない、夜勤の長時間勤務をやめたい、社会保険に入れると言われたのに入れない、などがあるという。 さらに、今特に問題視されているのが“高齢者の労災”だ。 「“け
年金“65歳まで納付”に?5年延長で負担100万円増 「信じられない」「諦めの境地」と不安の声…老後の暮らしどう守る 老後の生活を支える年金。厚生労働省は10月25日、社会保障審議会で年金制度改革の議論を開始した。今回検討が進められているのが、保険料を納める期間の延長だ。 この記事の画像(7枚) 今、まさに保険料を支払っている現役世代からは、心配する声があがっている。 ファッション関係(30代): もらえないかなって、ぶっちゃけ思っているところもあって。諦めの境地。 デザイナー(30代): 受給額はどんどん下がってますよね、今。正直、個人年金とかも入ってて、なんとか将来に備えようかなとか思っているので…。 看護師(20代): 払いたくはないなって感じです。 マーケティング関連(40代): えー!信じられない!払うだけ損…損っていうか。物価も上がっているし、また取られるのって感じですね。 少
金融庁の金融審議会「市場ワーキング・グループ」の報告書では、「老後30年間で約2,000万円が不足する」と受け取れる試算が示されています。この「老後2,000万円問題」に対応するためには、若いうちから生涯のライフ・マネーフランを考え、老後にどのように資産を取り崩すかシミュレーションするなど、早期に対策を始めることが重要だといえます。 とはいえ、「資産形成」といわれても、具体的に何をすれば良いのか分からないという方も多いのではないでしょうか。代表的な資産形成の手段としては、働けるうちはなるべく長く働き、コツコツと節約・貯蓄をしておくことが挙げられます。さらに、長期的に資産を運用する「積立投資」への挑戦も検討したいところです。 本記事では、老後2,000万円問題を踏まえて、若いうちから始めたい長期的な資産形成の方法について解説します。 老後2,000万円問題とは? 老後2,000万円問題とは、
「チエさん。ここは『ぬくもりの里』の談話室やで、わかる?」 「……」 介護スタッフの細井恵美子さん(91)が声をかけるが、車いすに座ってうつむいた状態のチエさん(80)は、無言のまま。 それでも細井さんは、根気よく語りかけを続ける。 「今日はあいにくの雨やなぁ、うっとうしいな」 やわらかな京都弁を口にしながら、細井さんが自らの左手をチエさんの背中に当てたとき、ようやく彼女の首が「うん」とうなずくように、小さく動いた。 「お返事、ありがとう。元気そうやね。じゃ、お薬飲みましょか」 服薬の介助を終えると、次には隣で計算ドリルをやっている女性の元へ。 「ヤスコさん。3×2はいくつですか……違う違う、足すのやない、かけるんやで」 その後も、血圧を測ったり、入浴を終えた利用者の髪の毛をドライヤーで乾かしたりと、5人の高齢女性を相手に、一瞬たりとも休むヒマはない働きぶりだ。 10月初旬の金曜日の午前。
※写真はイメージです(写真/Getty Images) 親の介護をする生活になった友人や知り合いから、「突然介護になって、どうしていいやら」という話を聞いたことはありませんか。病院の手配、介護保険の手続き、介護のルーティンなど、多くの問題が一気にのしかかってくるといいます。聞いているほうも納得し、「突然そんな事態になって、たいへんですね」と同情します。しかし介護アドバイザーの高口光子氏は、「その言葉、おかしくないですか」と疑問を投げかけます。親が老いていくのは必然で、それまでに気づくタイミングはあったはず。子どもの側の準備不足が「突然」と感じさせるのだといいます。 【教えてくれたのは】介護アドバイザーの高口光子氏 * * * ■親は急に70歳から80歳になったわけではない 介護の現場では、親の介護をしている家族から「急に介護になってたいへんなんです」という訴えをよく聞きます。私はそのた
▽「外に出すと迷惑」 発覚は昨年9月6日。「息子が亡くなった」という父親からの通報で、閑静な住宅街の一軒家に駆け付けた神奈川県警麻生署員は、異様な光景を目にした。 玄関先に敷かれたブルーシートには、両手足に手錠を掛けられ、骨と皮ばかりになっている成人男性が横たわる。シートは階段まで続き、あたりは汚物臭が漂っていた。 警察の調べに対し、父親は「外に出すと他の人に迷惑を掛けると思った」「病院に連れて行こうとすると暴れた」と話した。 神奈川県警によると、長男は17年前、20歳ごろに大学を中退。その後、自宅にひきこもるようになった。大声を上げたり、家族に暴力を振るったりすることもあった。家族が麻生区役所に電話で相談したところ、区の担当者は「統合失調症の疑いがある」と指摘した。 しかし、その後に医療機関を受診した形跡はない。2017年頃からは服を着ない、トイレで排せつできないなど、基本的な生活すらで
介護保険制度の抜本的改善を求め、県社会保障推進協議会(県社保協)は関連団体とともに「介護保険制度の改善を求める沖縄県民の会」を11月にも発足する予定だ。全国組織と連動し、計50万筆の署名を集めて国に提出するという。 急速な高齢化や財源不足で、国は制度の持続を目的に介護保険サービスの自己負担割合の増加と給付削減を進めている。創設から22年目となる同制度はこれまでも改正されてきたが、介護関係者は「今回の改正内容は影響が大きすぎる」と口をそろえる。県社保協の高崎大史事務局長は「改正されれば高齢者を見捨てる自己責任の社会になりかねない。健康で文化的な最低限度の生活を保障する憲法25条が絵に描いた餅になる」と指摘する。 県内の議会も反応し、既に15議会が制度の改善を求める意見書を可決しているという。ただ、介護制度の議論を巡っては年代によって当事者意識に濃淡があり、高崎事務局長は「誰のための制度かを見
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