第1回 皆様こんにちは。今月の翻訳者エッセイを担当させていただく白須清美と申します。師走の慌ただしい時期ですが、どうぞお付き合いのほどよろしくお願いします。 依頼のメールによりますと「翻訳や読書に関係したことであれば、内容、分量はまったく自由」とのことでしたので、今回は私が翻訳家になるに当たり影響を受けた本を、3回にわたってご紹介したいと思います。 と、いうのは後付けで、実は翻訳家を志したのは社会人になってからのこと、学生時代もミステリ系のサークルに籍を置いていたものの、海外ミステリを原書でバリバリ読んでいる先輩方の足元にも及ばない状況でした。ですので「翻訳家になるに当たり」の部分は括弧でくくってお読みいただければと思います。 さて、最初にご紹介するのはこの本です。 『怪談』(1)〜(3) 少年少女講談社文庫 いきなり絶版本で恐縮ですが、この本のことはいつか熱く語ってみたかったので挙げさせ