大王製紙の井川意高(もとたか)前会長が子会社から100億円を超す巨額資金を不正に借りていた問題で東京地検に逮捕された。 全容解明と厳正な処罰は当然だが、創業家3代目によるグループ企業の私物化に何らの疑問も持たなかった同社の「ムラ社会」的な体質は、日本の企業統治のあり方に重い課題を突きつけたといえる。 前会長の資金流用を見逃した取締役会、監査役はむろん、決算を監督する監査法人も責任は免れない。オリンパスの不正な損失隠しも国際的問題となっている。産業界をあげて実効性ある企業統治の確立に取り組まねばならない。 前会長は子会社から無担保で資金を借り、「すべてカジノの資金に充てた」という。金額もさることながら、驚くのは、自分の財布感覚でグループ企業の資金を流用していた公私混同ぶりだ。 しかも、それが長年にわたって続き、前会長の私的流用に歯止めをかけられなかった。なぜ、こんなことが起きたのか。 社内の