1944年埼玉県生まれ。68年東京大学法学部卒業。71年弁護士登録。01年に第二東京弁護士会会長、日弁連副会長、11年東京証券取引所社外取締役(現任)。コンプライアンスなどの権威で、一票の格差是正運動にも参加。著書に『想定外シナリオと危機管理 東電会見の失敗と教訓』など。 写真/大槻純一 ――企業弁護士の第一人者が、福島原発事故で強制避難させられた住民や甚大な被害を受けた農家などの代理人になって、東京電力に損害賠償を求める先頭に立ちました。 久保利 正直、集団訴訟の規模は予測がつきません。いま僕がJA(農協)の代理人として請求しているのは総額600億円ですが、九牛の一毛です。4月段階で締めたのもあり、土壌汚染やコメは全然入っていない。現在は11県。セシウム汚染の稲ワラにしても三重や島根などまで波及している。8月に立ちあがった農協もあり、あと7、8県は加わって、すぐ数千億円に達する見込みです