1990年に足利市で女児が殺害された足利事件で、菅家利和(すがやとしかず)さん(72)が再審開始決定を受けてから23日で10年を迎えた。再審を経て2010年に無罪判決を勝ち取った菅家さんは現在、冤罪(えんざい)を訴える人の支援のため全国を飛び回る。全国では足利事件以降、再審無罪が相次ぐ一方、再審開始までこぎ着けられる事件はまれなのが実情だ。冤罪による消えない記憶を抱えながら、菅家さんは「司法制度をさらに変えなくてはならない」と主張している。 「袴田巌(はかまだいわお)さんは80代ですよ。早く再審をやらなきゃ」。20日、足利市内で下野新聞社の取材に応じた菅家さんは語気を強めた。 袴田さんは、死刑が確定した強盗殺人事件(1966年、静岡県)で冤罪を訴えている。2014年に静岡地裁が再審開始を決定したが、検察側が即時抗告、東京高裁が2018年に地裁の決定を取り消した。 袴田さんを支援している菅家