コロムビア在籍時の後期のナイアガラ作品は、多羅尾伴内楽團の3枚のアルバムをはじめ、「ノヴェルティ・タイプ」の曲がほとんどだった。それだけに、3年間のレーベル活動休止期間を経て81年にリリースされた『A LONG VACATION』の衝撃は大きかった。『A LONG VACATION』がリリースされた当時、僕は大学生で、自分や周りの友人たちはLPからカセットテープに落としてウォークマンでこのアルバムを聴いていた。大滝詠一のアルバムの例に漏れず、『A LONG VACATION』もマニアックな引用や意匠が随所に取り入れられたアルバムだ。しかし、長い間ウェットな感覚を表出させてこなかった大滝詠一が『大瀧詠一』に収録されている《乱れ髪》に匹敵するほど叙情的な《雨のウェンズディ》を衒いなく(実際はあっただろうが)歌っていたのだから、驚かざるを得なかった。本当に震えた。後にプロのミュージシャンになった
僕自身は、「ナイアガラー」ではない。最初のソロ・アルバム『大瀧詠一』(72年)はリアルタイムで聴いたわけではなく、75年6月9日にラジオ関東で始まった『ゴー!ゴー!ナイアガラ』の存在を知ったのも、放送開始からかなり経ってからのこと。しかも『ゴー!ゴー!ナイアガラ』がラジオ関東で放送されていた時代は、この番組がネットされていなかった札幌市の実家に住んでいたこともあって、ほんの数回しか聴いたことがない。僕の同世代の「ナイアガラー」のほとんどすべては、70年代後半に首都圏で暮らしていた人たちだ。ただし、『ゴー!ゴー!ナイアガラ』には縁が薄かったものの、大滝詠一がオープニング・テーマ曲《こずえの深夜営業のテーマ》(《土曜の夜の恋人たち》の別ヴァージョン)を提供したTBSラジオの番組『馬場こずえの深夜営業』は高校時代に毎週ほぼ欠かさず聞いていた(最終回は、78年4月2日)。大滝詠一がこの番組にゲスト
図書館が消えた。ポップスだけでなく音楽全般、芸能、日本映画、お笑い、野球、相撲、オーディオ&ヴィジュアル機器などの、まさしく知識の宝庫であり、世界に類を見ない図書館が、昨年の末に忽然と消えた。単に一人のミュージシャンがこの世を去ったというのではなく、本当に価値ある稀少な図書館のような存在が消えてしまったという思いを抱く。この図書館の名称は、「大瀧詠一」。「大瀧詠一」と共に大滝詠一、多羅尾伴内、笛吹銅次、厚家羅漢………これらすべてが消えてしまった。ただし、莫大なアーカイヴを残して。 音楽活動だけに限っても、大滝詠一は日本語のロックを切り開いたミュージシャン(シンガー・ソングライター)の一人であるばかりか、レーベルの主宰者であり、プロデューサーであり、エンジニアであり、アレンジャーであり、ソングライターでもあった。日本では数少ない伝説的かつ現役のラジオDJでもあったし、音楽評論や芸能史研究の分
NHK-FMで3月21日に特集番組「今日は一日“大滝詠一”三昧」が放送されることがあきらかとなった。 これは、さまざまな音楽のなかからひとつのジャンルのみにスポットを当てて特集する人気番組「今日は一日○○三昧」の最新シリーズとして放送されるもの。日本語ロックのパイオニアとして知られる伝説のバンド=はっぴえんどのメンバーとして活躍し、解散後は自身のレーベルであるナイアガラを設立。自身のソロ作品はもちろんのこと、山下達郎や大貫妙子らが在籍したシュガー・ベイブの名盤などを世に送り出し、他のアーティストへの楽曲提供やプロデュースほか、幅広い音楽活動を行ってきた大滝詠一の偉業を、11時間にわたって徹底探求していくとのこと。番組には大滝本人も出演する予定で、ここでしか聞けない裏話や秘蔵音源が飛び出す可能性もありそうだ。 オンエア当日は、70年代のナイアガラ作品をまとめたボックス・セット『NIAGARA
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く