浮き彫りになったトランプの下品さ 米大統領選の第1回テレビ討論会が大荒れになった。双方が相手を罵倒し合って、政策論議は深まらなかった。米マスコミは「敗北したのは米国民」(CNN)などと嘆いてみせたが、本当にそうか。私はむしろ、候補者の人物が見事に浮き彫りになった、と思う。 今回の討論会は、現職のドナルド・トランプ大統領と民主党のジョー・バイデン候補による初の直接対決として世界の注目を集めた。蓋を開けてみると、バイデン氏が「あなたは米国史上、最悪の大統領」と罵ったかと思えば、トランプ氏は「あなたは大学をほぼ最下位で卒業した。賢さのかけらもない」と応戦し、中傷合戦に終始した。 この展開は予想外とは言えない。トランプ氏は2016年の大統領選でも、相手の民主党、ヒラリー・クリントン候補の発言中に「なんて嫌な女だ」と罵っていた。大統領就任以降も、トランプ氏の行儀悪さを知らぬ者はいない。 事前の世論調