生理や更年期や痴呆や性的マイノリティや日本に住む外国人のことなど、ドラマで描くとさまざまな意見が出るため、自主規制して率先して描いてはこなかったこと(吉田曰く「透明化された」)を全部入れるという、『虎に翼』とは、まるで曼荼羅を描くような執念で描いた労作である。 それら1つひとつの掘り下げは、清永聡の取材ものにはかなわず、どうしても浅くなり、そこを物足りなく思う視聴者もいた。けれど、まだ30代。この体験を経て、見識を広め、書くことをやめずに邁進すれば、40代、50代と、どんなものを描くのか期待はある。 少なくとも吉田恵里香は、やりたいことがあっても型にはめられ諦めてしまっていた人たちの希望になった。やりたい意欲のある若い世代にチャンスを与えた、まさに虎に翼を与えたNHKの思いきりのよさがこれからいい方向に作用してほしいものである。 9月25日放送の『クローズアップ現代』でも、「『虎に翼』が描