「自助」を中心にした家族による支え合いを求めるのが安倍晋三政権の社会保障政策の柱である。生活保護基準の切り下げはその象徴と言える。来年4月までに3段階で引き下げられるが、平均6.5%、1世帯当たり最大10%という過去にない大幅減だ。 受給者からの批判は強い。だが、戦後の社会福祉の土台であり続けた憲法25条の生存権の概念を変更しようという流れが背景にあることにも目を向けるべきだ。少子高齢化が進み、家族が小さくなって独居が増えていく時代に求められる国家の社会保障政策について考えたい。 ◇飽食時代の餓死 生活保護の受給者は過去最多の210万人を超え、予算も3兆円以上だ。とかく不正受給が批判されるが、生活保護の総予算に占める不正受給額は1%にも満たない。むしろ、諸外国と比べて受給者数(人口比)が少ないのが日本の特徴で、困窮者の7〜8割が受給できていないとも言われる。最近相次ぐ「孤立死」は飽食時代に