「岸田さんのうしろに、亡くなったおじいさんがうろうろしてらっしゃいます。いえ、未練とかじゃなくて、特になにか言いたいことがあるわけではないけど、楽しくてついてきちゃってるみたいで」 いろいろ視える人から、会うやいなや、言われた。 霊を信じるかどうかを語りだすとえらいことになるので、ここでは置いておくとして、単純にじいちゃんがおもしろすぎるので、信じることにした。 こういうのは、自分がどう考えれば楽しくなるか、もとい救われるかが、なにより重要ではないか。 最後にじいちゃんの顔を見たのは、2月24日。 寝落ちするようにスッと亡くなる、6日前だった。 「じいちゃん、なんか、やりたいことないか?」 「こう、し、えん」 脳挫傷の後遺症で意識がはっきりしてなく、酸素マスクでふがふがしているので、ほとんどなにを言っているかわからないじいちゃんから、わたしが唯一聞き取れた言葉であった。 甲子園。 じいちゃ