【この記事はまだ書きかえることがあります。どこをいつ書きかえたかを必ずしも明示しません。】 - 1 - わたしは毎年、大学の授業で、気象(や海洋)での対流について話すとき、「流体中に不均一ができ、軽い部分が上昇し、重い部分が下降する」と言いながら、「軽い、重い」ということばの意味に注意が必要だと思う。 そこで、「綿1 kg [キログラム]と鉄1 kgはどちらが重い?」という話をどこかで読んだのを思い出したのだが、どこで読んだか思い出せないまま、何年かが過ぎた。あるとき、これとは別の力学の話題の説明のしかたを求めて、『力学物語』(坪井, 1970)という本をめくったら、その「第6話」としてのっていた。ただし、わたしが覚えていたのは、まくらとして使われていたなぞなぞのほうで、坪井忠二先生がその章で述べたかったのはもう少しややこしい話だった。 この本の章を読みかえすと、学術用語と日常用語の関係に