3月14日、日銀の次期正副総裁は衆参両院で承認される見通しとなった。写真11日、国会での黒田氏(2013年 ロイター/Issei Kato) [東京 14日 ロイター] 日銀の次期正副総裁は14、15日の衆参両院で承認される見通しとなったが、カギを握る野党・民主党は総裁候補の黒田東彦氏に「仮免許」を与えたに過ぎない。 市場では、就任直後に臨時の金融政策決定会合を開くとの観測もあるなか、アベノミクスのリフレ的側面に危うさを感じる民主党が、そうした動きからリフレ色が強いと判断すれば二度目の採決で否決する可能性も出てくる。新総裁は慎重なスタートをすべきではないかとの見方もある。 白川方明総裁が任期前の19日に退任するため、正式に任期満了を迎える4月9日以降の5年間について、黒田氏は改めて国会の承認を得る必要がある。民主党は12日の「次の内閣」会合で、黒田総裁候補、中曽宏副総裁候補に同意する方針を
カブドットコム証券の山田勉氏の記事*1経由で知ったのですが、首相官邸のサイトで賃上げした企業を公開しているようです。 「政府と企業一体となってデフレ脱却へ」~企業の報酬引き上げの動き(首相官邸) いやあ、こんなことやられたら左派も真っ青じゃない?民主党政権下ではできなかった(やらなかった?)ことを安倍政権は次々やっている。本当にすごいな。半年前までは想像できなかった動きだ。 追記 以前私は「こういった賃上げ要請って単なるパフォーマンスなんじゃないの?」といった内容のエントリーを書きましたが、ここまで動きがあると安倍首相の実行力に感服するほかありません。いやあ、すごい。 *1:この記事はカブドットコム証券の口座を開いてないと見れないのでリンクは張りません。
「デフレから脱却し、円高を是正し、日本経済を成長させていく」「働く人の所得の増大に、この動きをつなげていくことが出来るかどうか。」「労働市場の改革等、様々な規制改革に政府も真摯に取り組む」「経済界におかれましても、業績が改善している企業においては、報酬の引き上げを行うなどの取り組みを是非、ご検討いただきたい。」 (2月12日「デフレ脱却に向けた経済界との意見交換会」の総理挨拶から) 安倍総理が経済界に労働者の賃金引上げを要請
ここ10日くらいで何冊か話題の経済書を読みました。キワモノっぽい本を含めれば以下で取り上げる4冊です。以前は経済書を読むのは官庁エコノミストの業務の一環であって、このブログで取り上げることはしなかったんですが、今では経済書も小説も、ほとんどを図書館で借りて読んでいますので我が家の本棚には残りません。せめて読んだことを忘れないように、このブログに簡単に論評して記録を残しておきたいと考えています。論評の順は読んだ順、すなわち、図書館で借りた順ですので念のため。 まず、翁邦雄『金融政策のフロンティア』(日本評論社) です。『経済セミナー』に連載されていたものを改稿の上取りまとめています。著者は日銀を代表する論客であり、日銀擁護のためには「カラスは白い」と言いかねないのではないかと私は考えたことすらありました。でも、この本は中央銀行の実務を含めて、標準的・伝統的な金融政策論のテキストでは扱われてい
アベノミクスと呼ばれる安倍晋三首相の経済政策で金融市場が連日、円安と株高にわいている。販売や受注も改善しているようだ。興味深いのは、それらが政府・日銀による実際のマネー支出・供給ではなく、市場の将来予想によって実現してしまった点だ。
内閣官房参与を務めるエール大学の浜田宏一名誉教授は自民党本部で講演し、来年4月に予定されている消費税率の引き上げについて、景気が好転していない場合には先送りすべきだという考えを示しました。 この中で、浜田名誉教授は、来年4月に予定されている消費税率の引き上げについて「増税して景気がよくなったという例はないし、増税しても歳入が増えるとは限らないというのが橋本政権のときに行った増税以来の答えだ」と述べました。 そのうえで、浜田氏は「この勢いで4、5か月、株価も円も進むのであれば、消費増税をやっても大丈夫かもしれないが、それが怪しかったときには無理してやるべきではない。慎重にやっていただきたい」と述べ、景気が好転していない場合には消費税率の引き上げを先送りすべきだという考えを示しました。 また、浜田氏は、日銀法の改正について「黒田総裁、岩田副総裁は政府に協力してくれるだろうが、日銀には量的緩和を
財務省は6日、「平成25年度(2013年度)予算の後年度歳出・歳入への影響試算」と「国債整理基金の資金繰り状況等についての仮定計算」を公表した。これらは国会での予算審議の前に毎年公表しているものだ。 「歳出が自然体の伸びで、経済成長3%のケース」は、名目経済成長率が3%になることを前提としており、プライマリー(基礎的財政)収支対名目GDP(国内総生産)について、13年度▲4・8%、14年度▲4・1%、15年度▲3・3%、16年度▲2・4%と財政が改善していく姿になっている。 プライマリー収支が改善していく方向であれば、国債残高対名目GDP比の上昇スピードは抑えられ、財政破綻にはならないことが知られている。 政府は「名目3%成長」を成長戦略といっているが、名目3%はそれほど厳しいのだろうか。世界を見てみよう。IMF(国際通貨基金)データの入手可能な国185カ国について、00年から10年
デフレ克服のためには賃金の上昇が不可欠だ。ただし、両者の関係は一方が他方の原因となるような直線的な関係ではない。デフレ→製品価格の低下→円高→企業収益の悪化→賃金切り下げ→売り上げ不振→さらなる製品価格引き下げ→デフレ、と、いくつかの要素がお互いに原因、結果になりながら、悪循環を繰り返している。これをどこかで断ち切る必要がある。リーマンショック後の為替介入、あるいは定額給付金やエコカー減税、エコ・ポイントなどはいずれもこの悪循環を断ち切るための試みであったが、結果的には失敗であった。 アベノミクスにより、日本経済は円高というくびきから解放されつつあり、輸出企業を中心に企業収益が急速に改善する見通しだ。デフレスパイラルを根絶する機会到来だ。次は賃金を上げることで、勤労者を中心に購買力を引き上げ、デフレ克服を確かなものにしていく、という段階に進む必要がある。安倍晋三首相の賃上げ要請もこのような
今日、中国共産党はこの国の唯一の政党でありつづけている。過去30数年間に多くの観測筋や解説者が、中国はいずれ西洋型の資本主義へ向かうだろうと期待を寄せた。その過程で中国共産党は、市場改革が進展するにつれ重要性を失うか、共産主義とともに廃れるか、民主化を受け入れて台湾や韓国と同じ道を歩むだろうと見られた。 しかし今日、中国共産党に、その一党支配体制を改める用意があるとの兆しは見当たらない。その割合を高めている私企業家や大学卒業者も含めて、あらゆる職業の8000万人以上の党員(2011年末現在)をかかえる党は、かつてないほど強大に見える。共産党が存続して、中国型の資本主義はますます異質で好戦的な勢力、西洋の資本主義を打倒しないまでも、これと対立する勢力に見える。 経済の自由化と共産党支配の継続とのややこしい協調関係 中国における共産党の存続は、経済改革の最も顕著な特徴に違いないが、それは多くの
北朝鮮が先制核攻撃を公言した。米国に対しては「核保有国の認定」を、韓国や日本には“みかじめ料”を要求する布石と思われる。ただ、韓国の朴槿恵(パク・クンヘ)大統領は原則を曲げない剛気の人だ。北の核威嚇を受けっぱなしとも思えない。朝鮮半島は当分の間、緊張が続くだろう。 ソウルとワシントンを火の海に 北朝鮮は3月6日以降、米国と韓国に対し核攻撃すると威嚇に乗り出した。同日付の労働新聞は1面で「米帝が核兵器を振り回せば、我々は精密核打撃手段でソウルだけではなくワシントンまで火の海にする」との北朝鮮軍将官の談話を伝えた。 翌7日には国連安全保障理事会が核実験に関連した対北制裁を論議したことに関連し、北朝鮮外務省は「侵略者らの本拠地に対する先制核攻撃の権利行使を早める」との報道官声明を発表した。 ニューヨークの国連本部では7日午前(日本・北朝鮮時間8日未明)に、これまでにない厳しい対北制裁決議が採択さ
前回は、日本の海洋エネルギーの概要と波力発電を紹介した。今回は潮流・海流そして温度差発電の開発状況を解説する。海洋資源の象徴とも言える黒潮や、膨大な賦存量を誇る表層と深層の温度差をいかに活用するかのチャレンジである。 潮流・海流は、一定以上の速度で流れる海水のエネルギーを利用する。風力発電と同じ原理でエネルギー設備としての技術的な課題は小さく、空気(風)に比べて海水は800倍の密度を持つ。一方で、その高密度ゆえに羽根の長さに限界がある。また潮流・海流は速度が遅く、秒速2m以上の場所の確保がポイントになる。 潮流は太陽、地球、月の重力の影響を受けて、1日に4回生じる潮の流れを利用するもので、特定の海峡や水道で生じる。場所は限定されるが、陸に近く送電投資負担は相対的に小さく、潮の流れは予想できる。 海流は、偏西風などにより生じる幅百km以上に及ぶ長大な流れで、膨大なエネルギーを持つ。常に一定方
ルネサス エレクトロニクスは、2月19日に、鶴丸哲哉取締役執行役員(58)が社長に昇格する人事を発表した。現社長の赤尾泰氏(58)は取締役に退き、いずれ引責辞任するという。8人から4人に減らした取締役もすべて社内の昇格人事で決定された。 政府系ファンドの産業革新機構とトヨタ自動車や日産自動車などの官民連合が1500億円の投資を完了する9月までの暫定人事と報道されているが、社長と経営陣は社外から連れてくるべきと思っている私は、いくら半年だといってもこの人事には賛同できない。 しかし、ある日立製作所関係者から、「湯之上が言うことは正論だが、今、ルネサスの社長に求められているのは何だ? 技術が分かることか? 市場が分かることか? 経営戦略論に精通していることか? 混乱し、意気消沈しているルネサスに、そんなものは二の次だ。元気があって、大声で吼えることができる奴だろう。だとしたら、鶴丸氏は最適なん
(英エコノミスト誌 2013年3月9日号) 融資の不足が南欧の景気回復の可能性を損ねている。 先月のイタリアの選挙で明確な結論が出なかったことに当初動揺した後、金融市場は概ね落ち着きを取り戻した。今のところ投資家は、無制限の国債買い取りによって市場から包囲された国々を助けるという欧州中央銀行(ECB)の公約に信頼を置き、資金を投入している。 だが、各国が景気後退から抜け出せずにいる間は、イタリアのみならず他の地中海沿岸諸国でも、政治的ショックのリスクは高まるばかりだ。 ユーロ圏全体の第4四半期の国内総生産(GDP)は、前四半期と比べて0.6%減少した。ドイツも同様の落ち込みを経験したが、ユーロ圏周縁国の景気後退はそれよりはるかにひどかった。GDPはイタリアで0.9%、ポルトガルで1.8%減少した。両国では過去1年間、失業率がユーロ圏全体よりはるかに大きく上昇している。 緊縮策のみならず信用
(英エコノミスト誌 2013年3月9日号) デビッド・キャメロン首相は緊縮しか選択肢がないと述べているが・・・〔AFPBB News〕 英国のデビッド・キャメロン首相が英国経済について先週行った、「(手段は)ほかにない」と述べたスピーチが批判を巻き起こしている。 無理もない。自分の政権の財政緊縮プログラムを貫くしかないという首相の議論は、著しく間違ったものだったのだから。 失敗しつつある最重要政策を擁護しなければならない事情は容易に理解できる。この連立政権は2010年6月の緊急予算により財政緊縮プログラムに取り組み始めた。そのころ回復の兆しを見せていた景気は、これ以降ずっと低迷している。肝心の財政状況もお粗末だ。 実際、権威ある財政研究所(IFS)のリポート「グリーン・バジェット」の最新版によれば、本財政年度の借り入れは前年度を上回る可能性がある。 危ないところを救ったのは生産性の低下だけ
ano_ano @ano_ano_ano 民主党はデフレと円高を放置したからです RT @hiraoka01 本日は春闘での大手企業の集中回答日で、満額回答等が続出 … 労働分配率の低さを指摘した民主党政権の要請には応えなかったのに、安倍首相の要請にはなぜ応えられたのか? 2013-03-14 05:25:15
3月7日、日銀で白川方明(まさあき)総裁が議長を務める最後の日銀政策決定会合が行われた。白井さゆり委員が提案した「無期限緩和」の前倒し実行を否決し、現状維持の政策を決めるなど、白川流の出し惜しみの美学が最後まで貫かれた。 翌日の大手新聞各紙は、「白川時代」を総括する記事や社説を並べた。デフレ脱却ができなかったし、メッセージの発信が弱かったが、難しい環境下で無難によくやった、といった割合好意的なトーンだった。彼らにとって日銀は貴重なネタモトなので、日銀プロパーの白川総裁に対して「甘口」のまとめになったが、これはいつものことだ。 筆者は、7日の記者会見で白川総裁が述べた次の言葉が気になった。 「日銀の国債買い入れが内外の市場で財政ファイナンスと受け取られると、長期金利が上昇し、多額の国債を保有する金融機関を通じて実体経済に悪影響を与える」(日本経済新聞3月8日朝刊) 昨年10月の「金融
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