第1次世界大戦の終結(1918年11月)から第2次世界大戦の勃発(1939年9月)までの約20年間を指すが,この時期は,国際政治史の観点からすれば,戦後処理から安定に向かった1920年代が大恐慌の突発(1929)によって一挙に暗転し,激動と対立の30年代につなげられ,再び世界大戦へと帰結する,〈20年間の休戦〉とも呼びうる時期であった。 一般に1880年代以降,世界は近代から現代へと移り変わりはじめ,第1次大戦はこの転換過程を加速したといわれているが,戦間期はこうした流れが一時的に中断され,古い要素と新しい要素が入りまじり,せめぎ合ってユニークな合成効果を生んだのであった。その特徴を国際関係と思想,文化の側面から概観してみよう。 交戦国のいずれもが短期戦と予想していた第1次大戦は意外な持久戦となったが,戦局の行詰りは1917年に起こった二つの事件,アメリカの参戦とロシア革命によって破られ,