9月に中国で多発した反日デモという名の暴動。日系スーパーの破壊・略奪や自動車販売店の放火など「チャイナ・リスク」の存在を知らしめた。これまで「アジア進出」といえば中国を指すことが多かったが、他所に目を転じてみれば、成長著しい東南アジア諸国は重要な消費マーケットであり、生産拠点だ。 しかし、この地域で成功をおさめている日本企業はそれほど多くない。日本の課題はどこにあるのか。東南アジアの経済動向に詳しい、A・T・カーニー プリンシパルでコンサルタントの中村真司氏が解説する。 * * * 東南アジアにおける日本企業の存在感は日に日に増してきた。この地域で事業を展開し成功した企業としては、ユニ・チャームが1997年にインドネシアに参入し、乳幼児用紙おむつ市場で圧倒的なシェア1位を獲得するにいたったことや、1960年代から東南アジア市場に参入したマンダムが、インドネシアの男性用整髪市場でシェア1位