福島の放射線問題に少しでも関わったことのある者なら誰もが抱える悩みです。そのような方々とお話ししていると、いつも議論の行き着く先があります。それは「何を伝えようとしても、読者のリテラシーがなければ伝わらない」という悩みです。 福島の安全性を謳うと外部から「人殺し」と言われ、危険性を謳うと内部から「人非人」と誹謗される。物事の複雑さや二面性を解さない、このような読者リテラシー、あるいは読者の倫理観の欠如が「フクシマ」と「一般社会」との距離感を作っています。 日本人の70%が大手メディアの報道を信じるがゆえに、読者が報道の矛盾を許さない。そのような時代の中で、原発災害はどのように語られるべきなのでしょうか。 ジャーナリストの苦悩 「原発事故は、新聞記者にとっても痛恨の事件でした」 ある記者の方にお聞きした話です。 「それまでも、会社が『この地域は危険だから入るな』という通達が出ることはありまし
PTSD対策とルイヴィトン社 2013年4月15日。世界的企業のLVMHモエヘネシー・ルイヴィトン・ジャパン社から寄贈を受ける、「LVMH子どもアートメゾン」の着工式が、現地である相馬市中村二丁目で行われた。 震災後一か月余りたった2011年4月18日から、相馬市では小中学校および市立幼稚園の授業を再開した。 ところが、教室を運営する上ですぐに問題になったことは、津波被災地の子どもたちの「心の傷」だった。たとえば授業中に「海」とか「波」という単語が出てきただけで子どもたちが泣き出したり、そわそわして情緒不安定になるというのだ。毎日の災害対策本部会議で教育長から受ける報告は、一つひとつの事例が衝撃的だった。 そこで私たちはPTSD対策が喫緊の課題と考え、全国に呼び掛けて臨床心理士や保健師さんを募集した。発達障害などの専門家である星槎グループの宮澤保夫会長からの支援によるスクールカウンセラーを
(車両のサーベイを受けている。サーベイに当っているのは、中国電力から応援にきた放射線管理員。Jヴィレッジ・除染場) 反貧困の社会運動に長年とり組んできた大西さん(仮名)が、現在、福島第一原発と第二原発の事故収束作業に従事している。 その大西さんから、昨年末から今年2月にかけて、お話を聞いた。 〔インタビューはいわき市内。掲載に当たって、特定を避けるための配慮をした。〕 お話が多岐にわたる中で、編集上、4つの章に整理した。 【Ⅰ】【Ⅱ】【Ⅲ】では、高線量を浴びる現場で、放射線管理員として作業に携わっている状況の報告。被ばく労働、雇用や就労、地域との関係などの実態が語られている。 【Ⅳ】では、原発労働者の立場から、反原発・脱原発の運動の現状にたいして、鋭角的な問題提起が行われている。 事故収束作業に従事する労働者へのインタビューや、ライター自身が中に入るという形で書かれたルポはある。しかし、原
Japan's post-Fukushima earthquake health woes go beyond radiation effects 2012年 3月7日 Katherine Harmon Natureの記事ですが、論文ではなく米国の科学雑誌「Scientific American」の記事を紹介したものです。 記事では、日本での福島原発事故の現状や政府の対応、住民の置かれている状況を紹介し、米国、日本のいくつかの分野の専門家の見解を紹介しています。今のところ英文記事のみのようなので、専門家の見解の部分を要約してみました。 放射線の影響について 「1年が経ち、公衆衛生の専門家達の意見は、放射線への恐れは大げさだったということで一致している」としています。 Thomas McKone(カリフォルニア大学バークレー校公衆衛生大学院)は「(福島原発からの放射線による)予想される死者は
今回は、震災後一年の感想を書くつもりだ。 3月11日に最も近い掲載日を期するなら、タイミングは、次回の方が適切なはずだ。が、来週はどうせ日本中が震災回顧一色になる。であるならば、その前に言うべきことは言っておきたい。埋没したくないということもあるが、原稿の内容について、余計な詮索をされたくないからだ。 ここで言う「余計な詮索」は、私の側の言い方からすれば「要らぬ心配」ということになる。つまり私は、自分がこれから書く原稿に対して返ってくるであろう反響について、あらかじめ神経質になっているのである。 実に面倒くさい事態だ。説明しにくい状況でもある。が、このことは、今回の主題とも関連しているので、一応解説しておく。 思うに、震災以来、わが国の言論状況は、目に見えて不寛容になってきている。私が、「余計な詮索」を恐れるのは、この「不寛容」な空気と無縁ではない。具体的に言うと、私の原稿の内容が、ほかの
筆者は、東京電力福島第1原発事故を受け、内閣官房参与として2011年3月29日から9月2日まで、官邸において事故対策に取り組んだ。そこで、原発事故の想像を超えた深刻さと原子力行政の無力とも呼ぶべき現実を目の当たりにし、真の原発危機はこれから始まるとの思いを強くする。これから我が国がいかなる危機に直面するか、その危機に対して政府はどう処するべきか、この連載では田坂氏がインタビューに答える形で読者の疑問に答えていく。 ―― 田坂さんは、今年1月17日に上梓された『官邸から見た原発事故の真実』(光文社新書)において、福島原発事故は、「最悪の場合には、首都圏三千万人が避難を余儀なくされる可能性があった」と述べられていますね。これは、最悪の場合を想定したシミュレーション計算をご覧になったからと述べられていますが、それは、昨年末に原子力委員会が発表した昨年3月25日付のシミュレーション計算でしょうか?
Tweet 宮古市は、仮設住宅の用地確保と入居者選定に苦心している。約2千戸を目指す候補地は市街地を中心に63カ所に分散し、他の自治体に比べて住宅街にある小規模公園への建設が目立つ。住み慣れた地区ごとにご近所入居を推進するため、あえて抽選も採用しなかった。公園活用の狙いは、長期化が予想される仮設暮らしを支える従来のコミュニティー維持がある。 宮古市中心部に近い田の神公園。6月上旬完成を目指し1棟6世帯が入る仮設住宅2棟の建設が進む。滑り台など遊具のそばに住宅が建つ。 同市の特徴の一つは街区公園(児童公園)への建設だ。今月26日現在、63カ所のうち街中の公園が約20カ所を占める。多くが1カ所に10〜20世帯。仮設住宅が立っている間は公園機能を休止する。 公園活用は、高齢者の孤独死などが問題になった阪神大震災を教訓に「コミュニティーの維持・形成への配慮」を重視するからだ。 市が掲げる原則は▽地
夏場の電力供給不足への対策 東京電力の原発事故に伴う電力供給不足により、各方面において電力消費を抑える方 策が実施されています。自販機業界におきましても照明を24時間消灯しております。 夏場には相当の電力が不足することが予測され、自販機の稼動を停止すべきとのご指 摘も受けております。実は、夏場の昼間には缶・PET清涼飲料自販機は、従前より冷 却機の運転を停止しています。これは、夏場の電力需給を平準化するために1995年 より電力会社とともに実施しているもので、エコベンダーと呼ばれています。 電力需要がピークに達するのは、オフィスや家庭などでエアコンが一斉に付けられる 夏場の平日午後1時~4時の間です。今回予測されている電力の不足もこの間に起こる ものと考えられます。 缶・PET清涼飲料自販機は、7~9月の3ヶ月間の平日は、電力需要の少ない午前 中から午後1時に商品を冷やしこみ、午後1~4時
東京の桜は、今週末ぐらいから見頃をむかえそうな気配なのだが、花見の宴会は自粛するところが多いようだ。 まあ、仕方がない。妥当な判断だと思う。 とはいえ、その判断が、行政当局に自粛を示唆された上での決断だということになると、ちょっと意味合いが違ってくる。 少なくとも後味はずっと悪くなる。 自分たちで決めた自粛は、思いやりの結果でもあるし、節電への決意のあらわれでもある。その意味で尊い。 が、上から言われた自粛には、独立自尊の潔さが無い。美しくない。 ということで、他人の顔色を見て決定される自粛については、「他粛」という言葉を提唱したい。他粛は、今後しばらくの間わが国において多発することになるはずだ。でも、流行語大賞には選ばれない。どうせ審査員が偉い人達の顔色を見て投票を自粛するに決まっているから。無念。 花見の自粛に関連して、29日付けの時事通信は以下のように伝えている。 『東京都の石原慎太
アメリカの各TV局はエース級のキャスターを日本に入れていますが、宮城を中心に岩手や福島を取材していた彼等は、一旦東京に引き上げてきています。そして今は、ガイガーカウンターを持ち歩いて何度もデータを確認したり、あるいは靴の底に当ててピーピーさせていました。これでは、いくら「人体に影響のない範囲です」と言っても、報道としては不安感を煽るようなものです。 そうした報道の合間には、例えばCNNでは気象予報士が「太平洋上空のジェットストリーム予報」などを流しています。つまり、日本上空の有害な放射性物質がアメリカに飛来することを本気で心配しているのです。16日には西海岸を中心に「ヨウ素」の錠剤が買い占められるなど、過敏な反応が見られました。 この16日から17日にかけては、福島第一にアメリカの関心は集中していた観があります。例えば、自衛隊機による「空中からの海水散布」に関しては、総合的な様々なトライア
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く