かつて世界の発展途上国の模範ともされてきたアメリカ民主主義が、ピンチに立たされている。トランプ政権発足以来、政府暴走の抑制をめざした「三権分立」が有名無実化しつつあるからだ。 「アメリカ民主主義危機論」が、とくに今年に入って全米のメディアで真剣に論じられてきている。 「トランプ大統領は司法省によるロシア疑惑捜査をひんぱんに批判し、政権への同調を拒むテレビや新聞を敵視するなど独裁主義的姿勢を強めており……アメリカン・デモクラシーは今や歯周病にかかっている」(4月27日付けニューリパブリック誌) 「大統領は嘘で固めたツイートで自分の意に沿わない政治家や官僚、メディア攻撃を繰り返し、絶対的な忠誠を誓う人物たちだけで政権を固めている。わが国民主主義の根幹を揺らがしかねない存在となりつつある」(2月18日付けロサンゼルス・タイムズ紙投書欄) 「大統領は同盟諸国に敵対的姿勢をとり、中米からの不法移民取