消費増税の延期論がくすぶる中、自国通貨建て政府債務はデフォルト(債務不履行)しないため、インフレにならない限り財政赤字を出し続けても問題ないとする「現代貨幣理論(MMT)」が国会などで話題になっている。日本銀行の黒田東彦総裁は極端な主張と切り捨てるが、肯定派、否定派いずれからも、異次元緩和とMMTは類似性が高いとの声が上がっている。 昨年まで6年間、安倍晋三首相のアドバイザーである内閣官房参与として公共政策などを提言した藤井聡京都大学教授は肯定派。「国債発行額は増えているが、金利は下がっているという点で、日本はMMTの理論の正しさを部分的に証明している」と指摘する。日銀が2016年に導入した長短金利操作は「MMTの主張と重なるところが大きい。異次元緩和はこの時半ばMMTを織り込んだ政策に変わった」と語る。