マット・スミス、スーザン・スミス 私たちは1997年の夏、3歳の息子と1歳の娘を連れて初めて秋田県角館町に着きました。国際経験はゼロ、しかも日本語は全く話せません。夫のマットは地元の高校で英語を教えることになっていました。これが私たち家族とこの小さな町との絆の始まりです。それが今まで以上に強くなり、20年を過ぎても続いていたとは、夢にも思いませんでした。 JETプログラムという「語学指導等を行う外国青年招致事業」で英語を教える教師のほとんどは独身です。夫婦での赴任は異例であり、ましてや子供連れとなるとなおさらです。そのため町では非常に目立つ存在となりましたが、新天地の人たちは私たちを温かく迎え入れてくれました。着任して間もなくのことです。裏口から入ってきた隣家の人たちが、子供たちを抱き上げて連れ出したのです。慌てて後を追いかけましたが、一見誘拐とも思えたこの行動は、実はお隣のお盆への招待だ